「コンビニ」のヒットの法則
column vol.997
GWが始まりました〜
そのお祝い(?)に、昨夜は妻と外食飲み会を行いました。
私はお酒を飲むと必ず寄りたくなるのが「コンビニ」。
酔っ払っていると、店内が小さな夢の国に感じるのです😊
もちろん、シラフの時もコンビニは好きでして、あの限られた空間に欲しいものが厳選されて並んでいる姿は、まさに圧巻。
やはりワクワクします〜
その中でコンビニ各社が、現在どんな新しい一手を打っているのか?
本日は「セブインイレブン」「ファミリマート」「ローソン」、大手3社の最新ニュースをお届けいたします。
SDGsにもつながる「セブンのスムージー」
まずはセブインイレブンです。
ご紹介したいのは「お店で作るスムージー」。
こちらは、2017年に一部店舗で販売を開始し、24年2月末までに全国展開を予定しているセブンの強化商品なのですが、SDGsにもつながるということでも注目を集めています。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2023年4月22日〉
現在は約4000店舗で取り扱っているので、ご存知の方も多いとは思いますが、冷凍ケースにある商品を取りだし、店内にある専用マシンにセットすると、約70秒で完成できます。
3月に開催された「東京ガールズコレクション」で試飲会を実施するなど、特に若い人たちへ訴求されており、最近はSNSでも見かけるようになりました。
このスムージーが注目されている理由は、先ほどSDGsと話しましたが、フードロスに寄与していることも大きいのです。
例えば、グリーンスムージーのアイスキューブには、通常では廃棄されてしまうブロッコリーの芯の部分をピューレ状にして使用。
組み合わせ次第では、味は問題ないのに見た目の問題で廃棄されてしまっている果物や野菜を活用できるというわけです。
次世代型のヒット商品のあり方を提示してくれていますね。
「Old is New」ファミマの生コッペパン
続いてはファミリーマートです。
ご紹介したいのは「生コッペパン」。
2月末の発売から20日間で1000万食を突破したのですが、これは大ヒット商品「ファミマ・ザ・クリームパン」の記録を上回るハイペース。
これは「世代間ギャップ」を突いてメガヒットを生み出そうとしているのです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2023年4月23日〉
コッペパンというと我々中高年世代にとっては「給食パン」のイメージがありますが、若い世代にとっては「目新しい」。
「横丁」や「クリームソーダー」「インスタントカメラ」など、昭和レトロブームが示すように、中高年にとっては「懐かしく」、若者にとっては「新鮮」という切り口は、今やマスマーケティングのスタンダードになっています。
今回のファミマの生コッペパンも、コッペパン専門店「パンの田島」の人気を受けて商品化したと聞きます。
しかも抜かりないのが、具材の選び方と生地づくりです。
具材については、最初はお惣菜パン1種類、お菓子パン1種類の計2種類で勝負をかけたのですが、商品開発にあたって3000人を対象に調査を実施し、「たまご」と「あんバター」に決定。
(今は5種類に拡大)
そして生地についても、パン業界でのトレンドを参考にしたそうです。
しかし、どちらの生地も柔らかく、緩い生地であるため、手作りベーカリーが得意とするものであって、大量生産には不向きとされていました。
これを生クリームに加え、材料の配合や焼き時間を工夫することで独自の手法を確立したとのこと。
このリサーチ力、大量生産できる仕組みづくりは、やはりコンビニの強いところ。
そうしたところも、改めて参考になる部分は大きいですね。
いずれにせよ、「世代間ギャップを突く」という視点は、もはや単なるブームではないということが、この商品から伝わってきます。
「地元の美食」を伝えるローソン
最後はローソンです。
G7に向けた取り組みに注目してみました。
来月の19日から広島で開催される第49回先進国首脳会議(G7)にあたって、ローソンでは県内産の食材を使用した弁当などを発表しました。
〈テレビ新広島 / 2023年4月27日〉
商品は、六穀豚のしょうが焼きやカキしょうゆで味付けた焼きサバなど広島づくしの「広島うまいもん弁当」や、レモンピールが入ったマーマレードを巻いたスイーツ「レモンのもち食感ロール」など4種類。
県内の店舗などで来月9日から販売されるのですが、世の中が注目するタイミングで地元のうまいものをPRするというのは非常に大切です。
「日本は美食の国」「各地の独自の食文化を財にする」というのは、もはや当たり前過ぎる言葉になりつつありますが、本当にそれができているかというと話は違ってくるかと思います。
私もまぁまぁ良い歳ですし、今や東京にいても各地の美味しいものは味わえるので、それなりには日本の食を分かっていたつもりだったのですが…
このコロナ禍で海外に行けない分、国内を巡ると、こんなにもまだまだ美味しい料理やお菓子があったのかと感動の連続でした。
もちろん、よく知っている料理も現地で食べると、やはり違う。
どうしたって、東京で食べる地方の味は、万人受けするものだったり、万人受けするように大衆化したものが多かったりします。
世界の都市が似たり寄ったりになっているように、グローバル化は世界を標準化してきた部分もあります。
これから求められるのは「独自性」で、より本質的でより深い部分をどう伝えていくかということも考えていかないといけません。
なぜなら、【成功法は答えではなく「考具」】でもお伝えした通り、大衆化とは「簡略化」することだからです。
広島でさえも、子供の頃から東京で「広島風お好み焼き」「尾道ラーメン」を食べて育ち、何となく広島グルメを知っていたつもりでしたが、大人になって現地で食文化に触れると、「広島って、めちゃめちゃグルメタウンじゃん!!」と驚いたわけです。
…とすると、日本の多くの土地で標準化(簡略化)によって伝わり切れていない食文化(独自性)があるのではないでしょうか…
もちろんビジネスにとって大衆化は重要ですが、独自性の伝達という両輪をこれからはより意識し、食の奥行きを生み出すことが大切かもしれません。
今回のローソンの広島県内限定のように、コンビニという大衆化の中で、それぞれの地域での独自性を生み出していくことが、これからのスタンダードになっていくでしょう。
広島には広島の、京都には京都の、金沢には金沢の、その土地にしかない商品にコンビニで出会えることが多くなると、旅の楽しみもまた1つ増えていくのかもしれません。
というわけで、皆さん、良いGWをお過ごしくださいませ!
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