![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/95605124/rectangle_large_type_2_8ac559adf5c93345197621090b53536b.jpeg?width=800)
「中速車線」が最も遠くに行ける
column vol.896
「中速車線」とは、高速道路の三車線の中の “真ん中の車線” です。
フォーブスジャパンの【仕事の障壁となる「努力のし過ぎ」 控えることで得られるもの】の中で、筆者のデデ・ヘンリーさんが
努力のし過ぎとは、体や感情、知的強度の面で多大な努力をすることを意味する。こうした努力はもちろん、働く上で一部の作業には必要となるものだが、慎重になることが必要だ。毎日の生活に超人的な努力が必要なわけではない。
私の大学院の教授の一人は、「中速車線に乗る」という斬新なアイデアを共有していた。これは、高速車線と中速車線、低速車線が存在する高速道路を考慮した比喩だ。ハッスルカルチャーでは高速車線に乗り、周囲の人よりも高速で走らなければならないとされる。急いで走り、目的地に一番乗りする必要があるのだ。
中速車線に乗る極意は節度とペース配分だ。目的地には着くものの、燃料がそれほどすぐに底を尽きることはない。
と語っていらっしゃるのですが、非常に共感いたします。
〈Forbes JAPAN / 2022年12月25日〉
スピードを出し過ぎると、事故に遭う可能性も高くなりますしね。
私の場合、こうした人生観を教えてくれたのは「マラソン」でした。
マラソンは「適正」を教えてくれる
私は30代の10年間、フルマラソンのレースに出ていたので、「走ること」が生活の中心にありました。
始めは完走目的だったのですが、サブ4(4時間を切ること)、そしてさらにタイムを短くすることが目的になり、練習、ケア、食事などに対してストイックに取り組み、修行僧のような禁欲生活を過ごしていました。
とはいえ、マラソンは何よりも「適正」が大切。
レースについては
最初の5kmは「慣らし」 → 適正ペース → 残り5kmでラストスパート
この組み立てを崩すと、大抵撃沈します…
適正ペースは普段の練習や直近のレースを参考に、事前に設定しておきます。
落とし穴は、10〜25km辺りを走っていて、自然といつもよりもペースが上がっている時。
「自然と速くなっているということは今日、調子良いんだな〜」と思ってそのペースで走っていると、突然30km超えた辺りからガクンとペースダウンしてしまう…
これはレースの興奮状態だったり、周りのランナーにつられて、無意識のうちにペースが上がっているだけだったのです。
本当に調子が良いのか、ただテンションが上がっているだけなのか、この辺も自分の性格や直近のコンディションを考えて判断しないといけない。
しかも、適正を貫くのはレースだけではありません。
本気でタイムを縮めるためには1年かけて練習を積み重ねていかないといけないのですが、そもそも目標は適正か、練習量・メニューのバランスは適正か、その辺を見誤って過剰な練習を繰り返すとオーバートレーニング症候群になったり、ケガをしてしまう。
そうなると、その後の練習計画が台無しになり、レースで結果を残せなくなってしまうのです…
ストイックに練習しながらも、適度に甘やかす。
つまり、マラソンとはシンプルそうに見えて、実は高度なマネージメントスポーツなのです。
自分で自身のコーチ役を務めることもあり、仕事にとっても活かされる良きマネージメントのトレーニングになるのです。
「努力し過ぎない」ことで遠くに行ける
この「適正」を大事にする考え方は、その後の40代の人生に活きています。
仕事やnote。
やはり、世の中、私よりも優秀な方や努力されている方も多いので、ついついペースを上げてしまうことがあり、時に疲労感(徒労感…?)や虚無感を感じることがあります。
そうなると面白くなくなるので、ペースを上げなかった時よりも遠くにいけない可能性があります。
例えば、noteでいえば、高いクオリティや反響を期待し過ぎてしまい、苦しくなってしまえば、私はnoteを止めるかもしれません。
そうなると、もったいですが…ゼロになってしまう…
しかし適正のレベルを意識してやっていければ、10年後に想像しなかった境地に立っているかもしれません。
マラソンも最高のペースで走っていても、最後の1mでリタイアしてしまったら…、、、それと同じですね。
私にとってのnoteの適正は「一日一本しか書かない」「反応よりも、その日の書きたいことを優先する」、
そして、本当に書きたくない時は「書かない」ことです。
ただ書かないと決めた場合は、タイトルとヘッダーの写真、書き出しだけは進めておく。
でも、大抵は始めれば書き上げてしまう。
これも、マラソンのトレーニングの時の経験が活きています。
30km走やスピードトレーニングなどキツイ練習の前は、ため息が出るほど嫌になることが多いのですが、そんな時は「ウェアに着替えて、靴を履き、軽くアップをする」ことだけを目標にします。
アップしてやっぱり嫌だったら帰ると。
でも、アップすると体とともに心も温かくなるので、大抵練習は進む。
でもでも、ちょっと疲れが溜まっているのではないかと疑い、少し抑えた練習で、気持ち良く終えるようにする。
全てを適正にやっていくことが、燃費良く遠くに行ける道に繋がっているのです。
自分に向き合えているか、疑う
仕事もnoteも適正ペースを守るということが、冒頭の「中速車線」ということでよりイメージしやすくなりました。
基本はほど良いペースで走り、がんばらないといけない時は高速車線に移り、ゆっくりできる時は低速車線に移動する。
右側をビュンビュン走る車に対しても「車線が違うからね〜」とつられず、ペースを守る。
気をつけなければならないのは、適正ペースは一定であるようで一定ではないことです。
その時の置かれている状況だったり、感情の状態によって、がんばれる量も違いますし、事と次第によってはケアに充てた方が良いかもしれません。
例えば、物凄くストレスを感じた日は、1日1時間と決めた資格の勉強も30分に減らし、残りの時間を自分を甘やかす時間に充てた方が良いと思うのです。
『6つの思考スキルが最高評価をつくる 脳内編集力 正解がない世界で自分らしく生きる思考法』の著者である北村嘉崇さんはlogmiBizの記事の中で、「第三者的な視点」を持って自分を見つめることも大切さを語っています。
〈logmiBiz / 2022年12月1日〉
特に自分の感情を的確に自覚することを促しております。
「いやいや客観的に見なくても自分の感情なんて分かるでしょ」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、北村さんに言わせれば、感情を表す言葉は喜怒哀楽の4つだけではない。
感情語って本当は50でも100でも、「感情語辞典」というものがあるくらい言葉がいっぱいあるんです。
「感情語辞典」なるものがあるなんて知りませんでしたが、それだけ人間の感情というのは複雑なんですね…(汗)
自分の中にある複雑さを上手く理解しながら、的確に自分の適正を判断し、自身を燃費良く遠くに導いていきたいものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?