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科学的根拠あり:仲間と運動すると健康に

運動が健康に良い、ということはもはや周知の事実ですが、
他者と一緒に運動することを勧める人はあまり多くないように思います。

今回は、
高齢者の健康維持に欠かせない「運動」と、その中でも特に「誰かと一緒に運動すること」の効果について論文を元にお話しします。


最近の研究で、
他者と一緒に運動することが、機能障害や死亡率にどんな影響を与えるのかを5年間追跡調査した結果が出ました。

それでは詳しく見ていきましょう。

研究の背景と目的


高齢者にとって、適度な身体活動は心身の健康を保つためにとても大切です。

これまでは、運動の「どれだけ」「どのくらいの強度で」といった量的な面が注目されてきましたが、
最近では「誰と一緒に運動するか」といった社会的側面も重要視されています。

そこで今回の研究では、
以下の3つのグループに分けて運動が健康にどう影響するかを調べました。

1. 運動しない人
2. 一人で運動する人
3. 他者と一緒に運動する人

研究方法


65歳以上の高齢者を対象に、2014年6月に郵送調査を実施しました。
介護保険を受けていない人を対象に、運動習慣について自己申告式の質問票を送りました。
その結果、1520人が有効回答を返してくれました。

主要な評価項目は「機能障害」と「死亡」で、
データベースを使って2014年から2019年までのデータを追跡しました。

研究結果


では、具体的なデータを見てみましょう。

・平均年齢:73.4歳
・男女比:男性48.8%

【運動習慣の割合】
・運動しない:35.6%
・一人で運動:30.3%
・他者と運動:34.1%

●追跡期間中における機能障害の発症率:185人(12.2%)
●死亡者数:128人(8.4%)

上図の通り、
他者と一緒に運動することは、運動しない場合や一人で運動する場合に比べて、
機能障害の発症リスクや死亡率を有意に低下させることがわかりました。

考察と結論


この研究からわかるのは、「誰かと一緒に運動すること」が健康維持にとても効果的だということです。

運動はもちろん大事ですが、
それ以上に大切なのは「どうやって」「誰と一緒に」行うか。

リハビリを提供する際にも集団体操を取り入れるなど、患者さん同士が協働して運動できるような環境作りが重要になってきます。

以上が上で示した論文の要約です。

さらに日本老年学的評価研究によると、
他者と一緒に運動している人は、主観的健康状態が良く、前年度の転倒の発生率が低いとされています。

つまり、運動習慣を持つことと同じく(もしくはそれい以上に)、孤独を予防する必要があると言えるでしょう。

孤独って、実は心と体にかなりの負担をかけることが分かっています。

続いてはその要因を具体的に見ていきましょう。

孤独感が身体に及ぼす影響

①ストレスホルモンの増加

孤独を感じると、体内でコルチゾールというストレスホルモンが増えます。
このホルモン、短期間なら体を守るために必要ですが、長期間にわたって高いレベルが続くと心身に悪影響を及ぼします。

②心血管系への影響

コルチゾールが増えると、血圧が上がりやすくなったり、心臓に負担がかかったりします。
これが長引くと、心血管疾患のリスクが高まります。

③免疫機能の低下

ストレスホルモンが多いと、免疫系の働きが弱くなります。
つまり、病気にかかりやすくなってしまいます。

④認知機能への影響

孤独感は、記憶力や集中力にも悪影響を与えることが知られています。
特に高齢者では、認知症のリスクを高める可能性があります。

⑤抑うつや不安の増加

孤独は心の健康にも影響します。
抑うつや不安感が増し、日常生活に支障をきたすことも。そしてうつ病は、死亡率を上げる重要な予測因子として知られています。

こうした影響が積み重なると、機能障害が進行しやすくなります。
だからこそ、孤独を感じている人には、できるだけ社会的なつながりを持つことが大切なんですね。

友達や家族と過ごす時間を増やすだけでも、心と体に良い影響があると言われています。
セラピストとして、対象者の心理社会的な面まで評価できると良いですね。

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