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地方創生の “未だかつてない” 一手

column vol.866

気がつくと12月も前半が終了しようとしています。

今月は31日までなので、明日のハーフタイムを挟んで、残りの後半15日が終わると2023年が始まります

月日が経っていることすら感じられない忙しない日々の中で、それでも感じる冬の寒さ…。

ますますコタツが恋しくなる日々が続きますが、今週、コタツにまつわる衝撃の風景を目にいたしました。

それが、…こちらです…。

TBS NEWS DIG

田んぼを貸し切って「コタツ」を置いたワケ

…これは、何のお戯れなのでしょう…?

広大な田んぼの中にポツンとコタツが置かれています。

置かれた場所は福島県西会津町

福島県の西端、新潟県との県境に位置した小さな町です。

そして、この田んぼコタツを企てたのは、町職員として地域振興に日々奮闘する青津京介さん。

実はこの企画、れっきとした町おこしのアイデアなのです。

〈TBS NEWS DIG / 2022年12月12日〉

青津さんはこのように語ります。

地域の資源を使って人が集まる場をつくりたかった。高齢の人は集まったりするけど、町の若い人は個人行動が多い。コタツって昔からどの家にもあるじゃないですか。家族で、友人で、飲み会で普通に使われるし、年齢を問わない。何かできると思った。

実際、こんな感じで人が集まってきています。

TBS NEWS DIG

実際、この町は高齢化が顕著に進み、共同生活の維持が限界に近づきつつある、いわゆる「限界集落」。

未だかつてない発想で村の若い人たちの交流を促し、さらには都市部からの移住を考えている若い人たちの目に留めようと、今回の企画を考えたそうです。

その基準の1つが、Google検索

『田んぼとこたつ』と検索しても出てこないアイデアにしました。

確かにニュースに取り上げられているので、青津さんの戦略はハマっています。

ちなみに、こうした大胆な発想は他の地域でも見られます。

お墓に派手なペイント!?なぜ??

もう1つは、沖縄市の事例をご紹介いたします。

アーティスト兼デザイナーの平良宏希さんは、「清明祭(シーミー)を親しみやすくしたい」と、お墓に鮮やかな模様を描く試みを行っています。

〈沖縄タイムス+ / 2022年12月12日〉

そのペイントとはこんな感じです。

沖縄タイムス+

なるほど…、なかなかアバンギャルドですね…

当然のことながら…、お墓に色を塗ることに反対の意見もあったそうですが、平良さんは

これをきっかけに沖縄の墓やシーミーに親しみを感じる人が増え、伝統継承に繋がれば嬉しい

と覚悟を決めています。

平良さんとしても、ただの突飛なアイデアになるべく見られないよう、「琉球王朝」を彷彿とさせる色を選び、デザインは沖縄の墓が持つ「母体回帰」の意味をイメージするなど、意味合いを深めていらっしゃいます。

何もしなければ縮小する一方であるならば、最大限ギリギリのところを攻めて注目を集めないと廃れてしまいます。

反対を受けながらも、できる限りの調和をとり、前に進んでいく。

企業のイノベーションのヒントとしても非常に考えさせられますね。

NFTで「限界集落」を救う

最後は、冒頭の西会津町のような限界集落を救う今時らしい取り組みをご紹介して終了したいと思います。

2004年、新潟県中越地震により甚大な被害を受けた小さな村NFTにより時代の最前線の地域として世界に認知されるようになりました。

それが、人口わずか800人ほどの旧・山古志村(現・長岡市山古志)です。

〈@DIME / 2022年12月7日〉

昨年12月、世界で初めてNFTアートによる財源確保のプロジェクトを開始したことで一躍脚光を浴びるようになりました。

錦鯉のNFTアート「Nishikigoi NFT」を販売し、NFTの保有者は「デジタル村民」として、オンライン上での議会投票権などを与えられる。

そのかいあって、現在、デジタル村民は950名を超え「リアル村民」の数を上回っています。

「世界初のNFTアートによる財源確保」ということでバズが生まれ、認知が広がり、「地震により甚大な被害を受けた」過去で関わろうと思う人が多く生まれた

つまり、NFT作品が欲しいというよりは、応援したいという気持ちがこのプロジェクトを加速させているのです。

そういう意味で、負の遺産を話題のコンテンツによって大きくプラスに変えたという好事例です。

デジタル村民はチャットサービス「Discord」上に集まり、地域創生に向けた議論を実施。

今年2月には「山古志デジタル村民総選挙」が行なわれNFTの売り上げの一部を創生プランの予算に充てることが決定しています。

NFTを媒介にして、新たな関係人口をつくるという手法は、今後の地方創生に大きなヒントとなるとともに、一方で、「関わりたい」と外部の人たちに思わせるストーリーの提示が、ますます重要になるとも感じます。

それぞれの地域の新たな展開に、今後も注目して参りたいと思います。

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