![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/135281786/rectangle_large_type_2_662ff5f24c7fb7a3658e123a19448829.jpeg?width=800)
強いコンセプトを生む「引く力」
column vol.1167
今日は、ちょっと「コンセプト」についてお話ししたいと思います😊
説明不要だと思いますが、改めてコンセプトを説明しますと、「終始一貫させる考え・構想」や「企画の骨組み」を指します。
マーケティングの世界だと、単なる一貫した考え方に留まらない「差別力」を持ったものとして認識されている。
つまり、強いコンセプトとは「唯一無二」であることを理想に、競合他社にはない価値を提示していることが重要になります。
そうした強いコンセプトを生み出す名手として名を馳せていた一人がスティーブ・ジョブズさんです。
では、その源泉となっていた考え方とは、どういうものなのでしょうか?
強いコンセプトを生む「シンプル」化
ジョブズさんは生前、このような言葉を残しております。
「目標を設定し、達成する際に、複雑さに巻き込まれる」
〈lifehacker / 2023年10月17日〉
分かりやすい例でいえば、組織で何か新しいものを生み出す場合、
課長→部長→役員→社長
と決済をとるたびに、さまざまな意見が盛り込まれ、複雑になってしまう…
そんな経験を持った方は多いのではないでしょうか…?
他にも、会議でいろいろな意見を調整しているうちに、結果的に明快さを失ってしまうというパターンはあるでしょう…
それは個人レベルでも起こり得ることです。
考え方を明確化し切れずに、ついつい目的の足し算をしてしまうという状態です。
例えば、新規客を獲得するために考え始めたことが、ついつい既存客のリピート率も高めたいなどなど、様々な可能性を盛り込んでいくうちに、自分でも当初の目的を忘れてしまう…
つまり、裏を返せば、考えをシンプル(明快)に保ち続けることというのは、想像以上に難しいことなのです。
ジョブズさんは、こうした複雑さの罠を
シンプルであることは、複雑であることよりも難しいときがある。
物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値はある。
なぜなら、一度そこに到達できれば、山をも動かせるからだ。
と表現しております。
そして、シンプルさへの追求は、他のビッグテック経営者も重要視しているのです。
「PowerPoint使用禁止」で目指したこと
Amazonの元CEOであるジェフ・ベゾスさんです。
2004年夏、同社である決断をしたことが話題になりました。
それが、「PowerPoint」の使用禁止です。
〈lifehacker / 2024年10月17日〉
これにより、Amazon経営チームのメンバーは、自身のアイデアを売り込む際に、メモや、ストーリーのあるセールストークなどの手段を使わなければならなくなりました。
ベゾスさん曰く
「明快な文章とは、その裏にある明確な思考の反映であり、より良い意思決定につながる」
とのことです。
このパワポ禁止というのは、ちょっと分かる節があります。
私が一番仕事で使っているのが、まさにパワポなのですが、企画書で図表や写真を使うと、それだけで「っぽく」見えます。
それに、プレゼンの際に、ストーリー立てて企画書をつくれば、クライアントに対しても説得力も増すわけです。
しかし一方で、それで決まったとしても、施策に展開する時、その企画書付きでエンドユーザーの方々とコミュニケーションするわけではありません。
つまり、本来ならば、企画書がなくても、明快にその企画の意図が伝わり、認められなければ、マーケティング施策としては機能しないわけです。
当社の先代社長が昔、ページ数ばかり多い私の企画書を見て
「お前さ、お客さんはお前の企画書を見て商品を買うわけではないんだから、せめてペライチ(1枚)で伝わる企画を考えろよ」
と言ったことがあります。
企画書1枚で、しかも、余計な説明もなく、その価値が伝わるものを考える。
…未だペライチの企画書でプレゼンに臨むことはできていませんが、ペライチで伝わるぐらいのクオリティで考えることは、いつも大切にしています…(汗)
コンセプトは「引いて」考える
ペライチで伝わる企画書を考える上で、重要なのは「引いて(ズームアウト)」考えることだと思います。
このことを、オルタナティブ・ブロガーの田中猪夫さんは、『仕事を減らす』という書籍の中で分かりやすく解説してくださっています。
〈現代ビジネス / 2023年12月14日〉
田中さんは「マクドナルド」を例に挙げていらっしゃいます。
皆さんは、マック(マクド)は何を売る会社か、ご存知ですか?
そうですね、ハンバーガーです。
…しかし、田中さんは「そうではない」と指摘します。
実は「不動産会社」であると仰っているのです。
マクドナルドの直営店とフランチャイジーの比率は全世界では1対9、日本では3対7とフランチャイジーが圧倒的に多い。これは大多数の店舗で、マクドナルドの本部が出店予定地と建物と設備を取得して賃料契約をするということだ。
賃料は売上に連動するため、店舗経営がうまくいけば不動産コストよりかなり高い収入が見込める。この契約を増やすことで、マクドナルドは莫大な利益を生み出しているのだ。
なるほど…、確かにそう言われてみれば、そうですね…
少なくとも、ハンバーガーの力だけで今の地位を獲得しているわけではないというのはあるでしょう。
引いて考えることで、マックの本当の力が見えてくる。
そういうわけです。
高台から街を見渡すと、より街の構造が見えてくるように、より俯瞰した視点でコンセプトを見つめると、一番大切な部分が見えてくる。
では、引いて考える力はどのように磨かれていくのでしょうか?
私は、その1つに「Why」という問いかけがあると思います。
なぜ、マックは圧倒的なシェアを獲得しているのか?
それは、本当にハンバーガーの力だけなのか?
と、そんな感じです。
前提(固定観念)を疑うことで、きっと、本当の価値が見えてくる。
この辺の話は、以前【ビジネスは「Why」から始めよう】でも書いておりますので、まだ読んでいない方で、今回の話に興味を持ってくださった方は、ぜひ併せてご覧いただけると幸いです😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?