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File:001 専門教養(学力筆記試験)

マガジンの説明文にもありますが、私立学校の採用試験の過去問、というのは存在しません。

存在しないがゆえに、苦労している先生も多い気がしています。

どのような難易度で、どのような問題が出題されるのか。

ある程度の目安や方向性が示されるだけでも、不安が解消されたり、自分に合う合わないという判断材料になると思っています。

今回ご紹介する学校は偏差値帯が70付近の指導しやすそうな、指導しがいがありそうな、絶対に人気校という学校になります。

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ブログもよろしくお願いします!

はじめに

予めお伝えしておきますが、今回の再現度は体感で70%くらいだと思います。

同じ教科の方であれば、なるほど、と思っていただける程度には伝えられると思います。

違う教科の方でも、理系の方でまんべんなく勉強していた方であれば全体的な難易度は想像していただけるど思います。

例えば、このレベルの問題を数学で出してくるということは、自分の教科(例えば理科)に翻訳するとこれくらいの難易度の問題が出てきそうだな、などと想像できるのではないでしょうか、というお話です。

もちろん、学校によってどの教科も全体的に同じ難易度のレベルにしているのか、それとも教科や科目によって筆記試験の難易度に差があるのか(例えば応募者数が多いから難易度を上げるなど)はわかりませんので、あくまで参考程度でお考えください。

文系の方で、ある程度数学を勉強した方、理科の基礎科目の勉強をされた方、中学校までの理科の内容を覚えている方でも後半の問題については伝わると思います。

それでは内容を公開していきたいと思います。

試験の形式

70分で大問は8問構成。

計算問題については、しっかりと計算過程を記述させるところもありましたし、解答だけでOKというところもありました。

また、記号選択の問題もたくさんありました。

しかし、その一方でしっかりと自由に記述させる問題(おそらく図示もOK)もあって、かなり解答用紙のスペース的に余裕がある大問もありました。

大問1(再現度100%)→高知大の過去問と判明(10/11追記)

とても良問で、自分自身が計算していて答えが本当に合っていたのか気になったので検索したんです。

問題がよくできていて、どこかの大学の過去問ではないだろうか、と感じたのがそもそものきっかけです。

案外出てくるものなんですね、自分でもびっくりです。

【以下本文(誤字脱字を修正したもの)】

実験操作中に誤って硫酸アンモニウムに硫酸ナトリウムを混ぜてしまった。 そこで、どのくらい硫酸ナトリウムが混ざっているのかを確認するために、次のような実験を行うことにした。この混合物7,5gを水に溶かして、500mlの溶液にした。次に、この溶液を25mlとり、水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し、気体を発生させた。次に、発生する気体をすべて希硫酸20mlに吸収させた溶液を0,1mol/Lの水酸化ナトリウムで滴定すると10mlを要した。さらに、滴定後の溶液に水酸化バリウムを加えたところ、0,7gの沈殿が生成した。

誤って混ぜてしまった硫酸ナトリウムの量は何gか?

リンク先については硫酸の濃度が問われていますが、当然そもそもは誤って混ぜてしまった硫酸ナトリウムの量を求めるのが目的なわけです。

(10月11日追記)
もともとの高知大の問題は以下の通りです(著作権などもあると思いますので概略のみ)。
なんと、重要問題集のB問題に掲載されていました。
(1)では硫酸アンモニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の反応式を答えさせます。
(2)では滴定の終点として加える指示薬と色の変化を聞いています。
(3)では発生する気体を吸収させるため用いた希硫酸の濃度を聞いてきています。
(4)が今回の採用試験の問題で、誤って混ぜてしまった硫酸ナトリウムの量を聞いてきています。
誘導があると大学入試問題っぽくなりますね。
そして、今回の採用試験では(4)をいきなり聞いてきたわけです。
(10月11日の追記ここまで)

【一応かんたんな解説】

水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱することにより、硫酸アンモニウムからアンモニアが発生する。

これを希硫酸に全て吸収させるが、アンモニアを逃さないために硫酸の方が濃度が高く設定されている。

これを水酸化ナトリウムによって逆滴定する。

ちなみに、硫酸の濃度については、水酸化バリウムを加えて生じた沈殿(硫酸バリウム)の量から逆算することになります。

遡って計算していくと0.90gくらいになったはず(検算していませんが)。

【個人的な感想】

弱塩基の遊離、逆滴定、沈殿生成量からの硫酸の濃度決定など、全て化学基礎の範囲で解けてしまいますが、条件が複雑に絡み合っているのでよく整理しながら解かないと正解にたどり着けないと思います。

化学基礎を履修したことがある人なら、文系の方でもある程度は伝わると思います(逆滴定とかやったなぁ~みたいな)。

この問題はかなり良問だと個人的に思っています。

大問2(再現度30%)

申し訳ありません、時間不足でこの大問についてのみ自分自身も実際に計算したりすることができないまま終わってしまいました(他の大問についてはほぼ全て完答なのでよく覚えている)。

時間不足だったのですが、概略はお伝えすることができます。

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