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ビジネスを動かす「芸人」の力

column vol.1040

最近、ビジネスシーンにおいて芸人さんの活躍が一層目覚ましいと感じています。

例えば、吉本の芸人さんと美容メディア『VOCE』のコラボ企画です。

〈VOCE / 2023年6月1日〉

美容業界としては、まだ獲得し切れているとは言えないメンズに狙いを定めたいところ。

記憶に新しいところで言えば『コスメデコルテ』大谷翔平選手を起用したことが有名ですね。

しかも、今回興味深いと思ったのは、美容に興味のない芸人さんと組んでいる点です。

美容に興味がない男性に寄り添う企画

というのは、「メンズコスメが広がっている」とメディアでは報じられていますが、実際のところはまだまだ少数派であることは否めないからです。

共通ポイントサービス「Ponta」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティングが昨年の秋に1000人を対象に実施した調査によると、メイクアップコスメの使用率は、男性全体で4%

もちろん、20代は30代以上の世代と比べると柔軟な姿勢を見せますが、それでも11%です。

〈PRTIMES / 2022年12月2日〉

そんな中、今回白羽の矢が立った芸人さんは皆、美容に興味がないアラサー男性たち。

その一例が、素敵じゃないか、オフローズ、令和ロマンの3組、合計7名『VOCE』編集部スタッフと一緒になって制作しているYouTube番組『ウレアカ?』です。

〈YouTube / ウレアカ?〉

ウレアカ?とは

売れ(ウレ)ている芸人は垢(アカ)抜けている?

の略。

売れるから垢抜けるのか?垢抜けたから売れるのか?

「お風呂に入っている以外の美容はしていない」
「考えたことがない」
「カッコつけるのは恥ずかしい」

それでも、とにかく垢抜けて売れるのであれば、美容に向き合うというのが彼らの姿勢です。

そして、垢抜けるために努力する7人の姿を観察して楽しむというのが『ウレアカ?』のコンセプト。

この辺のマインドは非常に分かります。

私はカッコ良くもないですし、モテる人生ではありませんでしたが…、実はそうしたネガティブなマインドがカッコ良さ(美容・メイク)を遠ざけてきたと最近では思っているのです。

実際、メイクなんて考えたことなかったですし

メイクがOKな人=カッコ良い人

という図式が頭の中で出来上がっていたことは間違いありません。

ただ、たまたま一度、モデルの撮影の際、ヘアメイクさんが半ば強引に私の目の周りをメイクしたことがありまして、その時「こんなにも印象が変わるのか…」と驚いたことで意識が変わりました。

本当は自信がない人ほど、メイクに前向きになった方が良い。

もちろん、40代後半の既婚者である私としては今さらなのですが(笑)、それでも、恋する男性たちがモテるためにはメンズメイクは広まった方が良いのではないと感じています。

そうした意味で、芸人さんたちがその先陣を切るというのは、一般男性にとって非常に良いことなのではないでしょうか?

番組の今後の展開と、これからの社会への影響力について、非常に楽しみだと思った事例でした。

芸人力で社会をもっと豊かに

社会を変えていく

ということで言えば、芸人さんによる社会貢献型の取り組みも多く見られます。

例えば、「地方の人手不足解消」です。

7月に、群馬県は県内の基幹産業である製造業の人手不足解消につなげるため、東京都周辺や県内の就職希望者を対象に、自動車関連など県内製造業の魅力を伝える無料バスツアーを開催するのですが

このガイドを務めるのがこれまた吉本の芸人さんたち。

〈毎日新聞 / 2023年6月19日〉

「吉本芸人と行く!ぐんま就活バスツアー」と題し、文系理系問わず、新卒や転職・求職希望者を広く募っているのです。

〈ぐんまde就活ナビゲーション / Webサイト〉

これも地方創生の1つなのでしょうが、そもそも吉本はこれまでもずっと地方を元気にしてきました

2011年から始まった「あなたの街に住みますプロジェクト」は今年で13年目に突入。

〈MO民放online / 2023年5月22日〉

この企画により、47都道府県全て"住みます" 芸人を派遣し、自治体や地域企業などとのネットワークを築き上げているのです。

そして、そうした想いを結実させているのが2022年に開局したBSよしもとです。

驚くのが、この局は視聴率を重要視していないこと。

視聴率を追いかけるがあまり、最初に掲げた地方創生のテーマから外れていくことを避けているのです。

では、どのように収益を上げているのか?

その1つが「一番組一起業」という考え方。

住みます芸人たちが自分たちの街でビジネスの種を探し、それを各番組で取り上げて1つの会社をつくっているのです。

そしてその企業を育て、ゆくゆくはスポンサーとして番組に出稿してもらったり、その企業の上場によって上場益を得たりするビジョンを描いているというわけです。

こうした理想を追求したチャレンジ精神によって47都道府県全てを元気にしていく

詰まるところ、それを叶えていけば、当然のことながら日本全体が元気になっていくというわけです。

「芸人」がなぜ必要とされているのか?

こうした話を集約していくと1つの結論が見えてきます。

各企業(業界)が芸人さんに求めているのは、単に影響力だけではないのかと感じます。

ポイントだと思うのは、彼らが持つ「明るさ」です。

もちろんユーモアもそうなのですが、例えば夢を持つ強さだったり、ポジティブさであったり、兎にも角にも皆を明るい気持ちにさせられる力なのではないかと感じています。

当社の先代社長のもとには引っ切りなしに人が集まっていたのですが、改めて思い返すと、彼は常にこれからの人生に期待し、ワクワクしている人でした。

谷口という名前なのですが、よく「たんち(谷口の愛称)は、太陽みたい」と言われていたそうです。

とにかくいつも楽しそうにしている姿が、周りの人たちからすると魅力的に映っていたのだと思います

私がnoteを書く上で大切にしていることの1つに、自分自身が楽しんで書くということがあるのですが、そのルーツは谷口のそんな姿勢が影響していると感じています。

ポジティブな人に人が集まるならば、ポジティブな法人にも人(お客さん)が集まるということもあるでしょう。

そう考えると、「明るさ」というのは特に今日の不安社会においては、それだけでも大きな価値となり、求心力になるのではないかと感じます。

最近、若い世代の間で80年代のハリウッド映画がトレンドになっていると聞きますが、その理由も「爽快な明るさ」にあります。

芸人さんのポジティブなエネルギーは現代社会の「カタルシス」と捉えると、分かりやすいかもしれませんね。

個人的にも、仕事でも、noteでも「人を明るい気持ちにする」ということを改めて重要視していきたいと思う今回の事例記事でした。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました😀

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