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『THE BATMAN-ザ・バットマン-』再度見た後の雑記

イオンシネマ越谷レイクタウンで『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を再度見てきた。

今回のバットマンはこれまでのバットマンはすっかり忘れ、また比較対象にしてもいけない。
これまでのバットマンを家系ラーメンとするなら、本作のバットマンは後味はあっさりで香りが凄い煮干しラーメンのようなバットマン。つまり、同じアメコミヒーローもの、それも同じバットマンでありながら、味わいがまるで違うアメコミアクション映画に仕上がっている。

なので、従来のバットマンと比べてしまうと失敗作に感じられるのもまた事実である。

今回は完全に謎の犯罪者リドラーがゴッサム・シティで引き起こす連続殺人事件を、バットマンがゴッサム市警のゴードン警部と犯人の真相究明に当たるというもの。

全編、ゴッサム・シティ、夜の街、夜のゴッサム市警、ナイトクラブと夜のシーンと暗さに特化し、徹底している。唯一、やや明るい場面かと思ったら市長の葬儀のシーンという妙な演出。

本作の面白さはアメコミアクションというより、ダークで変なミステリーとしてである。そう考えれば、一見無個性で謎々好きの「謎の怪人」としてリドラーをデヴィッド・フィンチャー監督の映画に出てくるような怪人として受け入れることができる。

ニルヴァーナの赤ちゃんが泳ぐジャケで有名な超ヒットアルバム『Nevermind』の中でも比較的地味な曲「Something in the way」を効果的に使い、グランジ特有の気怠さを映画のダークさに滲ませている。

全体的にリアル志向、ダーク志向で、架空の都市ゴッサム・シティの話なのに、コロナ禍云々を抜いたアメリカの都会のリアリズムとして見ればそこそこエモーショナルかな、と。

ただ雰囲気重視というだけでなく、冒頭の『裏窓』とも『ディスタービア』のオマージュのようなショット、演出や、中盤でキャットウーマンがスパイ的に潜り込むシーンでの『クローバーフィールド』のマット・リーブス監督らしい演出、後半のほんの少しのシーンでロバート・パティンソン主演の『コズモポリス』を匂わせるなど小技も効いている。
映画全体の異様なまでの暗さはラース・フォン・トリアーの初期作品『エレメント・オブ・クライム』や『ヨーロッパ』、マーティン・スコセッシの『タクシードライバー』、デヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』にもどことなく通じ、噛めば噛むほど味わいがある。

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