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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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#文化

知らないことに気づくために

知らないことに気づくために

坂本真綾さんのラジオ番組で聞いた。お店で瓶ビールを注文したとき、店員に「おちょこはいくつお持ちしますか?」と尋ねられたという。偶々何か言い間違えたのかと思っていたが、もちろん届いたのはジョッキであった。当の店員は、別のテーブルでも同じように言っていたそうだ。無粋だろうから敢えて説明はしないが、ビールを飲むために「お猪口」を使う人は、まずいないだろうと思う。
 
毎月テーマを決めて話題を募る番組で、

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異文化理解

異文化理解

ある事情から、急遽晩秋から、中3の受験生に国語を指導することになった。経験はあるが、この時期に受け継ぐことには非常に悩んだ。生徒にとり、あまりよいことではないと思ったからだ。だが、とにかくやるしかなかった。
 
国語の力を、ここから伸ばすというのは至難の業である。小さな頃から絵本にたくさん触れておくことが大きな影響を与える、それが基礎力をつくる、というのが私の持論である。成績別のクラスではあるが、

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『こどもサピエンス史』

『こどもサピエンス史』

(ベングト=エリック・エングホルム著・ヨンナ・ビョルンシェーナ絵・久山葉子訳・NHK出版・2021年7月発行)
 
痛い本である。実に厳しい。だがこどもたちへの呼びかけは力強く、希望に溢れている。希望は、やたら明るいだけの希望ではない。弱さや悪いところを十分自覚しているからこそ、希望を抱くのである。
 
サブタイトルは「生命の始まりからAIまで」ときて、まことに最新の情報が組み込まれている。ユヴァ

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