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驚きの“介護”の新常識

column vol.859

昨日、政府が介護職員の賃金を引き上げるために介護報酬に設けている処遇改善加算を見直す方針を固めましたね。

〈JOINTニュース / 2022年12月7日〉

7日に開催した「全世代型社会保障構築会議」で、年内にまとめる報告書の素案(論点整理)を提示。

介護現場の生産性向上働く環境の改善に向けた施策の一環として、「処遇改善加算の見直し」を明記しました。

一方、処遇改善加算の“拡充”には言及してはいない状況ではあります。

次の2024年度の介護報酬改定を見据え、来年に厚生労働省の審議会で具体的な議論を行っていくので、引き続き注目していきたいと思うのですが…

最近、介護に関する興味深いニュースがいくつかあったので、本日はその中から2つほどご紹介したいと思います。

年間“1億”稼ぐ人も!カジノみたいな介護施設

最初は、東京・町田市にある「デイサービス ラスベガス」です。

“ラスベガス”という言葉で連想するものがありますよね。

そうです、「カジノ」です。

こちらのデイサービスは麻雀、パチンコ、スロットを楽しむギャンブルがテーマの施設

「ロン!当たり」
「これで当たったの?じゃあドラだから、ハネて1万2000点ね」

といったようなフレーズが元気いっぱいに飛び交うようです。

〈TBS NEWS DIG / 2022年12月4日〉

TBS NEWS DIG
TBS NEWS DIG

いや〜、アグレッシブな光景ですね…

といっても、本当にお金を賭けてゲームをしているわけではありません

「ベガス」という施設内通貨を使って遊ぶのです。

ベガスの増やし方は、毎日行われる機能訓練(体操・ストレッチ)に参加するともらえるそうで、あまり体を動かしたくない、という人もゲームに参加するためには、と自発的に運動に参加しているとのこと。

ちなみに、1回の体操でもらえる額は1万ベガス

それを元手にゲームを行い、昨年、1位の方は何と1億461万ベガスを獲得したそうです〜

もしかしたら、ここまでの話で「けしからん!」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが…、ギャンブル依存症になる方はおらず、逆に健康が促進されたとの声が多いそうです。

今後の介護は「カッコ良さ」がポイント

ちなみに、このカジノ風デイサービスは、2013年に東京・足立区に1号店を出し、現在は関東を中心に全国22店舗を展開しています。

運営する日本シニアライフ森薫社長によると、このチャレンジングな企画はアメリカへ高齢者の暮らしの視察に行った際訪れた、本場ラスベガスのカジノに着想を得たようです。

森社長はこのように語ります。

カジノで大負けして、ふと周りを見渡したら、お客さんは高齢者ばかりだったんです。杖をついたり、車いすだったり、でも楽しそうで。カジノに行くようなテンションでデイサービスに通えるようになったら意欲的に通ってもらえるのではないかと。

実際、従来のデイサービスは塗り絵・折り紙・ペットボトルボーリング、お手玉といったアクティビティーが多く、特に男性は「やりたくない」「行きたくない」と感じる人も多いとのこと。

一方、麻雀やパチンコができるラスベガスは従来型の施設に比べて男性の比率が高いのです。

また、送迎車にもひと工夫があります。

TBS NEWS DIG

見てください、この黒のワンボックスカーを!

しかも、ボディには「Las Vegas」と金色の文字が入っています。

普通は、白いワンボックスに「〇〇デイサービス」といった事業者名が入ったものが大多数ですが、ご高齢の方からすると「介護施設に行ってること」がバレバレになってしまう…

そんな声を受けて、このような工夫を行ったのです。

どんなに歳を重ねても「カッコ良さ」や「オシャレさ」「可愛さ」は求めるのが人間の心理です。

そのお気持ちに寄り添うのが、今後の介護の形なのかもしれませんね。

支えられる介護から“支える”介護へ

もう1つ重要なのが、これからの介護は“支えられる”だけから“支える”という視点を付加していくことだと思います。

実は今、シニアの間にも「推し活」が広がっているのはご存知でしょうか?

その理由は、推し活を通して誰かを支えることで、それが元気の源になっているからです。

〈@DIME / 2022年11月22日〉

その好事例となっているのが、サントリーウエルネス株式会社が2020年12月より実施している「Be supporters!(ビーサポーターズ)」というプロジェクトです。

これは、福祉施設の高齢者がサポーターとなり、サッカークラブを応援する取り組み。

コンセプトは「支えられる人から、支える人へ」。

高齢・認知症など、普段は周囲に「支えられる」場面の多い方が、Jリーグサッカークラブのサポーターになることでクラブや地域を支える側の存在となり、身心ともに元気になることを目指しています。

具体的には、福祉施設でのパブリックビューイングを通してサッカーの試合を応援するもの。

2020年12月より、「カターレ富山」「レノファ山口FC」、2021年1月より「ヴィッセル神戸」「川崎フロンターレ」と協働して推進しています。

試合前には、応援ガイドブックをもとに、うちわなどの応援グッズの制作や施設の飾り付け、選手の名前などの予習、応援コール練習などの準備を行います。

そして試合当日は、「サポ飯(サポーター飯)」というサポーターが食べる食事を用意し、ユニフォームを着てみんなで観戦

試合後は、不定期でスタジアム観戦や選手との交流会も行っています。

その効果は絶大で、例えば86歳の女性認知症の状態にあるのですが、一度着たユニフォームを「これ、こないだも着ましたよね?」と仰ったそうです。

また、推しはスペイン出身の選手であり、その影響からスペイン語の勉強を始めたとのこと。

他にも、94歳の男性は、血圧が高くネガティブな発言が多かったが、率先して応援団長に。

応援の翌日・翌々日は血圧も安定するというのです…(驚)

最近、【「最高の成功とは?」と考えてみた】でも語りましたが、人の役に立ったと思う時ほど嬉しいものはありません

仕事でも人に必要とされるとやる気が出るように、ご高齢の方も誰かの力になっていることは自分の力にもなるのでしょう。

支えることで元気を享受する。

この視点も今後の介護には非常に重要だと感じます。

ということで、いかがだったでしょうか?

子どもを子ども扱いしない方が良いのと同じように、ご高齢の方もお年寄り扱いしない方が良さそうですね。

分かっていながらも、まだまだ世の中そうなってはいないのではないでしょうか?

私もシニアになってもカッコ良さと、人の役に立つことを意識して生きていたいと思います。

本日はここまでで〜

明日も何卒よろしくお願いいたします!

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