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私が好きな短編小説

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noteの短編小説作品の中で、素敵だなと思った作品をまとめています。
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読書石けん(毎週ショートショートnote)

読書石けん(毎週ショートショートnote)

うちの石鹸は本をよく読む。
私は本を読まない。

今夜も防水カバーをつけた文庫を広げると、
石鹸は嬉しそうに読みはじめた。
それを眺めながら、ぼんやりと湯舟につかるのが私の日課だ。
「よく飽きずに読むねぇ、石鹸なのに」
からかい気味に話しかけると、石鹸は私をちらりと見た。
「君はぜんぜん本を読まないな、人間のくせに」
嫌味っぽく返された。
「人間だって全員が本好きじゃないよ。本を読まない人もいます

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【掌編】いちばん売れた家庭用金庫

【掌編】いちばん売れた家庭用金庫

 空き巣は、泥棒に入った時の作法を決めている。まずは、その家の玄関で、深呼吸をする。臭いを嗅ぐのだ。生活は臭いに表われる。とりわけ、招かれざる客が来た時にこそ、住人はなまの存在を浮かび上がらせる。
 大らかか、細かいか。理性か、多感か。排他か、融和か。自尊か、高慢か。
 暗算の世界大会で達人は、和すべき膨大な数々を、脳内で、棲み慣れた家の中に置いていくと言う。17846は、玄関の犬と子供の焼き物の

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【小説】トロントの小さな地球

【小説】トロントの小さな地球

北米オンタリオ湖のほとりにある街の一角に、小さな地球があった。
そして、その地球には、国境がなかった。

25歳の頃、カナダのトロントに1年間住んだ。

新卒から勤めた企業は、給料を払えば社員の人生すべてを買い取れると勘違いしたブラック企業だった。絶対君主である社長のもと、役職と年次で人の価値が決まり、個人の生活は黙殺される。

耐えられなくなり退職する。しかし新卒からその会社しか知らない僕は、も

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