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「相互尊重」を育む組織へ
column vol.1023
…本日の記事は、…いつも以上にふんわり温かい目でご覧いただけると…幸いです…
…あまり、普段はこういう話は出さないのですが…、オリラジの中田敦彦さんがご自身のYouTubeチャンネルにて、松本人志さんのことを言及…
…SNSが、…ちょっぴりワイワイしているのをご存知でしょうか…?
〈エンタメRBB / 2023年5月30日〉
非常に端的にまとめると…、「M-1グランプリ」や「キングオブコント」など、テレビで注目の賞レースやコンテンツ(IPPONグランプリ)に松本さんがタッチし過ぎているのではないかという指摘を中田さんはされています…
つまり、それが権威になってしまい、多様な価値観が奪われてしまっていると…仰りたいわけです…
この意見には、「実績があるから当然」とか、「松本さんご本人はお願いされているからやっているはず」などの反論意見も含めて、さまざまな考え方が見受けられます。
…ここで、どっちがどうという話は置いておいて…😅
個人的に小さいながら、会社の副社長をやっている身からすると、いろいろ考えさせられた事例でした…
…というのも、自分が権威を持っているつもりはなくとも(権威を持ちたくなくとも)、職位があることで、自分が思っている以上に影響力を与えてしまっている可能性はあるからです…
もっといえば、その職位に恥じぬよう努力し、実績を上げていけばいくほど、自分が思っている以上の影響力を持つ可能性はあるでしょう…
…まぁ、今のところ、全く実績を残していない私が心配する必要はないのかもしれませんが…(笑)、権威(影響力)というのは難しいな…と感じたのです…
各社で見られるフラットな組織づくり
職位というものが権威にならないような取り組みは、今さら語ることもなく、そこかしこで見られています。
例えば、年次や役職を気にせず働きやすいオフィスをつくったり、社内では全員を「さん」付けで呼ぶルールを整備したり。
〈読売新聞 / 2023年5月27日〉
他にも、若手をサポートするのではなく、経営者が若手から働き方改革への考えや、経営課題への意見、ITなど最先端技術の知識を聞く「リバース(逆)メンター制度」も広がっています。
例えば、非鉄金属大手の「三菱マテリアル」は「上意下達だった会社風土の打破」を掲げ、21年にリバースメンター制度を導入。
月に一度、若手・中堅社員が社長や幹部と幅広いテーマで意見交換しています。
他にも「リバース」ということでいえば、部下が上司を選択できる “上司選択制度” を導入している企業もあります。
北海道札幌市にある構造設計事務所「さくら構造」です。
〈ABEMA TIMES / 2023年3月17日〉
同社代表の田中真一さんは
年に1度社員に『どの上司と働きたいか』というアンケートを取って、結果をもとに基本的には第一希望の上司と働ける。まずは(上司を)選べるよう、上司の性格や強み・弱みを全部網羅したマニュアルをつくった。社員には上司の「数字達成力」「部下指導」などの項目に○×△を付けて、どの上司と働きたいか選んでもらうといった手順を踏んでいる
と、その制度についてお話しされています。
つまりは「上司への通知表」ということですね…
一方、上司マニュアルにより、長所と短所を把握した上で部下はその上司に付くことになるので、短所に対して柔軟にフォローしてくれる面もあるそうです。
上司にとって厳しくもあり、優しくもある(?)
そんな制度なのではないでしょうか。
「ハラスメント」に上下はない
大切なのは、職位はあくまでも役割であり、権威ではないという考え方が優先されることです。
そこを理解しないまま、部下を尊重する制度をつくると、逆に上司たちを苦しめるだけになってしまう可能性もあります…
最近、その観点で気になったのが日刊SPA!の【なぜ「おじさんは叩いていい」と思われるのか?“おじさん構文”とバカにされ、女性相手だと“ハラスメント”認定される言葉を投げつけられ…】という記事です。
〈日刊SPA! / 2023年5月23日〉
今、「おじさん叩き」という言葉があるそうです…(汗)
…おじさんとしては…、恐々としてしまいますね…😅
要するに、弱い者への攻撃はダメという認識が広がっている分、攻撃対象が強い(?)立場のおじさんに及んでしまうらしいのです…
社会学者・田中俊之さんは
女性相手だとハラスメント認定される言葉が、中年男性に対しては許されてしまうことがあります。薄毛や肥満、体臭をからかうハラスメントは見過ごされがちです。
と、その現状について懸念を示しています…
ただ、ハラスメント研修を企業で受けた方はご存知でしょうが、部下が上司を無視するなど、望ましくない対応をすることもハラスメントになります。
考えてみれば、ハラスメントとは「人に対する嫌がらせなどの迷惑行為」という意味。
パワハラという言葉が浸透し過ぎてしまって誤認されている傾向も見受けられますが、実はハラスメントに上下はないのです。
…ということで、中田さんの「審査員を分散させた方が良いのではないか(多様性を生むために)」は提言になったとしても、「松本さんの映画の話」や「不満を持っている後輩もいるという匂わせ」は、正義を語りたいのであれば…、逆効果になる可能性もあります…
…もちろん、ご本人が何を意図しているのかによるとは思いますが…
…と、まぁまぁ、その話は再び置いておいて…😅
ハラスメントは上司→部下だけではないということだけは認識しておきたいところです。
「相互尊重」を育めるか
権威のない組織づくりというのは、社会全体として進んでおり、「ティール組織」や「DAO(分散型自律組織)」などは、まさに特定のリーダーを据えず、フラットな組織づくりを行っていきたいという意思の象徴です。
もちろん、フラットであるということは長短あり、誰も決められないという弊害も起こしやすくなる可能性もあります。
もしもピラミッド式でいくなら、リーダーには「責任」付きで「決定権」を与える(…当然の話ではありますが…)。
しかし、裁量よりも責任の方が重いと感じる人も多いので、報酬などのインセンティブも付与する(これも…当然の話ではありますが…)。
その上で、権威ではなく単なる「役割」という意識付けを行っていく。
そんなことが重要になるではないかと感じています。
この「意識」というものがカギだと思っていまして、結局のところどんな制度やルールにしても「相互尊重」という心が生まれない限りは、上手くはいきません。
原始時代に立ち返ると、人が集団で生きるようになったのは、一人では非力で狩りができなかったからのはずです。
それは現代も同じで、どんなに優秀でも一人でできることなんて大したことがない。
だからこそ、多様性を内包し、さまざまな意見や能力を味方につけていく。
つまり、相互尊重はキレイごとというよりも、自身の生存能力や成功にとって不可欠なことであるというわけです。
年配、若手という二者を例にするならば、年配は若い感性を頼り、若手は経験や成熟を頼る。
そうすることで、それぞれの世代だけではできなかった恩恵を得ていく。
そのためには、お互いが風通しを良くしていかないといけません。
さまざまな制度やルールが、部下を抑圧するものであったり、上司を萎縮させるものであれば意味がなくなってしまいます…
なぜ、フラットな組織を目指すのか?
その問いかけを私はいつも意識するようにしています。
もちろん、こうした考えが理想論に近いということも認識しております。
人間はやはり「自分の思い通りにしたい」部分もあるからです。
ですから、「相互尊重」を意識づけるには、日々の不断の努力が必要になります。
例えば、アサーティブ・コミュニケーション(相互尊重型の自己表現)を研修で取り入れる企業が増えているのも、そのためでしょう。
他にも、ディベートもそうですよね。
討論というだけあって議論に勝つことにスポットが当たっていますが、本来は賛成、反対、双方の立場で考えることで、視野を広げることに意味があります。
理想的な組織は制度やルールとともに相互尊重があってこそ成り立つもの。
お笑い界の未来の話をきっかけに、自社の組織のあり方をより考えていかないといけないなと…、そんなことを改めて感じた一日でした。
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