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今野の新資本論

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19世紀半ば、マルクスはロンドンの資本主義を分析した。これは画期的な研究だった。しかし非常に難解な文章でもあった。またこの大研究が現代の東京に当てはまるものなのか。私は無関心では…
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資本主義はどのように崩壊するのか

資本主義はどのように崩壊するのか

          通貨価値の喪失論
          農業を棄てた民の罰
          産業革命以降の大失策
マルクスが活動した19世紀のイギリスは資本主義が最盛期でありとてもその限界を迎えるとは一般人は考えなかっただろう。
 イギリスで始まったとされる産業革命の18~19世紀は人類史の秩序に異常事態をもたらした時代であった。そして次の20世紀を戦争の時代にした。
 またこの産業革命は農

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自由主義という幻想

自由主義という幻想

 最近はあまり聴かなくなったが、かつては経済体制に関し、対比的に自由主義陣営と社会主義陣営という言い方をしばしば目にしたものだ。ただ、それは常に、何をもって自由主義といい、何をもって社会主義といっているのか、定義めいたものを伴っていなかった。
 日本は自由主義の国ということになっていたようだが、私には何が自由なのか理解できなかった。
 自由主義は資本主義や民主主義とセットで、あるいは混用されるよう

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日本では1980年頃までは専業農家や中小企業が元気で生産者と投資者が比較的に同じエリアで共存していた。
つまり実は共産主義的生産体制に近かったので、うまくいっていた。
しかし、80年代中頃に英米に見咎められて独占資本主義化されてしまい崩壊コースに乗せられてしまった。

民族主義

民族主義

 民族の定義は一定ではない。地球上人類が様々に何らかのまとまりを主張して分化してきたものである。必ずしも遺伝子が似通ったものの集団とは言えない。人類というのはどの地域においても純系というものは存在しない。また言語は統語によって一律化(共通化)するものであり遺伝的素因とは関係ない。統語には自然的、商業的、学術的、宗教的、報道的、行政的なプロセスがある。統語によってコミュニケーション範囲を人類は拡張し

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経済学は人を粒子と見立てた一種の近似的流体力学である

経済学は人を粒子と見立てた一種の近似的流体力学である

 人から人へモノやカネが移動する。これを大きな視野で論ずるのが経済学である。
 普通、カネとモノの動きは反対方向である。モノの対価としてカネが支払われるからである。ベクトルで言えばモノの移動を始点から終点で表すならば、カネの移動は終点から始点となる。
 ここに日本地図があって、そこにカネとモノの移動をベクトルで書き込めば、多分人口分布に従ってベクトルの存在密度は決まるのだろう。
 GDPという指標

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通貨価値を決めるのは農業だ

通貨価値を決めるのは農業だ

 通貨価値を決めているのは日銀でも政府でもない。
 日銀や政府は通貨流通量や流通の邪魔はできるが、通貨の価値自体を決めることができない。
 通貨価値を決めているのは市場だ。
 その内でも多分、通貨価値を永続的に決めているのは農業者のみだろう。
 つまり、例えば一万円札で何をどれだけ買えるかと言うことだ。たくさん買えればその札の価値は高いし、たいして買えなければ価値は低い。
 日銀でさえ1万円札で何

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通貨価値を連続的基調担保するものは食料生産のみである

通貨価値を連続的基調担保するものは食料生産のみである

 通貨価値を担保するものが何であるかはあまり議論されないが重要なことである。なぜ通貨に価値があるのか、それはいかばかりか。
 硬化は金属なので、どれだけ通貨価値が低落してもその材料となった金属の値打ちは最低限保障されよう。1円玉ならば1gのアルミニウムの価値はある。しかし1万円札は紙幣である。いくら精妙な印刷が施してあるにせよ1万円の価値をその物体(1枚の紙)に担保させるわけにはいかない。
 通貨

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共産主義を定義する試み

共産主義を定義する試み

共産主義という経済学用語に明確な概念上の定義を与えたい。
共産主義とは:  経済において以下に述べる共産という状態を追求し、そのための生産様式を主張する思考

共産とは: 社会的所有化された資本が国内の人民に最適化配分され、その動的均衡を得ながら生産が行われ、それを維持しうる状態。

最適化配分とは:国内生活者、労働者が幸福の追求において必要十分な資本を得られるための配分のこと。資本は通貨、現物、

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社会主義の必要性:通貨の流動速度と人口、資本分布の傾斜は近似的に比例する

社会主義の必要性:通貨の流動速度と人口、資本分布の傾斜は近似的に比例する

電磁気学でマクスウェル方程式において
∇×E=–∂B/∂t ……①
という方程式が知られている。
コイルの中で磁石を動かすモデルを考えてみよう。
コイルに磁極を近づけるとそれを妨げるように起電力が発生する。
①式の左辺は電場の傾斜のことで起電力の大きさともいえる。
右辺にー符号がつくのは妨げる方向という意味である。
偏微分型の部分は磁界の変化速度である。つまり磁石を動かす速さだ。
これと同様に

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日本の社会保障制度の終焉

日本の社会保障制度の終焉

欧米日の資本主義時代は終わった
 日本は戦後も欧米資本主義的生産制度を模倣して今日に至っている。
 従って、英米の経済の仕組みの内部に日本経済は取り込まれている。20世紀後半は欧米は植民地を独立させ代わりにそこを傀儡化した。
 植民地主義、傀儡主義なんて印象がよくないから、民主主義とい偽善的政治用語を前面に出した。しかし、IMF、世界銀行の仕掛けは途上国をずっと途上国のまま固定して、ドルで世界を支

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民主主義批判

民主主義批判

民主主義という用語は具体的には定義できない

 民主主義:抽象概念としての用語、幻想、幻覚を利用する政治支配。
 少なくとも私が日常観るこの国の現実社会には民主主義という思考は実在しない。その確たる定義もない。民主主義ということばとそれによって想起される個人個人のイメージが存在するだけだ。選挙となると突然演説の中で、「民主主義を守る」なんていうことばが飛び出す。実際には一体何を守っているのだろうか

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経済学は流体物理学で近似説明可能だ。

経済学は流体物理学で近似説明可能だ。

経済という人の世の現象も物理化学の法則と似たような法則に従う。ー唯物史観
ヒト、モノは現物である。現物を塩(溶質という)、カネを水(溶媒という)に例える。塩水を血液に例えよう。これが身体の血管を流れて塩という栄養成分を身体の隅々の細胞へ送り届ける場面をイメージをしよう。
塩(溶質)だけでは流れが起きない。それを水(溶媒)で溶かしてやれば、血管のような管を流れる。金融というのはうまい訳語だと思う。(

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産業別に労働ポテンシャルがあり、労働者の転業には不可逆的な方向性がある

産業別に労働ポテンシャルがあり、労働者の転業には不可逆的な方向性がある

農業→工業→金融サービス業
つまり第一次産業→第二次産業→第三次産業
という方向に労働者は転業することはある。しかしこの逆方向の転業は実際には困難だ。
それは労働のきつさだったり全身的な熟練を要する専門職性において農業が筆頭となるからである。剰余労働の程度順という見方もできよう。
農業を行うのは簡単なことではない。
しかも単位時間あたりの収入が不当に低く抑えられている。
これでは農村から若者が都会

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剰余労働依存から社会主義へ

剰余労働依存から社会主義へ

剰余労働とは規定の労働によって生産可能な量を超えたより多くの生産を行うための労働である。超過分の労働は超過分の価値を産む。
これが資本主義的生産の利潤となる。
昔は労働者が肉体を使い、長時間作業をして生産を上げた。
現代では自動化が進化して無人化も進んでいる。従って昔ほどは大勢の労働者は必要なくなり、長時間労働も求められなくなった。
今や企業にとって必要なのは先進的な設備投資の方である。現代の工場

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