祖父の家に預けられてからは、帰りの遅い父を待って玄関先の絨毯の上で眠ってしまうことが、ほとんど毎日であったと聞かされている。その都度祖父は寝床まで僕を運んでくれ…
保育園年中の頃、近所の友達と歩きながら帰っていると 自分の進行方向よりも少し先のところの路肩にグレーのローレルを寄せ、歩いてくる僕を眺めながら佇む父がいた。 友…
なにぶん古い寮の押し入れというものは、 大事にしているものほどそこに仕舞っておく気にはなれないもので。 少しずつ部屋の隅に追いやり、 ふと気が付くと彼らは埃をかぶ…
こんにちは。 今回はたらたらと実態だけを書いていきますのでご承知おきを。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー いったんそれまでの仕事を辞め大学院に入った私は…
これを読む前に次のことを試してみてほしい。 やることはシンプル。それは、 どうだろうか。 「あぁ」「うぇ」「んー」「はぁ」何でも構わない。 おそらく普段よりは無味…
天井と耳
2023年10月18日 17:08
祖父の家に預けられてからは、帰りの遅い父を待って玄関先の絨毯の上で眠ってしまうことが、ほとんど毎日であったと聞かされている。その都度祖父は寝床まで僕を運んでくれていたらしい。翌週から新しい保育園に移った。新しいお友達に質問してみよう!という時間を設けられて教室の前に置かれた先生用のピアノの椅子に座り、大勢の知らない子たちが柔和な表情で僕をじっと見ている。他人から注目を浴びるのは内心苦手な
2023年8月8日 14:39
保育園年中の頃、近所の友達と歩きながら帰っていると自分の進行方向よりも少し先のところの路肩にグレーのローレルを寄せ、歩いてくる僕を眺めながら佇む父がいた。友人と戯れることにそれまで夢中だった僕は、父の姿を見て落ち着きを取り戻し、父のいるところまで歩み寄っていった。「乗りなさい」後部座席のドアを開け、乗車を促すように父は言った。何が起こっているかはまだ分かっていなかった僕は友人たちに「
2023年5月2日 18:16
なにぶん古い寮の押し入れというものは、大事にしているものほどそこに仕舞っておく気にはなれないもので。少しずつ部屋の隅に追いやり、ふと気が付くと彼らは埃をかぶっていることがざらであった。その時に気づかなかったのだが、本来の僕は埃をかぶった物を見つければ即座にふき取る性分であったはずだ。よくよく気にしてみると服はどれもよれよれだったし、玄関の靴もつま先やソールに穴が開いている。
2023年3月21日 19:01
こんにちは。今回はたらたらと実態だけを書いていきますのでご承知おきを。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいったんそれまでの仕事を辞め大学院に入った私は、それまで住んでいた部屋を解約して寮の方に移った。畳5帖半、家賃は7500円。ありがたい。家具も最低限のものを残して処分した。ベッドなど置こうものならそれだけで残りのスペースが手狭になってしまう。残したものは台所用品、冷蔵
2023年3月15日 16:45
これを読む前に次のことを試してみてほしい。やることはシンプル。それは、どうだろうか。「あぁ」「うぇ」「んー」「はぁ」何でも構わない。おそらく普段よりは無味乾燥で、どこか情けない発音が伴った「声」が口元から出てきたかもしれない。人は声を発するだけでも必要最低限のコミュニケーションをとることはできるが、それはきっと指示や相槌程度のもので上のように短絡的な「単音」だけでは、建設的な会話は