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「行きたくなる」オフィスへ

column vol.1168

昨日の記事で、オンラインコミュニケーションサービスによる移住婚の増加について触れましたが

そもそも「リモート(遠隔)」シフトの火付け役となった職場は今、どんな状況になっているのでしょうか?

最近では、コロナ前ほどの満員電車は味わっていないものの出勤する人たちは多いと感じています。

実際、朝日新聞の8月7日の記事では、テレワークの実施率が15.5%とコロナ禍以降で最低の割合になりました。

「雑談からイノベーションが生まれる」

そうした考えのもと出社回帰が進んでいるというわけです。

一方、こんな調査もあったりします。


テレワークを認める企業の業績は?

スクープテクノロジーズボストンコンサルティンググループのレポートによると、2020年から2022年にかけて出社義務を “課さない” 企業は20%の収益増だったそうです。

〈DIGIDAY / 2023年12月6日〉

調査は20業種の上場企業554社を対象に行われ、業界平均に基づき調整が加えられた。調査対象企業の従業員数の合計は約2700万人に上る。

先ほどの理屈でいえば、出社義務を課した方が業績が良さそうです。

…しかし当調査では、ハイブリッド勤務または完全出社制の企業は5%の増収に留まっております…

ちなみに、計画的なハイブリッド勤務(週に2、3日の出社を求める場合が最も多い)の企業でも、完全出社を義務付ける企業に比べて高い収益率の伸びが見られたとのこと。

レポートはリモート勤務が従業員の生産性を高める可能性を示唆しており、柔軟な勤務形態の企業トップ人材を集めやすく、離職率も低いと結論づけています。

つまり、「選択の自由」を与えた方が生産性が上がり優秀な人を採用しやすくなる上に、離職率が下がるというわけです。

出社回帰(出社比率を上げることも含め)については、DisneyAppleGoogleXなどなど、アメリカの大企業が続々とその方針を決めたことで、日本の経営者も右に倣えの傾向になっている気がします。

一方、ヨーロッパではテレワークが新たな選択肢としてオフィスワーカーに定着し始めているとのこと。

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2023年11月7日〉

実際、ヨーロッパの主要都市では、ホワイトカラーの求人をかける際には、テレワークを容認しなければ人材が集まらないとのこと。

「出社を課さない」方が優秀な人財が集まるという話は、先ほどのレポートに通ずる話かと思います。

オフィス出社を促す仕掛けづくりを強化

もちろん、調査によっては異なる結果になるかもしれませんし、一概に自由裁量であることが正解かどうかは分かりません。

しかし、どのような選択をしようとも、社員に「オフィスに出勤して良かった」という納得感を与えることは重要になるかと思います。

最近では、快適さ、オシャレさ、交流のしやすさなどを向上させるために移転をしたり、オフィスをリニューアルしたりするケースが増加。

さらに、ハード面だけではなく、ソフト面でも社員の出社を促すケースがよく見られるようになりました。

例えば、システム開発などを手がける株式会社アジャイルウェアでは「出社手当」を9月から導入。

オフィスに4時間滞在するのが条件なのですが、月10日を上限1日2000円を支給しているそうですよ…

〈FRIDAY DISITAL / 2023年10月30日〉

さらに、出社した日他の社員とランチをすると500円プラスになるとのこと。

こうした取り組みにより、新しいつながりや会話が生まれているようです。

…とはいえ、予算的にこうしたインセンティブを用意できない会社もあるとは思いますし、施策のあり方は要検討ですが

それでも、やはり「自然に出勤したくなる」「自然に会話が生まれる」という流れにもっていく意識は重要になるでしょう。

自然な会話(交流)をどう生み出すか?

他にもアジャイルウェアのランチ交流のように、ちょっとしたインセンティブで会話を生み出そうとする事例は、多くの会社で見られます。

以前もご紹介したことがありますが、サントリー「社長のおごり自販機」はまさにその1つです。

〈PRESIDENT Online / 2023年12月8日〉

この自販機は、専用部分に2人でICカード式の社員証などをタッチして10秒以内に欲しい飲料をそれぞれ選ぶと、無料になる特別な自販機。

実際は会社としての福利厚生という形が多いのですが、開発段階で利用者が「社長、ゴチになります」と口にしたことがきかっけで、このネーミングとなったそうです。

2021年10月から首都圏限定で事業展開を行い、翌年5月から全国展開をスタート

2年間で360社が導入しています(2023年10月末時点)。

サントリーが「雑談が生まれやすくなる条件」を調査したところ、以下の5つの条件にまとまったそうです。

①終わり時間が読める
②ながら・ついで
③共同作業
④目の前にある共通の話題
⑤距離感

特にポイントなのが「①終わり時間が読める」ということだと感じます。

飲み物を飲み切るのにかかる時間は、10分程度

その間の雑談なら、普段話さないような人とも話しやすい

また、上司も部下を飲み会やランチに誘うのは躊躇してしまうかもしれませんが、10分程度の交流なら誘いやすいかと思います。

いかにさまざまな人と自然に交流できるかというのがポイントですね😊

理想は「自律型社員」を育むこと

そして最後に、…かなり究極的に聞こえるかもしれませんが、私の理想を語りたいと思います…

やはり、基本的には出勤に関しては「自由裁量型」が良いと思っています。

なぜなら、40年以上前に先代が我が社を設立して以来ずっと「社員一人一人が主役」の会社を目指しているからです。

つまり、自律型の組織であることを大切にしています。

出勤しようが、リモートしようが、チームメンバーに配慮しながらも、それぞれのメンバーが自身のパフォーマンスを最大限に発揮できるよう考えてもらう。

例えば、子育て中の社員であれば、テレワークの方が仕事しやすい可能性が高いからです。

もちろん、新入社員への対応など、細かい対応は必要ですが、それもできればメンター自身がそれを考えてくれれば良いわけです。

幸い、…手前味噌で大変恐縮なのですが…、新人のみならず、後輩に対して面倒見の良い先輩社員が多い気がします。

…もちろん、我が社も…いろいろとありますが…、みんなそこそこ上手くやってくれているのかな?と思っています。

いずれにせよ、社員を信じることも上司の仕事ですので、そうした想いを大切にしつつ、「一人一人が主役」という理想に少しでも近づきたいのです。

せっかくテクノロジーが進化しているですから、より豊かな新しい働き方が見つかると良いですね😊

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