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ハンデ“ならでは”のバリュー

column vol.1303

厚生労働省が発表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業雇用されている障がいを持つ方々の数は64万2,178人で前年より4.6%増加

過去最高を記録しました。

しかも、最近では単に就労が進んでいるだけではなく、障がいを持った方 “ならでは” の活躍も見られるのです。

今日は、そんな好事例にスポットライトを当てたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

手話をもっとスタンダードに

最近、注目を集めている1つが「手話ダンス」でしょう。

韓国の人気アイドルグループ「BTS」が楽曲のなかで「楽しい」「平和」などの言葉を国際手話で表現したことで、手話ダンスが認識されるようになりました。

〈FNNプライムオンライン / 2024年9月7日〉

ちなみに手話ダンスとは、曲の歌詞手話で表現して、振り付けにして踊るダンスのこと。

最近では、一般の方々の中でも、手話ダンスにトライする方も増えています

そうした中、注目が集まっているのが「手話の専門家」です。

日本パラファンク協会副理事の菊田順一さんは、

「ろう者の方や手話の得意な方の介入がないと、ダンサーだけだと手話がダンスになってしまう。手話はわずかな指の角度でも全く意味が異なるので、通訳の役割の人がキーパーソンとなる」

と、その重要性について語っております。

歌詞同じ言葉が、手話にはないことがあるので、曲のニュアンスを正確に伝える「手話訳」専門性が高く、センスが必要とのこと。

非常に奥深いワケです。

こうしたことから、新たに障がいを持つ方の就労が広がることが期待されています。

考えてみれば、言語インバウンドなどがあり、使える状況が整ってきていますが、手話についても同じで、誰もが最低限のコミュニケーションを知っておく方が良いわけです。

手話ダンスの広がりは、そうした未来を期待させてくれる。

今後の展開が楽しみですね。

さらに、菊田さんの次の言葉にも共感しました。

障がいのある人だからこそ出せる雰囲気や動きがあると思う。障がいがあるからこそ伝えられる動きだったり、健常者では、まねができないところなので、障がい者の強みとして広まっていけばいいと思っています」。

今回のテーマである「障がいを持った方ならでは」の価値があるわけです。

唯一無二のセンス

障がいを持つと言っても、多岐に渡るので一括りにはできませんが、制約がある分、他の能力が研ぎ澄まされていることが多く、それは私たちにはない魅力

そうしたことが比較的認識されているのがアートの世界ではないでしょうか?

今、注目されている企業の1つが、国内外の知的障がいを持つ作家ライセンス契約を結び、アート作品を世に広げている「ヘラルボニー」です。

最近で言えば、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 」「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン」部門で、日本企業として初の受賞

パリを拠点とするヨーロッパ法人を設立したこともニュースななりました。

〈WWD JAPAN / 2024年9月24日〉

日本では、ホテルショップカフェ内装などに、同社が保有する3000点以上の障がい者アートが用いられるほか、日本航空のファースト・ビジネスクラスで配られるポーチ日本酒のラベルなど、様々な場所でIP(知的財産)としてのアートを活用

収益をクリエイターである障がいを持つ方々に還元しています。

ヘラルボニー ヨーロッパを指揮する忍岡真理恵CEO

「将来的な目標は、草間彌生さんの作品のように、トップブランドのスタンダードな商品に障がい者アートが活用されること。“ネクスト・草間彌生”を生み出したい。そのためにもまずは、電車のラッピングやボストなど、アートが街の中に溶け込み、パリ市民の目に留まることを目指したい」

と、その熱意を語っていらっしゃいます。

こうした企業によって、「ならではのセンス」がもっと身近になる。

とても素晴らしい取り組みです。

ベットからつながる社会参画

最後は、寝たきりでも社会活躍できる世界を築く企業の挑戦をご紹介したいと思います。

株式会社オリィ研究所では、ベットの上から遠隔操作できる分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を開発。

就労だけではなく、誰もが社会接点を持てる未来を実現しようとしています。

〈サストモ / 2024年7月25日〉

視線入力画面のタッチを行いOriHimeを遠隔操作することで、ロボットの体を借りて、リアルタイムにその場に存在することができるのです。

同社は、まず2021年外出困難者である従業員が分身ロボットを遠隔操作しサービスを提供する 「分身ロボットカフェDAWN ver.β」をオープン。

現在は80名ほどがOriHimeを操作するパイロットとして働いています。

さらに2023年10月のOriHime一般販売以降には、企業の受付説明員など、活躍できる職場が広がっているのです。

もともとは、同社共同創業者代表取締役所長CVOの吉藤オリィさんが学生時代、リアルコミュニケーションは苦手だったけど、オンラインだったら問題なかったという経験から思いついたロボット

ですから、引きこもりの方の社会参画としても期待されています。

また、育児真っ盛り家で働きたい方もいらっしゃるでしょうし、様々なニーズに応えてくれそうです。

そして、吉藤さんはこのような視点もお話しされています。

健康寿命を過ぎて体を動かすことが難しくなる可能性は誰にでもあるわけです。寝たきりの先輩たちの中には、視線入力で絵を描いていたり、DJをやっているALSの方もいます。ぜひ皆さんには、『大人になったら何をしよう』、『老後の暮らしは何をしよう』と考える延長線上で、『寝たきりになったら何をしよう』と、"かっこいい寝たきり"を将来のキャリアとして考えてみてほしいんです」

誰の未来にとっても希望となる。

OriHimeの今後の展開に期待したいところです。

ということで、本日は【ハンデ“ならでは”のバリュー】と題して、障がいを持つ方々の活躍をお届けさせていただきました。

ますます様々な方々様々な想い花開くと良いですね😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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