マガジンのカバー画像

今野の新資本論

8
19世紀半ば、マルクスはロンドンの資本主義を分析した。これは画期的な研究だった。しかし非常に難解な文章でもあった。またこの大研究が現代の東京に当てはまるものなのか。私は無関心では… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

剰余労働依存から社会主義へ

剰余労働依存から社会主義へ

剰余労働とは規定の労働によって生産可能な量を超えたより多くの生産を行うための労働である。超過分の労働は超過分の価値を産む。
これが資本主義的生産の利潤となる。
昔は労働者が肉体を使い、長時間作業をして生産を上げた。
現代では自動化が進化して無人化も進んでいる。従って昔ほどは大勢の労働者は必要なくなり、長時間労働も求められなくなった。
今や企業にとって必要なのは先進的な設備投資の方である。現代の工場

もっとみる
労働者の日によせて

労働者の日によせて

2024年4月26日、日銀総裁は記者会見で国債をどのような速度で買うか、米国債をどうするのか、政策金利をどうするのか、どうすれば円/ドル為替レートの下落を止められるのか、明確な答えを出せなかった。
つまり、金融市場の国家レベルの操作は不能になったのだ。
かくして日本の独占資本主義経済は終わった。
独占資本へと一方的に資金を流して集中させるしくみは壊れたのだ。
これは一体どういうことなのだろうか。

もっとみる

社会主義をひと言で定義するとすれば、剰余価値に依存しない経済体制ということだろう。
それは資本を必要なところへ必要なだけまわすという計画的、政策的なシステムを必要とする。
共産主義をひと言で定義するならば、剰余価値=0の状態だと言えよう。

マルクス資本論の概略

若い頃欧州を転々とし政治的に共産主義運動をしていたマルクスは31歳ころイギリスにわたり32歳~40歳ころまでに経済学批判著した。さらに1866年、48歳ころ彼の経済学理論を資本論としてまとめて編集され、第一巻が出版された。
そのあらましは以下のようなものである。

物Aと物Bが取引される場合、AとBは同一物ということはほぼ考えられない。取引というのはAとBとの使用目的が異なるから行われることである

もっとみる
資本主義とは

資本主義とは

資本主義を論ずる前に資本主義とは何かをまず考えておきたい。

1.資本主義の基本

資本主義は一般的には資本家と労働者が別々であって、資本家が労働者に賃金払って働いてもらい、製品を造り、それを売って稼ぐ生産形態のことをさす。
つまり生産のための組織が資本によって造られている経済体制とされる。(現代ではそんなこと当たり前だ)
では資本家が個人経営で、自分で仕事して自分で売ればどうなのか?
中小企業で

もっとみる
商品と通貨1

商品と通貨1

商品生産における労働価値には質的な価値と量的な価値がある。
質的な価値とはその労働の専門性などの様々レベルを含む。
量的価値はどれだけそれを生産したかということである。
商品の価値はそれ単独で評価することはできないから、それとは異なる他の製品と比較して表現することになる。
現代の市場では物々交換ということは、ほぼないだろうからその交換価値を表示する役割を果たすものが通貨ということになる。
私は通貨

もっとみる
資本の生産過程 

資本の生産過程 

商品
マルクスは資本主義的生産社会では社会の富は巨大な商品の集合の形をとると言う。
ここでは商品価値について述べる。
商品価値と言うのは相対的なものである。
ある物と別のある物を比べて、どちらがどれだけの交換比率を持つか、というように考えるものである。
価値とは物と物あるいは物と通貨の交換関係により定義されるスカラー値である。スカラーとは数量である。
物の価値というのには需給バランスによって決まる

もっとみる
経済学批判

経済学批判

1、資本の生産過程
1)序文
カールマルクスは1867年頃から、資本論を出版し始めたとされる。
文章はとても読みづらい。
また、19世紀のロンドンの経済分析が、現代の日本にどれほど当てはまるのだろうか。
基本的な疑問が満載である。
私は編集形態においてマルクスの案を踏襲し、現代日本が抱えている資本主義の苦悩の本質を分析しようと試みた。
物理化学など自然科学は自然の現実を常に観察、観測しながら、そこ

もっとみる