ビジネスは「Why」から始めよう
column vol.1068
本日は美容師・理容師の経営者・マネージャークラスの方々が集まる「アリミノスクランブルクラブ」の講演があったのですが
〈アリミノスクランブル / Webサイト〉
私の講演のテーマが「パーパス」。
企業にとって「自分たちの会社の存在理由」「社会に対して果たすべき役割」を明らかにすることが大事だという話をいたしました。
パーパスを明らかにするには「Why」という問いかけが必要になります。
つまり、企業の理念や実践はこの「なぜ?」という問いかけから始まります。
しかし、実はこのWhyで考えるという姿勢は、ビジネス全ての局面で必要で、それは雑用にまで至ります。
そのことは、『リーダーは低い声で話せ』、『緊張して話せるのは才能である』の著者であり、プレゼンテーション・コンサルタントの永井千佳さんも仰っています。
〈日経ビジネス / 2023年7月24日〉
「Why」「What」「How」という3つの言葉のうち、最初に問わないといけないのが「Why」だと。
その理由を永井さんの記事にインスパイアを受けながら解説したいと思います。
「Why」が相手の真意に導く
まず、皆さんに1つ質問をさせていただきます。
もしも、あなたも同僚もめちゃくちゃ忙しい日々の中、上司から社長のお達しを2つ告げられたとします。
これを聞いてどう思われますか?
恐らく十中八九の方が
と思うのではないでしょうか?
特に「朝の掃除を義務付け」することで、「残業時間は増える」可能性が高いわけで、矛盾を感じる方も多いでしょう。
これでは、社長への不信感が芽生えそうです…
しかし実はこれ、矛盾を感じるのは「Why」を飛ばして「What」に目が行ってしまっているからなのです。
つまり、「やること」に全集中している。
確かに「残業時間を減らすこと」と「掃除の業務が増えること」は相反します。
しかし、「Why」に遡ったら、社長の真意が分かるかもしれません。
そうして「なぜ(理由)」を確認すると以下のことが分かりました。
つまり、社長の真意は「社員の健康を守りたい」ということにあるわけです。
こうして「Why」で考えることで矛盾が解消されるわけです。
「Why」で相手の心を動かす
多くの社長は「Why(目的)」を語り、例として「What(何をするのか)」を挙げ、「How(どうするのか)」は現場に任せます。
今回のことも社長は役員に
社員の健康を考えつつ、やり方は現場に任せると言っているわけです。
私から見れば良い社長です(笑)
でも、次に役員が部長に伝えると、こんな風に割愛されてしまう場合があります。
さて、どうでしょう。
社長が一番重要視していた「社員の健康第一」が抜けています。
これは組織の中ではよく行われることです。
そうして現場には「やること(What)」だけが伝わり、「Howはお前で考えろ」となるわけです。
ただし、現場もその矛盾をただ単に「酷い社長だ」と決め込んでしまうのももったいない。
もちろん、それは理想論かもしれませんが…、もう少し社長を信頼してあげて、「きっと会社のことを思って言っていることもあるはず」と思えれば、「Whyへの探究」が始まります。
それは「社長への想い」という美しい話ではなく、その方が社員にとってもメリットがあるわけです。
なぜなら、「健康第一」に大義名分に社長を動かすことができるからです。
社長が一番強く望んでいるのは「健康を守ること」です。
そこさえ外さなければ、別に社員が全て掃除しなくても、床掃除はルンバに任せることだってできます。
それなら、社員は掃除するという新たなミッションから解放されます。
社長が本当に望むものを叶えられさせすれば、方法論なんてどうでも良いからです。
しかし、ついつい「社長が朝、みんなで掃除しろ」と言ったこと(What)を遵守しようとしてしまう…
大切なのはWhatではなく「Why」なのです。
「Why」を考え期待を超える
さらに、「Why」さえ掴んでしまえば、さまざまなアイデアが思いつきます。
社員の健康を高めていくために空気清浄機を導入したり、ストレス解消のためのレクリエーションを用意したり、慰労を兼ねて健康グッズを配布したりと、数えきれないほど頭に浮かぶはずです。
そうして、自分なりのアイデアを出していけば、社長から見ても「あの人は、いつも期待以上の仕事をしてくれる」となるはずです。
特に社長は自分の考えや願いを社員みんなに浸透させたいと思っているので、社内報やSNS、普段の雑談などで、伝えようとする傾向にあります。
直接話す機会が多くはなくても、そうした発信を上手くキャッチするだけで、社長の真意を理解し、心を動かせる可能性は高くなるのです。
もちろん、それはクライアントに対しても同じです。
いかに視察、メディア・SNS分析、担当者へのヒアリングなど、さまざまな方法から「Why」を探ることが肝要です。
分かりやすい話として社内の話を例に出しましたが、「What」から考えるか「Why」で考えるかで大きな違いがあるというのご理解いただけたかと思っております😊
よく私の記事で例に出しますが、同じ石垣を積むという仕事も
と思うのか
と思うことで、仕事に対するモチベーションだって変わるわけです。
確かに仕事が忙しければ忙しいほど、前置きをなくして「何をすれば良いの?」と確認したくなる気持ちも分かります。
そこをちょっと時間を使って「Why」を掴み、腹落ちした方が仕事に前向きになれますし、期待を超えられる自分を育むことになるはずです。
そんなことが改めて大切だと思う今日この頃です。
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