2023年注目の新しい働き方
column vol.904
昨日、さまざまなニュースメディアを読んでいたら、フォーブスジャパンで「静かな採用」を取り扱った記事を発見いたしました。
〈Forbes JAPAN / 2023年1月20日〉
これは昨年、ちょっと話題になり、私の【“対人業務”にもっと笑顔を】という記事でも紹介させていただいた「quiet quitting(静かな退職、必要最低限の労働しかしない)」と同シリーズのようです。
他にも「quiet firing(静かな解雇、窓際や閑職に追いやる」があり、3つ目の静かなシリーズとして「quiet hiring(静かな採用)」が広がっているとのこと。
これは、「企業が正社員を新たに雇用せずに新しいスキルを得ること」のようです。
従業員側からすると「重い配置転換」「新たな責務の増加」と捉えるか、「新たな挑戦・成長」「時代に即した人材トランスフォーメーション」と見るか、二分されそうですね。
最近は、これだけではなく新しい働き方が続々と見られています。
そこで、今年注目されそうだなと思う事例をご紹介いたします。
不安広がる「労働市場」
まず、ライフハッカーの【2023年、これからの働き方を形成する5つの「職場トレンド」 #TrendBuzz】という記事が、非常に分かりやすく簡潔にまとまっているので共有させていただきます。
〈lifehacker / 2023年1月16日〉
ここ最近、マイクロソフトやアマゾン、メタなどのビッグテックや、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどの金融大手といった世界的企業での大幅な人員削減が報じられています。
インフレが激化し、不況が迫っているため、解雇が相次ぎ、経済不安の新しい波が労働者に及んでいる。
そんな中、働き方はどう変化するのか?
アメリカ経済のトレンドという視点にはなりますが、ライフハッカーの5つのキーワードを見てみましょう。
2023年「新しい働き方」5つのキーワード
(1)の「ギグワーク」とは単発の仕事を受ける働き方のことです。
アメリカでは、2027年までにフルタイムの労働人口を上回る勢いで増えています。
企業は人手不足、インフレ、景気後退の三重苦に苦しんでいるので、ギグワーカーを活用したいところ。
10人に6人の経営者が、今後3年間でギグワーカーが正社員の雇用を大幅に代替すると予想するというデータもあるそうですよ。
(2)(3)(4)は、従業員への配慮ですね。
社会不安が増幅すれば、従業員はより安心、安定した環境を望むので、企業としては望まない退職は避けたいところ。
(4)は特に女性の「家事労働の負担」をケアする福利厚生を考えていく傾向が強まっているようです。
(…そもそも社会全体として解決していかないといけない課題なのですが…)
そして、(5)は先ほどの「静かな採用」に通ずる話かと思います。
採用せずにIT人財を活用できる新たな形
(1)のギガワークにせよ、(5)のリスキリングにせよ、新しい知見をもった人材を採用したくてもできない企業側の台所事情が窺えますが、そんな悩みを解決する新たな一手も見られます。
それが、「シェアード社員」という新しい働き方です。
〈まいどなニュース / 2023年1月11日〉
DXが加速する中で、特に中堅・中小企業はIT人材不足に頭を悩ましています。
そこで、ユナイトアンドグロウという会社では「シェアード社員」という形で解決しようとしています。
これは一言で言うと「情報システム部門のタイムシェアサービス」。
同社が正社員として雇用したIT人材を、派遣契約ではなく準委任契約で企業に送り出し、タイムシェア(時間貸し)でサポートしていくというもの。
準委任契約のため契約時間に対して課金されることから、その範囲内であれば業務範囲を限定せずに仕事も依頼できることが特徴です。
また、フリーランスの中には組織プレーがあまり好きではないという方もいらっしゃいます。
一方、ユナイトアンドグロウのバリバリの正社員がクライアント企業に赴き働くので、そういったミスマッチも起きにくくなります。
私は従業員側の立場でこれをやってみたいと思いました。
私はIT人材ではないですが、マーケティングバージョンとして、さまざまな企業のマーケティング部門にお邪魔して各企業の社員に混じって、いろいろな仕事をしてみたい。
なかなか事業会社側で働くことはないですし、さまざまな企業での経験が自分を広げてくれるからです。
ちなみに、ユナイトアンドグロウではどのクライアントのどんな案件を担当するかはスタッフが立候補して決めるとのこと。
とてもワクワクする事例なのではないでしょうか。
有給休暇が無制限になる時代
最後は、(4)の福利厚生に関わる事例をご紹介して締め括りたいと思います。
ご存知の方も多いかもしれませんが、マイクロソフトが有給休暇を無制限にしましたね。
〈 ZDNET Japan / 2023年1月13日〉
最高人材活用責任者(CPO)であるキャスリーン・ホーガンさんは、アメリカの従業員に対して電子メールでこの変更を伝え、これによって同社の休暇制度がいかに「柔軟なモデル」になるのかを説明しています。
無制限有給休暇(UPTO)と呼ばれるこの制度は、人材不足に直面するテクノロジー業界や金融業界などで人材を引き付けたり、繋ぎ留めるために導入されるようになってきています。
同社傘下のLinkedInは2015年に、Netflixに続くかたちでUPTO制度を採用。
Netflixは従業員が有給休暇を管理しなくても済むようにする取り組みの一環として、2003年に同制度を導入しています。
他にも、ゴールドマン・サックスが、パートナーとマネージングディレクターに対して同様の制度を適用。
UPTOが徐々に広まっているのです。
ちなみにマイクロソフトでは会社が一律に決めている10日間の休暇や、休職制度は維持され、取得していない休暇が残っている従業員には、4月に相応の一時金が支払われるそうです。
上場企業にとって人員削減は投資家へのパフォーマンス的な部分があったりなかったりしますが…、望まない退職への対策や必要な人材の確保など、経営のバランスは非常に難しい部分がありそうです…
2023年の経済、そしてそれに伴う労働市場については、今後も熱視線を注いでいきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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