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共産主義を定義する試み

共産主義という経済学用語に明確な概念上の定義を与えたい。
共産主義とは:  経済において以下に述べる共産という状態を追求し、そのための生産様式を主張する思考

共産とは: 社会的所有化された資本が国内の人民に最適化配分され、その動的均衡を得ながら生産が行われ、それを維持しうる状態。

最適化配分とは:国内生活者、労働者が幸福の追求において必要十分な資本を得られるための配分のこと。資本は通貨、現物、用地、資源配給などの形態をとる。

幸福の追求:心身の健康、経済的豊かさ、知性と学問の進歩、地域特性にあった生活環境の快適さなどの諸指標の向上を追求するもの。

政府の役割:政府は各地域ごとの生産の在り方に適した資本を社会的責任を負って配分する。
 国土は各地域ごとに自然、地理、歴史、文化的条件、生活条件が異なりそれを地域特色とする。政府はその特色を正確に把握することが求められる。
 動的平衡とは:内外の環境は常に変動している。市場はあるものが増えれば、あるものが減るというように何らかの釣り合いを求めるように変動するのである。資本主義的生産様式では基本的に労働者、現物、資本の動向は市場原理に委ねたのであるが、それでは結果的に不可逆的なベクトル構造を内部に持ってしまい、それらの偏在性を形成して人口などの構造と生産が不可逆的に行き詰まってしまうのであった。資本が独占、寡占されてしまうとそれ自体の流動性を失ってしまう。資本効率を追求すれば剰余労働依存に陥り、労働者を搾取してしまう。これには限界がある。
 このため社会主義的生産様式が考案されてきた。そこでは資本が独占的に過度に偏在しないようにそれを社会的所有という所有形態を試行した。
 社会には需要と供給の特有の模様分布がある。それに従い市場原理のみならず社会的需給均衡によって政策的に通貨資本、人材資本、現物資本を計画的駆動することによって与えられる資本によって生産を行う様式が社会主義的生産様式である。(資本の社会化というのは、資本を市場に委ねるというだけでなく、大局的には社会的あり方を考慮して、資本を社会のための資源として計画的に扱う志向性のことだと考える)
 社会主義的生産様式では先に述べた共産という至適均衡状態での地域市場の均衡を目指す。共産は社会主義的生産様式の安定化された持続できる状態でもある。
 尚、計画的というのは制度に中長期的時間軸、手順を加味した設計のことである。

 共産主義は20世紀において無定義、あいまいな解釈によって様々に用語としては使われてきた。しかし、その内容はほとんど議論されず、誤解、歪曲解釈ばかりが目立ち、資本主義に対する敵対的用語扱いもされてきた。共産主義は立場やグループを指す用語でもない。
 近年ではグローバリズムとも呼ばれる多国籍企業独占資本主義と混用される例もある。
 残念なことに平和主義、反戦、反米、対米自立、植民地からの民族独立、平等主義、人権主張、自然環境保護主義などと共産主義が混同され、英米、シオニストからこれらひっくるめて敵視されてしまった。共産主義というのは経済上の資本取り扱いシステムに関する主張である。資本主義の修復プログラム、改訂版ともいえる。
 共産主義は資本主義と敵対するものでもない。対立概念ではない。資本主義では行き詰まるからこうしたらいいだろうと考案されるべき思考方法、制度設計である。
 共産主義はそれ自体は革命思想でもない。革命とは世の変革のための手段のことである。左翼でも、アカでもない。こういう用語を軽率、短絡的に口にする者は衆愚洗脳されている。
 共産主義を具体的に定義づけて思考する。この作業により20世紀的な大誤解を解き洗脳を解くための一助としたい。
 また、共産主義とは固定概念ではなく進化すべき思考でもある。人々の生活のための経済であるから、建設的に議論し研究しながら改定していってほしい。


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