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「脱スマホ」ムーブメント

column vol.1134

今、アメリカでは「Dumb Phone」に注目が集まっているそうです。

〈Forbes JAPAN / 2024年2月5日〉

…日本語に訳すと…、「アホ携帯」

ちょっと言葉はキツイですが…、このままアホ携帯という言葉で話を進めさせていただきます。

アホ携帯とは、電話メッセージアラームカレンダーなど機能が限定的な携帯電話のこと。

昔のガラケーのイメージですね〜

なぜ、そうしたシンプルな携帯が人気なのか?

そこには、強い「脱スマホ」ニーズがあるのです。


「アホ携帯」が望まれるワケ

話題になったのが、昨年11月に発売されたアホ携帯「Light Phone II」Kendrick Lamar limited edition

アメリカの人気ラッパーであるケンドリック・ラマーさんが、シンプルなスマホの販売を手がけるLight社とコラボレーションし、250台限定で発売しました。

すると、即日完売

SNSでも話題になりました。

ニューヨークでエンジェル投資家として活動する山崎美未さんによると、このアホ携帯が若者の間で売れ始めたのは2〜3年前からとのこと。

それは以前、【増加する「デジタルデトックス」市場】という記事で、

アメリカ市場での2023年のガラケー(フィーチャー・フォン)販売台数280万台と予想

ということを触れさせていただきました。

今回は、ガラケーのデザイン性の古さを一新するため、ケンドリック・ラマーさんが、スマホのような見た目のプロダクトをプロデュースしたのです。

山崎さんは、アホ携帯を求める3つのニーズがあると仰っています。

(1)スマホ中毒からの脱却
(2)プライバシーの懸念
(3)レトロブーム

(1)(2)は、まさに社会課題

アメリカの調査会社「カウンターポイント社」のレポートでは

Z世代ミレニアル世代が抱くスマホとSNSがもたらす精神衛生上の懸念から、アメリカ市場ではフィーチャーフォンが復活している。台数の伸びは大きくないかもしれないが、デジタルデトックスとしてフィーチャーフォンを求める消費者の需要は続くだろう」

とコメント。

山崎さんがXアホ携帯に関して投稿すると、約2800人のフォロワーに対して230万インプレッションがついたそうです。

(2024年2月5日現在)

コメント欄には、「欲しい」「ガラケーかiPhone15か悩んでいたが、ガラケーにしようと思った」などといった声が寄せられ、メルカリCEOの山田進太郎さん

「興味深い流れ」

と反応。

実際、日本でもアホ携帯への需要はあるのです。

「Z世代」2人に1人が「SNS疲れ」

NRIが2021年12月に実施した「生活者年末ネット調査」において

「SNS利用やSNSによって他者とつながること、コミュニケーションを取ることに疲れを感じるか」

について調査したところ、Z世代の50%の割合でSNS疲れを感じているとのこと。

Z世代以外でも53%となっております。

〈DIAMOND online / 2024年1月31日〉

特にZ世代女性においては61%の人が該当しています。

SNS疲れの理由として、特にZ世代女性では

●友達やフォロワーの投稿を見て自分と見比べてしまう41%
●自分が投稿した内容に「いいね」や共感コメントが得られるか不安になる
39%

ことが挙げられています。

他者からの評価が気になるといわれるZ世代は、自ら情報発信をしたい気持ちはあるものの…

自分が発信した内容が周囲の人の感覚と外れていないか、周りの人から共感を得られないのではないか、ということに関する不安が大きく、SNS投稿に疲弊してしまう人がいるわけです。

そうしたことで、Z世代の「つながり過ぎ」緩和のため

●登山、キャンプなどのアウトドア系レジャー
●焼肉、食べ放題などのグループ利用が多い店
●居酒屋
●海外旅行
●ディズニーランドなどのテーマパーク

などで、進んでひとり行動をする人も増えているそうです。

ただ、女性については、一人行動に対するニーズは男性同様にあるものの、カラオケなど一部を除いて実際に一人行動をすることへの抵抗感は強いとのこと。

そうしたことが、先ほどの「SNS疲れは女性の方が多い」という話とリンクするのかもしれませんね。

最近は、星野リゾート「脱スマホステイ」

渋谷ネオ焼肉・ホルモン ふたご「スマホ断食サワー」など、さまざまなスマホ断ちサービスも増えています。

「若い女性のひとり需要を満たす」というのは、まだまだ開拓できるビジネスの鉱脈なのではないでしょうか。

スマホを断ったら “150万円”

「脱スマホ需要」を捉えたマーケティングプランも最近では見られます。

例えば、アメリカのヨーグルトメーカー「シッギズ・デアリ」の企画。

先月17日に

1ヵ月間「デジタルデトックス」(スマホ断ち)をしたら1万ドル(約148万円)を進呈!

とSNSで発表して、話題になりました。

(31日に締切済み)

〈日刊ゲンダイ / 2024年1月26日〉

参加希望者は

(1)なぜスマホ断ちが必要か
(2)その結果、何を得たいか

などをテーマに作文を書いて提出。

その作文を受けて、10人が選抜されます。

そして、参加者はスマホを1ヵ月間、金庫の中に保管

SNSやネット情報の禁断症状を耐え抜き、スマホ断ちに成功した人には

●1万ドル
●電話を保管する金庫
●1ヵ月分のプリペイドSIMカードが付いた「古き良き折り畳み式携帯電話」
●シッギズ・ヨーグルト(3ヵ月分)

が贈られます。

シッギズは

「私たちは1日平均5.4時間をスマホに費やしている」

と指摘。

「気を散らすものを減らし、シンプルに生きる力を信じている」

などと主張し、このイベントを企画したとしています。

ヨーグルトによって腸活を促し、「生きる力」を育むシッギズと捉えれば、ヨーグルトメーカーとスマホ断ちキャンペーンは通ずるのかもしれませんね…(?)

いずれせよ、デジタルの進化と拡大は人の生活を豊かに、便利にする一方、多大なるストレスを与えます。

そうした中での「自然回帰」「アナログ回帰」「ひとり需要」は、非常に重要なキーワードになるでしょう。

ビジネスヒントの1つとして、捉えておきたいところですね😊

ちなみに、「ひとり需要」については、最近【「ひとり派」の時代】という記事を書いておりますので、まだ読んでいない方は、ぜひこちらもご覧くださいませ。

それでは、良き週末をお過ごしくださいませ!

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