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普通は偉大❗️映画「ラーゲリより愛を込めて」偉大なる凡人にみた絶対に後悔しない生き方。

気がつけば新年明けて一カ月も経った。

新年初スクリーンがこの映画で良かった。

異常とも言える過酷な環境の中で

普通を生きることがいかに難しいことか。

普通を生き続けることがいかに偉大か。

それを感じ続けた時間だった。

希望を決して捨てない

映画「ラーゲリより愛を込めて」レビュー
普通は偉大❗️偉大なる凡人にみた絶対に後悔しない生き方。

物語はとてもシンプルだ。

終戦の1945年、シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちは零下40度にもなる過酷な環境の中、わずかな食糧のみを与えられて重い労働を強いられ、命を落とす者が続出していく。

そこから戦後11年に及ぶあまりに長い地獄のシベリア抑留生活。

その凄まじく過酷かつ極限の状況下で、妻や子どもたちのもとへ必ず帰るという希望を決して捨てなかった偉大なる凡人の生涯。

過酷な状況に置かれてもなお、人間らしく生きるとはどういうことか。

山本幡男という生き方を見つめ続けた。

いつも

朗らかに

誠実に

人に優しく

笑顔を浮かべ

希望を捨てず

勇気に溢れ

忍耐強く

人を信じ

人を許し

家族を愛し

道義に生きた。

シンプルで普通に生きることが

どんなにか難しいことか。

そう思った。

人は小さなことで悩み

苛立ち、時に人を恨み

そんな当たり前の普通が

できなくなる。

それを山本幡男という人は

極限の状況下の中で

11年という長い年月の中で

人としての本来の姿を貫いた。

人が死ぬ時にようやく思い出す感情を

感謝を

悔恨を

愛情を

この映画は存分に感じさせてくれた。

山本幡男を演じた二宮和也の

普通の人間さがリアルに滲みた。

凄い役者とは思っていたが

それ以上だった。

彼はただ1人の人間を生きていた。

役者は皆、本当に素晴らしかった。

妻役の北川景子の渾身の嘆きの果ての美しさも

山本とともにラーゲリで捕虜として過ごした

松坂桃李の語り部としての説得力と感情の繊細な表現も

中島健人の快活無垢な自然体な魅力も

桐谷健太が見せた軍人としての捨てきれない業も

安田顕の絶望と諦めから人間を取り戻す姿も

役者は皆、本当に素晴らしかった。

全員が過去一の渾身の演技を見せてくれた。

瀬々監督の演出は力強いドラマツルギーで構築され、真っ直ぐな人間賛歌のメッセージは黒澤映画を思い出させた。

脚本も奇を衒わず真っ直ぐだった。

脚本家の林民夫さんとは12年前に

ある映画でご一緒した。

度々脚本打ち合わせで顔を合わせた。

柔和で優しい普通の方だった。

山本幡男という普通の人として生きる

本来の姿をできるだけそのままに

演出も脚本も役者も表現しようという

真摯で誠実な想いがスクリーンに

満ちていた。

エンディングのMrs. GREEN APPLEは人間讃歌のメッセージを壮大に歌い上げ、映画に晴れやかな余韻を残してくれた。

後半はずっと心に熱いものを感じながら、涙を浮かべながら、これからの生き方について考えていた。

何かを求めるよりも、生き方そのものを問われる年になった。

どうしたら悔いのない生き方ができるだろう。

きっと

今後、日常生活の中で

些細なことで苛々したり

我儘な自分が飛び出した時に

ふと山本さんの朗らかな笑顔が

心に蘇ることだろう。

「そんなことくらいで道理を外して

はいけないよ」と囁かれるように。

誠実 感謝 真心

そんな当たり前だが忘れがちな

普通を生きていこう。

そう思った。

死ぬ時に後悔しないように。

普通は偉大だ。


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