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“対人業務”にもっと笑顔を

column vol.759

株式会社ライズ・スクウェアが2022年6月に実施した「就いてよかったと思える仕事に関する意識調査」

男女ともに1位を獲得した仕事は何だと思いますか?

正解は置いておいて、この調査結果から感じた仕事の本質と課題、そして、課題解決を目指したユニークな取り組みがありますので、今日はそんなことを題材にお話しさせていただきます。

「対人業務」こそ仕事の本質

早速、1位の発表ですが、正解は「接客・販売」となります。

〈まいどなニュース / 2022年8月16日〉

まずは女性の理由から。

●携帯ショップスタッフ。お客さまから「ありがとう」と言われることにやりがいを感じます。契約を受け付けるとアフターフォローも指名していただけることが多く、嬉しいです(20代)
●職場の年齢層が幅広く、お客さま含めて多くの方と関われた。お蕎麦屋さんなので年末年始は忙しく大変だったけど、お客さまの笑顔が嬉しかった(30代)
●ファストフード店のスタッフ。仕事が認められるとどんどん他の仕事も任せてもらえ、給料にも反映されるのでやりがいがありました(40代)

続いて、男性の理由はこちら。

●いろいろな人と関わる機会があり、コミュニケーション能力が上がると思う。直に感謝される仕事なのでやりがいもある(20代)
●ダイレクトに「ありがとう」と言ってもらえたのは、思い返すと貴重な経験でした。今は裏方なので…(30代)
●対面販売の移動フードサービス。お客さまのリアクションがダイレクトに感じられる。リピートしてくださって「またお願いします」と言われると、「やってて良かった」と思えます(40代)

ちなみに、男女それぞれのトップ7は下記の通りです。

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男女問わず、「対人業務」が上位に並んでいます。

もちろん、サンプルの数など、いろいろな意見はあると思います。

それでも、人から必要とされ、感謝されることほど嬉しいことは無いのではないかと個人的には思っており、直接気持ちが伝わる対人業務満足度の高い仕事であるというのは納得できます。

…その分、大変なことでもありますが…、だからこそコミュニケーション力が仕事では重視される。

実際、レバテック中途採用担当者を対象に行った「ITエンジニアの選考についての調査」を見てみても、「選考で多いお見送り理由」について1位だったのは「コミュニケーション能力が低い」こと。

技術が命のエンジニアですら「技術力不足」は2位なのです。

「クワイエット・クイッティング」がバズるワケ

とはいえ、対人業務は喜びもある分、苦しみもある。

やはり、人間関係ほど悩むものも無いというのも真理かと思います…(汗)

また1位の「販売・接客」については賃金などの待遇面が厳しい職場も多いことでしょう。

お客さまから「感謝」を受け取ったとしても待遇面が厳しいとなかなかモチベーションも上がらない…。

そんなことを象徴するようにTikTokでは今、「クワイエット・クイッティング(Quiet Quitting)」という言葉がバズっています。

〈日刊ゲンダイヘルスケア / 2022年8月22日〉

これは直訳すると「静かに辞める」

別に仕事自体を辞めるわけではなく「もう必要以上に一生懸命働かない」という意味です。

アメリカでも「コロナ感染のリスクが高いのに、小売やサービスの仕事の報酬が低すぎる」などなど、接客・販売のみならず、待遇の不満は溢れています

一方で仕事を簡単に辞められるわけでもない

だから、そのバランスをとって「一生懸命働くのはやめる」ことを選択している人が増えているのです。

どんなに必死で働いても時給は上がらない、頑張るだけ頑張って体も心もヘトヘトなのに、辞めたくても辞められない。

その上、会社の都合でいつ首を切られるかわからない。

そんな仕事環境の中で、アメリカ人の6割近くが疲れ切っているという数字もあるのです。

「クワイエット・クイッティング」は業種関係なくビジネス界全体のムーブメントになっていますが、対人業務でやりがいを感じても、待遇面が改善されないと「就かなきゃ良かった」仕事になってしまうことを、私も含めて経営を司る人間は常に心に留めておかねばならないでしょう。

店員に“投げ銭”できる居酒屋に注目

そういった中、対人業務のやりがいと待遇面の改善を併せて行おうと挑戦する企業があります。

それが、居酒屋チェーン「日本酒原価酒蔵」を運営する株式会社クリエイティブプレイスです。

何と居酒屋(実店舗)に「投げ銭システム」を導入しているのです。

〈bizSPA!フレッシュ / 2022年6月12日〉

この制度をスタートしたのは2021年11月

スタートした理由は「従業員の頑張りに報いるため」

居酒屋でどんなにファインプレイをしても、時給は同じ…

この状況に同社の営業本部長・田村忠輝さんは

お客さまから『ありがとう!』『また来るね!』という言葉をいただいたり、一緒に働いている仲間から接客を褒めてもらったりなど、精神的な報酬は満たせることもあります。それはそれで良いのですが、『精神的報酬に比例して、経済的報酬がもらえたら……』といつも考えていました」

と語っております。

そこで同社は、お客さまが専用のアプリから特定の従業員を選択して、ポイントを付与(投げ銭)するシステムを構築。

1ポイント0.1円。100ポイントで10円になります。

そのうち7割を社員に対して時給とは別に与えるのです。

例えば、1000ポイント獲得したら700ポイント、つまり70円が給料に上乗せされます。

もちろん、大幅に身入りが良くなるわけではまだありませんが、それでも頑張ったことが金額として跳ね返ってくるというのは、大きな一歩なのではないでしょうか?

この投げ銭制度は常時行われているわけではなく、第1回(2021年10月~2022年1月)、第2回(2022年2月~2022年3月)と期間限定で実施

1回目から2回目にかけてブラッシュアップするなど、限定的にトライアルをし、より理想的な在り方を模索している最中ではあります。

ただ、少しでもスタッフの方々の頑張りに報いるという気持ちを社内に示していくことは非常に重要だと思います。

こういった取り組みをさまざまな企業で試し、そのトライ&エラーを積み重ねていくことで、「対人業務」へのやりがいや満足度は高まっていくのでしょう。

今回は株式会社クリエイティブプレイスの挑戦に非常に刺激を受けました。



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