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私は、誰かのおかげ

column vol.1212

先日、ある尊敬する方から「人の上に立たせていただいている人は諸法無我の精神が大切」ということを教えてもらいました。

諸法無我とは、全ての存在や事象は独立した永続的な自我を持たないという意味。

つまり、という存在は様々な関係や要因、条件、恩恵などから成り立っているということです。

この話を聞いて、以前、当社の勉強会に登壇いただいた薄井シンシアさんも同じようなことをメディアのインタビューで仰っていたことを思い出しました。

〈8760 / 2024年5月22日〉

チャンスを周りに回すわけ

薄井シンシアさんといえば、17年間の専業主婦生活から47歳で再就職し、ANAインターコンチネンタルホテル東京営業開発担当副支配人日本コカ・コーラオリンピックホスピタリティー担当LOF Hotel Management 日本法人社長を務めるなどシンデレラキャリアを歩んでこられた方。

『アベプラ(ABEMA Prime)』などメディアにも出演されているので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そんなシンシアさんが、仰っていたお話というのが、こちらです。

私が仲介すれば、新しい仕事や試みが出来るかもしれないと思いついたときは知り合い同士をつなぎます。私には必要ないものだけれど、この人にアイディアを渡したら新しいモノが生まれるかもしれないと思えば、人に話を振ります。 
だって、私に依頼が来ても、受けられる範囲は限られているでしょう?自分がこなせないなら、チャンスを他の人に回して、その人が輝けばいいじゃない?

その代わりに、その人が「ちゃんと感謝できる人」かは見極めているそうです。

もちろん、自分が誰かから恩恵を受けた時

私は他人に世話になったら、「私がここまで出来たのは〇〇のおかげ」と紹介するようにしています。

と仰っているのです。

確かに、人は支え合って生きている。

むしろ、支え合ってこそ生きられるという部分もあるでしょう。

それは自分の先祖も当てはまるわけで、そこに全ての存在や事象は独立した永続的な自我を持たない「諸法無我」の精神が見えてきますね。

「セルフ」と「アイデンティティ」の違い

この話をより深く理解できる良い話があります。

それは、国境なき医師団 日本の事務局長である村田慎二郎さんハーバード・ケネディスクール「アダプティブ・リーダーシップ論」の大家であるロナルド・A・ハイフェッツ教授の講義を受けた時のこと。

ハイフェッツ教授から「セルフ」「アイデンティティ」違いについて教えを受けたそうです。

〈現代ビジネス / 2023年12月11日〉

「セルフ」というのは、Myself(マイセルフ)の「自分自身」

日本でよくいう、「自己実現」「自己」がそれに当たります。

「自分の夢はなんなのか」
「自分はなんのために生きているのか」 
「自分の軸をもつのが大切」

こうしたものは全て「セルフ」を探求するテーマとなります。

一方、「アイデンティティ」は、私たちの主義主張は全て周りとの関係性から完全に独立してできているのではないということ。

まさに「諸法無我」に通じますね。

村田さんは、このアイデンティティについて

家族からの期待や、自分が尊敬する人の教え、学校教育で育まれた道徳など、社会の影響もある。仕事の面では必ずどこかで所属する組織や職場の人たちの影響を受けている。
時をたどれば、自分の祖父母やその前の世代からも、伝統的な物の考え方を無意識に引き継いでいることがある。

と、解説。

自分は誰かのおかげでできている、そういうことですね。

組織を活かし、自分が生きる

創業から48期連続増収増益を達成した企業として有名な長野の伊那食品工業最高顧問塚越寛さんが著書『末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~』の中で

能力以上に人間力を磨くことの大事さを語っていらっしゃいますが、まさに組織全体の一部として自分を捉えていく重要性を感じています。

そうしたリーダーシップを体現されていると思うザ・リーダーの一人が今年引退した元日本代表サッカー選手、長谷部誠さんでしょう。

〈GOETHE / 2024年5月19日〉

長谷部さんには、そのお人柄をよく表したエピソードがあります。

ヴォルフスブルクに所属していた3シーズン目監督が交代したことでレギュラーを外された時期がありました。

じっとベンチで悔しい想いを抱える日々。

しかし、第6節のシャルケ戦でチャンスが回ってきます。

コーチから途中出場の指示があり、試合に出る準備をしていた時のこと。

その指示を出したコーチと監督が揉めていたそうです…

理由は、監督がコーチに交代選手の判断を一任していたのにも関わらず、長谷部さんが出場することには反対していたとのこと…(汗)

その姿を見た長谷部さんの胸中は、穏やかではないわけです……

いや、普通だったら、気持ちが萎えてしまってもおかしくはないでしょう…

それでも、長谷部さんは頭を切り替えて、冷静にゲームに入ります。

僕が見たところ、チームの問題点は厳しいマガト監督が去ったことで、選手が随所で手を抜くようになった、ということだった。たとえば、ボールを奪われたときに自陣への戻りが一瞬遅くなったり、逆にボールを奪ったときに前へ行く人数が少なかったり。つまりは走力不足。現代サッカーにおいては致命的な欠陥だった。だから、僕はみんなが走らなくなった分を自分が走って補ってやろうと思った。

そして1-1の同点で迎えた81分。

長谷部さんの献身的な動きが功を奏し得点が生まれ勝利したのです!!

当然この日から、長谷部さんはレギュラーに定着

チーム全体を自分事と捉え、その中で自分をどう生かしていくかを考える。

自分が誰かを活かし、それが循環し自分も生かされていくというわけですね。

いやぁ〜〜アツいですね〜〜〜

こうした人間力は、まだまだ自分が持ち合わせているとは言えませんが、世の中に確かにいる素晴らしいリーダーに刺激を受けながら、引き続き人間修行を行っていきたいと思います💡

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!


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