見出し画像

“いい加減“の時代へ

column vol.1248

ChatGPTを生み出したOpenAIが現在開発している「Strawberry」という新型AIをご存知でしょうか?

〈現代ビジネス / 2024年7月18日〉

これはChatGPTなど従来の生成AI(大規模言語モデル)に欠けていた推論能力(論理的な思考力)を備えていると言われています。

同社では、最終目標とする「AGI(人間と同等かそれ以上の汎用人工知能)」に向けた5段階の開発計画を明らかにしていますが、Strawberryレベル2に該当。

一説によると、AGI人類叡智総和の10倍とも言われているレベルです。

実装すれば、また新たに驚愕の世界を目にすることになるでしょう。

ちなみに、5段階とはこのようになっております。

「Level 1」
人間と自由に会話できる生成AI(ChatGPTにより実現)
「Level 2」
推論能力を持ち(数学や自然科学などの)博士課程と同水準の問題を解くことを目指す(Strawberryで実現)
「Level 3」
「Agent(代理作業者)」と呼ばれる段階。単に人と会話したりハイレベルの問題を解いたりするといった試行段階を脱して、実務的な行動を伴う「作業」「仕事」AIに任せられるようにする
「Level 4」
「新たな技術の発明やイノベーション」ができる生成AIを目指す
「Level 5」
AGI(汎用人工知能)の段階。それら個々の英知を有機的に結合した「組織的な高度作業」を担うことのできる生成AIの実現を目指す

ではでは、このAGIどれぐらいの年月で到達するのか?

同社のスーパーアラインメント・チームに4月まで在籍し、その後AGIに特化した投資会社を設立したレオポルド・アッシェンブレンナーさんは、論文の中で

「2027年に実現する」

と指摘。

そしてソフトバンクグループ孫正義さんは、人類の叡智を1万倍上回ると言われるASI(人工超知能)がこの10年前後以内で実現することを示唆しています。

ASI(人工超知能)
自我意識、創造性、論理的思考
など、人間の知的能力の全域を超越し、これまでにない革新的な解決策を提供する能力を持っています。ASIが実現されれば、科学的発見、技術革新、社会問題の解決など、あらゆる分野で人類の想像を超える成果をもたらすことが期待されます。人類の生活、社会構造、さらには人間の存在そのもの根本的な変化をもたらす可能性があります。

AI Smiley

…もう、これは…想像を絶する世界

それが10年後に実現しているかもしれないと思うと、…考えれば考えるほど衝撃的ですね…

一方で、冒頭の現代ビジネスに記事を寄稿したジャーナリストの小林雅一さんは、このように仰っています。

「同社(OpenAI)は2017年頃、つまり大規模言語モデル(LLM)の開発に着手した当初から、一部の作家らにそれらLLMを実際に使わせて、小説など自らの作品に対する影響をプラスとマイナスの両面から評価させている
(中略)
どうやら小説等に見られる創造性(つまり面白さ)はAIで実現するのが最も難しい領域であるようだ。
その主な理由は。その種の創造性を線形(段階的)に実現していくのが困難であるからだ。上記OpenAIの調査(実験)に参加した作家の中には「GPT-3からGPT-4になると、生成される文章はむしろつまらなくなった」と評価する人も少なくなかった」。

「GPT-3からGPT-4になると、つまらなくなった」という部分に非常に興味をそそられました

つまらなくなった原因を探ると「文章の精度を上げたこと」にあるとの見解が。

GPT-3が生成した文章には「誤情報」「幻覚」「偏見」などの問題が多々あったそうです。

その問題を解決するため、GPT-4ではできる限り

「精度が高く、良識に従い、安全で予測可能」

となるように改良

しかし、精度を求めるあまり、面白さを相殺してしまったと、小林さんは分析しています。

「小説などで読者の関心を惹く魅力的な登場人物とは多くの場合、社会常識や良識など意に介さないアウトローだ。周囲が放っておけば何を言い出すか何を仕出かすか分からないようなキャラクターが展開する、予測不能な筋書きに私たちは惹きつけられるのではなかろうか」。

小林さんはそのように解説しておりますが、「精度」「予測可能性」など科学的な評価基準単純な面白さ異なるというのは頷けますね。

つまり、創造性とはある種の “いい加減さ” が必要なのではないかということです。

マーケティングの世界では有名な話ですが、スティーブ・ジョブズさんはマーケティングリサーチを好まなかったと言われています。

つまり、マーケットイン的な商品開発ではなく、自分の心の底から湧き上がるようなアイデアでなければ、世の中にインパクトを与える斬新な商品は生み出せないという考えなわけです。

こうした考えは、改めてAI時代の「人間ならではの創造性」というものに向き合わせてくれるのではないでしょうか。

もちろん、世の中に受け入れられなければ、商売としては成り立ちませんが、

本当に自分の心が熱くなるもの、みんなに推奨したものが生み出せているのかどうか?

自分の「偏愛」にして社会にウケるように創造していく、この “良い” 加減が、ますます重要になるのかもしれませんね🤔

仕事でも、noteでも、どんな時代になっても創造していきたいとは思っているので、「ならでは」の創造性を磨いていきたいと思います〜

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?