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世界を救う “食” の近未来

column vol.892

一昨日、【押さえておきたい「インド」のこと】という記事の中で「国連の推計では2059年までに100億人を超える」という話をしましたが

そうなると深刻になるのが食糧問題です。

その解決の糸口として期待されているのが「フードテック」でしょう。

フードテックとは、食の領域を表すフード(Food)と、テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、新しい産業分野のこと。

最先端のテクノロジーを活用し、食問題の解決や、食の可能性を広げていくことを目的としています。

牛や豚を一切使用しない植物由来の「大豆のお肉」や、培養肉はその一例です。

昨年11月にイスラエルで行われたフードテックエクスポ「Food Tech IL 2022」についての記事が面白かったので、まずそちらの事例からご紹介させていただきます。

〈AERA.dot / 2022年12月23日〉

イスラエルから「NEWフード」が続々

このエクスポが行われたのはイスラエルの商業都市、テルアビブ

国内フードテック企業が一堂に会しました。

来場したのは、56ヵ国・2000人以上の人たち

近年、技術立国として頭角を現してきたイスラエルは、本来持っている医療技術の研究開発プラットフォーム生物学・生化学の知識を使って、食品産業にも取り組み始めており、世界中から注目を集めています。

肉、魚介類、乳製品などを植物ベースでつくった代替食品は多く出回り始め、「ベジ・バーガー」イスラエルではすでに多くのハンバーガー店で普通にチョイスできるメニューになっているとのこと。

プロテインについては、バリエーションが溢れています

ミルクプロテインイースト発酵により開発したremilk社は、近年デンマークに巨大なミルク工場を設立。

また、MAOLAC社のつくる母乳に近いミルクプロテインは、将来の重要なプロテイン資源になるかもしれないと期待されているのです。

他にも、豆類はプロテイン製品の代表選手ですが、技術革新によって、より体に吸収しやすい形に進化させ、フードロスのない製品化を目指しています。

さらに、豆以外にもいろいろな素材から新たなプロテインを抽出する技術が模索されているのです。

中でも、微細藻類から抽出するプロテイン製品は、最小限の栽培面積、水源などで栽培可能で、かつ高いプロテインをつくり出すことができ、まさに人口爆増による食糧難を救うスーパーフードなのではないでしょうか。

他にもさまざまなフードテックがAERA.dotで紹介されているので、興味のある方はぜひぜひご覧いただけると幸いです!

グルメ巡りで稼げる時代に??

というように、フードテック分野は激しく動いています。

他にもテクノロジーの進化により、新たな社会課題を解決しようとしている事例が溢れています。

続いて紹介したいのは、食の力で “稼ぎを増やす” という近未来の姿をご紹介したいと思います。

それはスペイン発「sharefull」というサービス。

「GameFi x 口コミ」という形で、 “食べて稼ぐ” 世界を叶えようとしているのです。

〈AMP / 2023年1月9日〉

GameFiとは、暗号資産業界の中でも特に注目を集めている分野の一つで、ゲームDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)を掛け合わせたオンラインゲームのことを指します。

ユーザーはゲームをプレイすることで、実際に暗号資産を稼ぐことが可能に。

「sharefull」はこのGameFiの技術を活用しているのですが、実際に飲食店に足を運び、食事をした人がその店の口コミを投稿すると、報酬としてゲーム内でトークンが付与され、現金その他ポイント交換することができます。

これまでにも口コミ投稿で得たポイントを貯めて別のものに交換できるレビューサイトは存在しましたが、現金にも交換可能なサービスはまだ少なく、ゲームのようにやりこんでいく楽しさがあるものもないのです。

報酬金額はユーザーがアプリ内で「食器」アイテムを購入することで上昇するという仕組み。

食器は他のユーザーと共有したり、販売することでトークンを得ることも可能です。

しかも、普通はNFTアイテムの購入がサービスを利用するための必須条件になっていることが多いですが、sharefullは無料メール登録だけでも報酬を貯められるという仕組みも組み込む予定とのこと〜!

無料版だと多少の制限はありますが、NFTアイテムを購入前にお試し利用してから切り替えることができるため、「NFTは不安」という人には大きな安心となります。

まだアルファ版というテスト段階ですが、胸が膨らみますね。

ちなみに、このサービスを仕掛けているのが「Sharefull, S.L.」という会社なのですが、CEO森岡逸平さんという日本人

そういったこともあり、日本でもポピュラーになるのではないかなと個人的に期待しております〜

いずれにせよ、美味しいもの巡りは大好きですし、書くことは日常なので、食べて稼ぐ副業にいつか挑戦してみたいですね♪

購買データから⽣活習慣病リスクを予測

それから最後にもう1つだけ興味深い事例を紹介させていただきます。

シルタスという会社が、購買データから生活習慣病リスクを予測する実証実験を実施することを発表したのです。

〈IoT NEWS / 2022年12月26日〉

高齢化が進む日本において、健康寿命の延伸や未病・予防を目的とした取り組みの重要性が高まっている一方、現在健康な人は検査をしないため、病気の早期発見は難しいという課題があります。

そこで、同社は「SIRU+」という購買データを栄養素に変換することで、日々の買い物から自動で栄養の偏りをチェックするスマートフォンアプリを開発。

取得した購買データならびに栄養素データと、生活習慣病検査データの相関性を分析することで、購買データから生活習慣病リスクの予測モデルが立てられるかを検証しようとしているのです。

具体的な検証内容は、106名の検証参加者が、SIRU+と連携しているスーパーで買い物をする、もしくは買い物した食材をSIRU+に登録することで、購買データを栄養素に変換

そして、株式会社PROUMEDが運営する血液検査キットで採血をし、生活習慣病リスクを算出します。

SIRU+で変換された栄養素データから算出した生活習慣病リスクの予測モデルが、実際に血液検査で算出された生活習慣病リスク13項目(トップ画参照)に対して相関するかを検証するというわけです。

今年最初の記事【2023 トレンドキーワード】で、「パーソナルAI食事アドバイザー」サービスの「NEWTRISH(ニュートリッシュ)」を取り上げましたが

今後も「食と健康」というテーマでの技術開発は熱気を帯びていきそうです。

ということで、もう間もなく私たちの日常に溶け込みそうな食の近未来をお届けさせていただきました。

そんな話をしていたら、お腹が空いてきました…

この後はゆっくりと夕食を楽しみたいと思います!

それでは、また明日。

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