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幽世と共に

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すこしだけふしぎなおはなし
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ペティナイフ

ペティナイフ

高校を卒業して就職し、独り暮らしを開始するタイミングで様々な食器や台所用品を購入した。その殆どは経年劣化の末に処分してしまったが、唯一、ヘッダー画像に掲示のペティナイフだけは、未だに現役でワタクシの手元にある。

このペティナイフを何処の店で購入したか、もう覚えていない。何しろ今から30年以上昔の事だ。ただ、高級な品ではないと言う事だけは記憶している。

その後ワタクシは最初に就職した会社を辞め、

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呪詛

呪詛

オススメ記事に表示されたとある記事を開いて、朝から激しく後悔した。

悍ましい内容なので仔細は伏せるが、アイヌ民族の血を引くと自称するユーザーが現代日本を、ヤマト民族を呪詛し、その上で「私は重い病気でもう先行きは長くない。だから自殺する。この記事は遺言だ。見た奴は拡散しろ。拡散しなかったら末代まで祟ってやる。死ぬまで惨めな暮らしを送るようにしてやる」と結ばれた記事だった。

アイヌの人々の間では呪

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怪蛇

怪蛇

ワタクシが中学三年生の頃に、担任の教師から聞いた話である。

担任は、若い頃に地方の小学校に勤務していたのだそうだ。
ある年の遠足の折、生徒を引率しながら田舎の未舗装の道を歩いていた担任は、道の真ん中に異様なモノを見かけたのだと言う。

良く見ると、それは蛇だった。
そこいらにいる当たり前のアオダイショウやシマヘビとは違う、太くて長く、そして真っ黒な蛇だったそうだ。
ただ、首の周りの鱗が、首輪でも

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積極的なコミュニティ参加はネガティブを駆逐する

積極的なコミュニティ参加はネガティブを駆逐する

1年余り振りにX(旧twitter)にアカウントを作り幾許か、これまた久し振りにXのスペースに参加した。

ホストの話を聞き、関連タグをつけて実況ポストを投稿する。そこにある種の一体感と言うか、自分は孤独では無いのだと言う確信が発生し、大変有意義なひと時であった。

スペースが終わり、ふと思い出した事がある。中国の少数民族に伝わる伝統だったかと思ったが、所謂気鬱の病に罹患した者があると、村を上げて

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龍神

龍神

以前、札幌市に程近い豊浦地区に嘗て存在した、ありがたい霊水が湧く霊場の話を記事にした。

その折、北海道には龍神を祀る霊場や神社が少なくない事、そしてワタクシの生まれ故郷・函館市に龍神を祀る沼がある事を付記した(遍く知られている通り龍神は水の神としての側面を強く有する)。
今日は、その沼の事を改めて記したい。

龍神がおわす沼、名を【赤沼】と言う。
粘土層の土に周囲を囲まれた比較的小規模な沼で(【

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マイルール

マイルール

ワタクシと言う人間が、今日に至るまで約40年近く、折り紙を嗜む事はこのnoteと言う場で再三述べた通りだが、そんな折り紙と言う趣味と向き合うに辺り、自らに課しているひとつのルールがある。それは、

幽世の生き物を折り紙で折る時は
必ずその日の内に仕上げるべし

と言うものである。
これには、過去のちょっとした経験が切っ掛けとして存在する。

今から25年程前の話である。
丁度世間には【100円ショ

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ある出会い

ある出会い

現在通っているメンタルクリニックとの付き合いがそろそろ10年に届こうとしている。

ワタクシは所謂【自律神経失調症】と【睡眠障害】を患っている。特に後者の症状が重く、一時期は睡眠リズムがランダムに変化して日常生活すら儘為らず、正直なところ発狂する一歩手前だった。それを救ってくれたのが今の担当医とカウンセラーさんだった。

担当医とは時に衝突もあったが、現在の状況を含め概ね良好な関係を構築出来ており

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惑わし神に気をつけろ

惑わし神に気をつけろ

※過去にmixiで書いたものに若干の加筆をしたものになります

ワタクシのnoteを御覧の方で、幽霊や妖怪の存在を信じる方はいらっしゃるだろうか。

ワタクシは妖怪の実在を信じて疑わない人間なのだが、運が悪いのか霊感が悪いのか、決定的な「妖怪との出会い」は未だ皆無に等しい。
そんなワタクシが唯一、それも結構な頻度で遭遇している妖怪(?)のお話を今日は記したい。

その妖怪を「惑わし神」(まどわしが

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祈りの日

祈りの日

(ヘッダー画像はイメージです。今回参拝した正中山法華経寺は本尊の鬼子母神像を始め大多数の施設が撮影禁止だったので、撮影を思い留まりました)

下総中山にある【正中山法華経寺】(日蓮宗)に詣でて来た。

普段、宗教に無頓着なワタクシ(神社詣では好きだが)がこの日に限って何故寺参りをしたかと言うと、5月の上旬が自分にとってとても特別な日だからである。

もう5〜6年は経ただろうか。
ワタクシの兄が急逝

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霊場

霊場

ワタクシがまだ小学生低学年の頃の昔話。

札幌市に程近い【豊浦】と言う地区に、万病に効くと噂された霊水が湧く、かなり規模の大きな霊場が存在していた。
新興宗教だったのかも知れない。
外傷にも、外から見えない病にも効くと言うその霊水は、一升瓶に詰めて持ち帰る際に蓋を締めて持ち帰ると必ず瓶の底が抜けて水が漏れてしまう(蓋をするのは【天を塞ぐ】に等しいから…と言うのが理由らしい)…と言う、物凄い曰くつき

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