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「オープンリーダーシップ」という理想

vol.1333

昨日、無事講演を済ませ、今日は安穏とした一日を過ごしています。

どんな話昨日したのかというと、「オープンリーダーシップ」についてです。

“ヨコ型のリーダーシップ” とも呼ばれ、注目されていますが、個人的にも、こういうリーダー像理想的だと感じています。

そんなオープンリーダーシップとは、どんな “シップ” なのか?

今日は、このことについてお話ししたいと思います。


オープンリーダーシップとは?

オープンリーダーシップとは、従業員の自主性を尊重し、コントロールをなるべく手放す新しいリーダーシップのこと。

組織内での透明性情報共有を重視し、従業員一人ひとりが持つ力を引き出すことを目的としています。

そのために、次の5つのルールを設けています。

(1)従業員の持つパワーを尊重すること
(2)情報を共有信頼関係を築くこと
(3)好奇心を持ち、謙虚であること
(4)自由責任感を持たせること
(5)失敗を許容すること

オープンリーダーシップがなぜ今、注目されているかというと、さまざま理由があるのですが、やはりイノベーションが求められている時代ということが大きいでしょう。

全員が意見を出し合い、知識やアイデアを共有する環境をつくる。

そうすると、革新的なアイデアが生まれやすくなるわけです。

また、階層的な障壁を取り払うことで、現場の声や多様な視点を活用しやすくなります。

このことにより、みんながイキイキ主体性を持った行動に。

さらには、情報をオープンに共有することで、メンバー同士リーダーへの信頼感が強くなるなど、たくさんのメリットがあるのです。

…特に最近は、人財不足のうえに、転職しやすい世の中にもなっています…

こうした中、従業員の自主性を尊重することでエンゲージメントが高まるという効果も見せている。

スポーツの世界でも、サッカー森保監督や、野球栗山監督のような方が、オープンリーダーシップで導き、結果を出しています

ゆえに、次世代型リーダーというイメージは定着しているのではないでしょうか。

「内発的動機」がカギ

さらに、学術誌『Psychological Bulletin』に掲載されたレビュー論文では、さまざまなリーダーシップスタイルに関する139件の既存研究が調査され、オープンシップ型の有効性を明らかにしています。

〈lifehacker / 2024年11月8日〉

「成長する枠組み」を提供したいのであれば、部下が自らの内発的動機を見つけられるように支援し、目標に向かって具体的にどのように取り組むかを決定する自由を与える必要があると指摘しているのです。

調査を率いたシドニー大学ビジネススクールのジェームズ・ドナルドさん

自分の行動の『なぜ』に一貫性を持たせ、仕事の進め方に選択肢を与え、有意義なフィードバックを与えることで、アイデアを共有しやすくなり、仲間意識が高まることがわかりました」

と説明。

「アメとムチのような支配的な戦略で管理すると、共有したり、協力したり、他者を助けたりしにくくなる」とも仰っています。

これは、子育ても同じようで、ペンシルベニア大学ウォートンスクールの心理学者、アダム・グラントさんはXで、このようなコメントをポストしているのです。

コントロール型の親子関係は子供にとって良くありません。それは彼らの幸福を危険にさらします。238の研究、38の国、126,000人の参加者:コントロール型の親を持つ子供は、うつ病不安障がい発症率高いです。一方、自主性を支援する親を持つ子供は、より幸せです。自由は幸福の基盤です」。

話をビジネスに戻しますと、ドナルドさんは、優れたパフォーマンスにつながる企業文化を構築して維持したいのであれば、危機管理型の経営から脱却し、内発的動機に積極的に投資する必要があると主張しています。

15分のミーティングが組織を変える

オープンリーダーシップの有効性は、何となく伝わったのではないかと思うので、最近、成果を出していると感じる事例を1つお届けして、今回の話を締め括りたいと思います。

山梨県にある医療法人甲府昭和腎クリニックが、組織改革に取り組んだというものなのですが、以前は長年勤める方々の力が強く、職場全体が建設的な意見を言えない雰囲気があったそうです。

〈Yahoo!JAPANニュース / 2024年10月30日〉

そこで、医療現場でのコミュニケーションや問題解決を促進する組織「iCP」の力を借り、イノベーションを起こすことを決意。

今年の3月から、理想とするクリニック像を明らかにするためのミッションビジョンバリューを作成しながら、ある試みを行います。

それが、組織変革プロジェクトです。

常勤スタッフ30名いらっしゃるのですが、職種ごとにチームをつくり、働きやすい環境に向けての意見アイデアを出し合います。

●看護師…2チーム
●臨床工学技士…1チーム
●事務・栄養士など…2チーム
計5チーム

…といっても、超多忙な医療の現場

なかなか時間が取れないわけです…

ですから、最初は1週間1回15分ミーティングから始めたとのこと。

「たった15分…」と思いきや、これが雰囲気をつくり変革のエンジンに。

その後、3ヵ月目中間報告会6ヵ月目成果発表会と段階を経たことで、組織より理想な姿に変えることができたようです😊

実際、従業員の方々からは

「半年前は仕事に行きたくなかった。稼ぐために耐えて働いていた。今は職場の雰囲気がよくなり、働きがいを感じる
「忙しそうな先輩に相談はできなかったが、15分会議で雑談できる関係になり、仕事も相談できるようになった」

などなど、変化を確かに感じている声が。

イノベーションに導いた理事長兼院長の井上浩伸さん

「スタッフが信頼し合い働き甲斐のある職場になれば、コミュニケーションの質が高まり、結果として医療の質が上がる、これがエンゲージメントなんだと実感しています」

と手応えを感じていらっしゃいます。

そして、個人的には非常に刺激をもらった事例でした。

私もオープンリーダーシップも目指してはいるものの、どこまでできているのかは、いつも不安です…

しかし、甲府昭和腎クリニックの挑戦を見て、常に自分を省みながら、日々精進したいという気持ちにさせられました。

経営者の方、マネジメントを行っている方も、悩みは尽きないと思いますが、ぜひ良きリーダーシップを発揮していただければと思います。

ちなみに、以前書いた【「名君」こそ「暴君」になる】も、非常にオススメの内容です。

ぜひリーダーシップのヒントに、併せて一読いただければ幸いです。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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