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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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2023年1月の記事一覧

松居直さんと聖書のこと

松居直さんと聖書のこと

松居直(ただし)さんが亡くなったのは、2022年11月2日のことだった。悲しかった。いくらかの本を読んでいたのもあるし、信仰者として尊敬していた面もあった。特に、私がずっと懐いていた絵本についての考えを、支えてくれることを言っていた人だ、というように後から知ったとき、本当にうれしく思ったからであった。
 
先日、Eテレの「こころの時代」で、松居直さんのインタビュー番組が再放送された。2001年9月

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齋藤亜矢『ルビンのツボ 芸術する体と心』より

齋藤亜矢『ルビンのツボ 芸術する体と心』より

何気なく迎えているつもりの朝だが、考えてみれば、目覚めるという保証はどこにもない。たぶん、目覚めるだろう。だが、睡眠中に命を失うケースもあると聞く。分からない。一寸先は闇とは思わないが、人間が決めてしまうことはできないのである。
 
「恐怖」という心的現象をもとに、それが「美」へとつながることを、芸術と感覚というテーマで記した人の文章が、中三生の模試に出題された。レベルの高い生徒たちのクラスのため

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筋道を立てて

筋道を立てて

どだい、すべての人に同じ教育を施すという発想に、無理があるのかもしれない。勉強したくないという子は、なにもすべての勉強が嫌だというわけではないのだ。エリートを作ろうとするシステムに基づく教育制度の勉強が、自分のあり方とは違うというケースが多々あるのではないだろうか。
 
先月末の、日本経済新聞のコラム「春秋」の前半を引く。
 
「おじさん、大学へ行くのは何のためだ」。受験勉強中の満男が、ふと寅さん

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