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哲学のかけら

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哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
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2021年8月の記事一覧

「じっぷん」の一言からの連想

「じっぷん」の一言からの連想

「残り、じっぷん」。テスト監督のときに宣言すると、子どもたちの間で「じっぷん……」という声がいくつか重なって聞こえてきた。夏期講習は、初めて塾に来るような子がいる。ふだんから来ている子は、私がいつもそう言うので慣れているが、そうでないとどうやら変に聞こえるようなのだ。
 
言うまでもなく、「10分」は「じっぷん」と読む。日本語で「じゅっ」という漢字の読み方はない。「十戒」も「じっかい」である。
 

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実は自分が

実は自分が

自分で考えることをせず、他からくる考えを無条件で受け容れる。それはとても危険なことだと言われる。それではまるで、他人の良いなりになるということになるからである。
 
聖書と雖も、それを何でもそのまま信じてしまうというのもまた、誰かに操られてしまうことになるかもしれない。カルト宗教は、信仰に対する純朴な姿勢を利用して、人を操ることをしばしばやってきた。洗脳、あるいはマインドコントロールという語も登場

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変化する言葉とその力

変化する言葉とその力

エクシード英和辞典というのがあって、使う人の好みによるだろうが、私にとっては重宝した。中古品が格安で出回っているのは、人気がないということなのだろうが、スポルジョンを読むために役立つ英和辞典でコンパクトなものは、これのほかは知らない。
 
スポルジョンは、19世紀イギリスの説教者である。と、このようなことを説明しなければならないほど、時代は変わったのだろう。かつては知らない人はいなかった。二日にひ

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一人ひとりが考えることの意味

一人ひとりが考えることの意味

印刷術の発明は、文化を大きく変えた。精神文化に与えた変化は限りなく大きい。最初に印刷が試みられたのは聖書であると言われている。それはそれは力のこもった、見事な装丁のものであったらしく、高価なものに違いなかったが、それでも、写本をつくるよりは遙かに聖書の文章が知られるようになるだけの効果をもっていた。やがてコストダウンできるようになると、聖書そのものが広まるのは加速度的に速くなった。
 
さらにルタ

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