そうだ、文化人類学を学ぼう
column vol.1290
私が普段行っている経営やマーケティングにおいて、改めて「人間を知ること」が重要だと日々感じております。
心理学、文学、行動経済学など、様々な学問から新しいヒントを得ているのですが、最近特に注目しているのが「文化人類学」です。
文化人類学とは、世界の民族や地域の文化・社会などの仕組みを研究し、例えば、「日本とは何か」、「日本人とは何か」といった問いを明らかにしていく学問。
恐らく、文化人類学者と聞くと「アフリカの部族を研究している」といったうようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
世界で進む文化人類学への学び
しかし、【判断とはセンス】でも触れたように
文化人類学を経営に取り入れる企業が増えている。
例えば、Google、インテル、ネスレなどが有名です。
日本でも文化人類学を企業に浸透させるためのスタートアップ企業が出てきており、メッシュワークとアイデアファンドは、その代表格でしょう。
アイデアファンド代表の大川内直子さんは、大学で文化人類学を学んだ後、金融業界に就職した際、こんな印象を持ったそうです。
〈日経BOOKPLUS / 2024年7月1日〉
確かに、各企業にはローカルルールが存在しており、それは部族のカルチャーと重なるところがあるかもしれませんね🤔
「参与観察」で顧客を深く知る
そんな文化人類学ですが、なぜ多くの企業が求めているのかというと、同学問が持つ「エスノグラフィー(行動観察)」にあります。
「参与観察」というリサーチ法で、今までマーケティングで行っていた定量調査や定性調査とは異なるやり方で顧客のインサイトにアプローチすることができるのです。
参与観察はリサーチ対象の社会や集団に自ら参加し、毎日一緒に行動しながら相手の動きを観察する手法。
例えば、その地域に住んだり、リサーチ対象となる人の自宅や通勤時、オフィスでの様子も観察します。
調査には3日間から1週間かけるケースもあれば、数ヵ月かける場合も。
〈日本経済ん新聞 / 2024年9月15日〉
と思う方もいらっしゃるかと思いますが、もともとアカデミックな文化人類学の調査は2年間が一つの目安。
実は、数ヵ月でも短いのです。
ですので、企業の耐えうるスケジュール感を考慮しながらも、なるべくじっくり時間をかけて実施する。
長期間の観察により、相手の本音をつかみ、生々しい情報を収集できるようにするわけです。
一般家庭に泊まり込んで調査
その観察法はなかなかディープです。
先ほど
と話しましたが、一般家庭に泊まり込んで観察することもあるのです。
家電メーカーであれば、
といったことを観察しながら、メーカーと共に「未来に必要なエアコンのあり方」を考えるとのこと。
昨年、メッシュワークが実施した都市再生機構(UR都市機構)とのプロジェクトでも「団地を調査する」を目的に、リサーチ対象の各団地に2ヵ月潜入。
実際に現地で暮らし、近所の人と普通に会話したり、コミュニティー活動などに従事しながら、アンケート調査などでは分からない経験や通常のインタビューでは出てこない感情などを掴んだそうです。
これは、企業のイノベーションやインナーブランディングにも効果的で、文化人類学者が一緒に働くことで、企業の文化・組織の仕組みが見える化できる。
私も、大川内さんが執筆した『アイデア資本主義』を購入しましたが、ビジネスへの取り入れ方を学べる機会が増えているのが嬉しいところです😊
noteはまさに文化人類学(?)
ちなみに、文化人類学を知るほど、実はnoteはまさに文化人類学的エッセンスがあるのではないかと感じるようになりました🤔
それは、日本のコンビニ文化を研究するハーバード大学ライシャワー日本研究所 エクゼクティブ・ディレクター、ギャヴィン・H・ホワイトロー博士が、フォーブスにインタビューでこのように仰っているからです。
〈Forbes JAPAN / 2024年9月4日〉
noterさんの多くは、ビジネス系にしろ、生活系(育児・恋愛など)にしろ、ご自身のリアルな体験に基づいた知恵を提供くださっている。
机上の空論ではない、リアルな見識がそこにはあるのです。
小説系の方も、人生の中での深い洞察があってこそ魅力的な作品になっている。
つまりは、どのジャンルでも人間を深く観察した上の知見交換が日々、note上のなされていると感じるのです😊
〜ということで、今後もnoterさんたちの “生きた知恵” を吸収しながら、より深く人間を知ることができたらと考えています🫡
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!