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なぜ「金持ちケンカせず」なのか?

column vol.1002

「金持ちケンカせず」という言葉がありますが、なぜケンカしないのでしょうか?

デジタル大辞泉ではこのように書かれています。

金持ちは利にさとく、ケンカをすれば損をするので、人と争うことはしない。または、有利な立場にある者は、その立場を失わないために、人とは争わないようにする。

この言葉について分かりやすく解説する記事がありますので共有させていただきます。

『33歳で資産3億円をつくった私の方法』の著者で、米国公認会計士・午堂登紀雄さんが執筆した【怒りっぽい人や正義中毒の人はお金持ちになれない?感情的になると貧乏になる理由】という記事です。

〈All About / 2022年10月4日〉

午堂さんはケンカしないで冷静でいられるポイントを「知的基盤」と言及されています。

その理由にまずは触れてみたいと思います。

「知的基盤」を磨くことで冷静になれる

午堂さんはこのように理由をお話しされています。

仮に何か不測の事態が起こっても、成功するような知的基盤がある人はその感情を即座に制御できるので、精神状態の起伏がなく、常に冷静になれるのです。それがつまり、小さなことでいちいちカッとなったりしないという行動に表れるというわけです。

怒りとは「怯え」

何か大切なものが脅かされる時に怒りの感情が湧き上がるというメカニズムがあります。

例えば、自分の信じている「正義」

それは、シリーズ80万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』の著者である田村耕太郎さんも、戦ってしまいがちな人が持つ5つの特徴の最初に挙げたのが「正義感」です。

〈AERA.dot / 2023年4月14日〉

しかし、人間に欲がある限り、それはひょっとしたら「自分にとって都合の良い正義」かもしれません。

また、子どもの頃に親や先生に教えてもらった考えを「絶対的な正義」として信じ過ぎている可能性もあります。

人間は不完全な生き物であるわけで、完璧な正義はない。

午堂さんは

「そういう考えもある」「そういう状況もある」「そういう立場の人もいる」など、さまざまな事情を理解することを「認知的複雑性」といいますが、自分の正義を押し付ける人は、「認知的複雑性」が低い

と指摘し、教養を身につけることで、多様な考えや価値観があることを理解できるようになり、さまざまな人に寄り添える自分になれると説明しています。

実際、富裕層には「認知的複雑性」が高い人が多いそうですよ。

さまざまな考えや価値観があることを知っているので、常に冷静でいられる。

常に冷静でいられることで信頼が集まり、自ずとお金も集まってくる

だから「金持ちケンカせず」という言葉が生まれたのでしょう。

「自分は客観的に見れている」の落とし穴

「認知的複雑性」を高めていくことの重要性を整理した上で、気をつけたいのが「自分は客観的に見れている」という自信です。

…実は「客観的に見る」というのは非常に難易度が高く、残念ですが…、ほぼ「できない」と思った方が良いかもしれません…(汗)

人間には「先入観」や「偏見」があり、プレジデントオンラインの記事によると、認知バイアスは科学的に実証されているものだけでも200種類以上あるそうです…

〈PRESIDENT Online / 2023年4月29日〉

例えば、自分が知っていることは、他の人も知っていると思い込んでしまう「知識の呪縛」というものがあります。

ある実験の面白い結果があります。

参加者の一方のグループに、頭の中で有名な曲を思い浮かべながら、その曲のメロディに合わせて机を指でタップしてもらい、もう一方のグループには、それを聞いて曲名を当ててもらうという実験なのですが…

タップした参加者「聞き手の半数は曲名を当ててくれるだろう」と自信をもって推測したものの、正解したのは150曲中たったの2曲

自分の知っていることが、誰もが知っていることではないと分かります。

それは意見や考えでも同様の錯覚があります。

人は「自分の意見や考え、行動が常に多数派であり、正しい」と考える傾向があり、それを「フォールス・コンセンサス」と言います。

フォールスは「偽の」、コンセンサスは「合意」という意味です。

ゆえに人は

自分は客観的に物事を見ている。それを否定する人々の認識がゆがんでいるのだ

思いがちになってしまうというわけですね…

同じ情報でも「受け止め方は千差万別」

さらに

同じ情報に触れて、同じく合理的に検討したなら、他の人も自分と同じ意見になるはずだ

と錯覚してしまうのも「ナイーブ・リアリズム」というバイアスの一種です。

ナイーブ・リアリズムには、「自分は現実を客観的に見ており、自分の意見は、得た情報をそのまま冷静かつ公平に吟味した結果だ」という自分に関する信念と

「同じ情報に触れて、同じく合理的に検討したなら、他の人も自分と同じ意見になるはずだ」という、他者に対する信念の両方が含まれるとのこと。

つまり私たちは、自分は正しく、その正しさを他者とも共有できるはずだと信じているわけです。

まず、そもそも同じ情報に触れたとしても、メンバーの受け止め方が全くバラバラであることがあります。

ですので、私は打ち合わせの時は最後に結論の確認をし、クライアントからのオリエンの時も要望を自分の言葉で再確認するようにしています。

それでも完全に情報が一致することはない

(時間が経つことでメンバーが頭の中で情報を書き換えてしまうことも含め…)

そういう前提でプロジェクトを進行していかないと「ナイーブ・リアリズム」の落とし穴にハマってしまうというわけです…

「分かり合えない」ことを「分かり合う」

ここを起点にコミュニケーションを深めていこうと考えていれば、そもそも怒ることは少なくなるはずです😊

「多様性」を許容するための「教養」

こうした考え方ができるようになると身につける教養も変わってくると思います。

私も以前は「絶対」が口グセの「正義マン」だったので、読書においても自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するための本を選んでいました。

何か自分の考えを肯定してくれそうな本だな

と思う本を読み漁っていました。

これぞ絵に描いたような「確証バイアス」です…(苦)

当然、教養を武器に議論には勝てるようになるので、自分の思い通りに話は進んでいくのですが、その代わりに失った信頼は多かったように思えます…

今は逆に

自分とは違う考えだな

という人の本もなるべく読むようにして、視野を広げるようにしています。

これは多様な考えや価値観を肯定するためのトレーニングになっており、リーダーシップを発揮する上での「知的基盤」になっています。

もちろん、最適解を目指しながらも、結論は1つに絞らないといけないですし、最後は自分の考えで決断するわけなのですが、それは不完全であることを謙虚に受け止めるようにしています。

どんな意見に対しても賛成はできなくても、理解は示す。

そんなことを意識しながら、今後も多様性を許容できるような教養を身につけていきたいと思っています。

以上が「金持ちケンカせず」という話でした。

ただ正直…、個人的には「認知的複雑性」を高めたとしても富裕層になれる自信はありません…(汗)

それでも、いつも怒っているお金持ちが幸せかどうかは分かりませんので…、なるべくニコニコしている庶民でいたいと思っています〜

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました😊

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