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信用創造

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記事一覧

【「預金が原資」の正しさ、と限界】

【「預金が原資」の正しさ、と限界】

「本源的預金が貸出には必要」、「預金が銀行の貸出や国債購入等の原資」といった考えに対して、一応の結論です。

『【預金が原資】も正しい』えええ!???
ここまでずっと「預金が原資じゃない」って専門家の見解を紹介しときながら....。

タイトル図にあるように、往々にして世の中の事象は
「Pだけが成立する(左の赤)」、「Qだけが成立する(右の青)」があり
そして真ん中の、「PもQも成立する」もんです

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【”いろんな普通”と、必要な原資。】

【”いろんな普通”と、必要な原資。】

今まで深めてきた、信用創造の議論。
「又貸し論を批判」したり「又貸し論を肯定」したり
してきましたが、まとめに入ります。

《”普通”vs”理論”という構図》この議論が紛糾するのは繰り返し書いてきた通り「前提や視点が違うから」。
で、そのひとつが
『普通派』=”現場”、”銀行で常識”、”実際の現場で”という視点と
『理論派』=”それは論理的には可能”、"論理限界"という視点です。

金融業界、ある

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【一般常識】預金が貸出・運用の原資

【一般常識】預金が貸出・運用の原資

【一般常識が何か?】まず最初に「一般的に知られていること」「一般常識」「当たり前」について確認します。

 あくまで「正しいか?」でなく「何が一般常識か?」です。
 「普通の人が考え知っている内容」であり「これが間違っていても恥ずかしくない」内容です。
*画像クリックでサイトに飛びますので、ご自分で深堀りしたければどうぞ。

著者の有馬さんは関西学院大学商学部を卒業。
チェースマンハッタン銀行、ス

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【実務は?】預金が貸出・運用の原資

【実務は?】預金が貸出・運用の原資

前の記事で
 一般常識では「銀行は預金を集める」「預金を貸し出す」という理解だよね~、という紹介をしました。
 そういう一般常識も、当然知ってます。
 そこがスタート地点。

【与信・審査の実務はどんな?】「銀行の融資審査の流れをのぞいてみよう」ということで
・誰が稟議書を作成提出し
・誰が閲覧、意見が言えて
・最終的にどのように・誰が決済するのか?
・そもそもの審査の基準・項目は?
 「一般的な

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【新・常識】預金が貸出・運用の原資?

【新・常識】預金が貸出・運用の原資?

記事1では「『貸出の原資は全額預金である』という一般常識」を確認しました。
 その上で、前記事では「現場で実際に『貸出時の判断基準として銀行預金残高が十分かどうか?』は分からなかった」ところまで来ました。


今回、日本の『最高の知』を確認した結果です。

【大和総研の[金融入門]】やっぱり「総研」ですよね。

大学の教授って言っても、あんまり信頼ないでしょう?結局個人の責任で自由に発言できちゃ

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【ダメ押し・新常識】預金が貸出・運用の原資?

【ダメ押し・新常識】預金が貸出・運用の原資?

前記事で
「大和総研、富士通総研ともに一般常識と違う結論を自信満々に説明している」、「2つの総研の記事は”一般常識は間違っているよ”と言っている」と紹介しました。
 「ちょっと勘違いした若手社員が勢い余って書いた」との批判もこれだけではあるでしょうから最後に。

 総研の最大手、野村総研の記事を紹介。

【野村総研】野村総研、「金融イノベーション研究部」発行物の内容です。
ここでも同様に「MMTが

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信用創造の前提として

信用創造の前提として

「信用創造とは何か?」、「信用創造に原資は必要か?」「無から創り出せるのか?」「貸出過程の仕訳」「貸出にマネーストックは必要か?」などツイッターで議論が進んでいます。

僕は引き続き、実務を知らない立場として「現場のリアル」を尊重しつつ、今の自分の考えを絶対視せずに、ある意味柔軟に理解を深めていきたい。

【Tポイントや楽天ポイントと同じ。】このnoteで色々と紹介してきたように「そもそも」の確認

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【完】預金は貸出の原資でない。でも...

【完】預金は貸出の原資でない。でも...

前記事で「大和総研、富士通総研、野村総研、新生証券調査部長などが、当然一般常識、いわゆる”又貸し論”を理解した上で、”それは間違い”と結論づけている」と紹介しました。

【全国銀行協会の書籍】度々紹介している「全銀協(銀行の業界団体)」様です。

一般人向けHPでの説明は下記の通りでした。(こちらの記事で紹介)

一方で
全銀協の企画部金融調査室発行の「図解 わが国の銀行」記載は

【日本銀行企画

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【自分の視点を客観視すること】

【自分の視点を客観視すること】

入り込んだ議論、紛糾する議論の場合
「前提や範囲、定義や視点の違い」が原因だったりします。

後になって
「A視点の自分も正しい」し
「B視点で見れば、あなたの意見もなるほどね」ということがあるんで。

今まで僕が「信用創造で又貸し論は間違い!」と言ってきたけども、相手の話をきちんと聞いて、違う立場・視点を受け入れた時、「なるほどっ!」と心底納得できた。

ということで....

『これは何でしょ

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信用創造「支店長の視点」

信用創造「支店長の視点」

『「自分が正しい」と「自分だけが正しい」は違う』の続き

信用創造「又貸し論は間違い!」を丁寧に説明して完結させつつ…
今度は、その自分の書いてきた内容を否定しまーす。

《今まで僕は「支店長の視点」だった》信用創造を考え、語る際に
僕は
『貸出を決裁者が決める瞬間』、『貸出(入金記載)する瞬間』までをイメージしてた。

貸出の決定の際に「銀行預金残高の確認が必須ですか?」とか
貸出実行って「入金

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「銀行間決済」の視点:まず知識

「銀行間決済」の視点:まず知識

前記事では『信用創造を語る際に”支店長の視点”でない視点もあるよ。
”銀行間の決済も視野に入れる”と、違うことが見えてくる』という話をしました。

《銀行間決済とは?》銀行間決済は「他銀行に振込」などのケースで必要になります。「お金が銀行間移動する」ってことですね。
 当然、同一銀行内でのお金の動きの際は不要ですね。

僕が1年以上前に中村哲治さんに教えてもらったのが『どうして銀行は3時に閉まるの

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信用創造「資金運用・調達」の視点

信用創造「資金運用・調達」の視点

前提となる「銀行間決済」の理解を深めた上で
今度は違う立場・現場から見てみよう。
「違う前提や範囲」だから当然結論も違ってくる訳ね。

《「資金運用・調達」担当者なら》今度は信用創造を考える際に
『銀行全体のBSを把握』し、『日銀とやり取り』しつつ、『短期国債の金利などに影響を受け』つつ、『日々の資金調達を行う』『銀行間決済の額を確保する』立場をイメージしてた。

1億超の貸出、他行流出なら「即時

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信用創造「資金運用・調達」の視点②

信用創造「資金運用・調達」の視点②

前記事では、「実務で大事な点は”ノーリスクで+0.1%金利、0%金利は死守だから、日銀当座預金の2層・マクロ加算残高額が大事だよ」、言い換えると「理論的な準備預金残高の議論って、実務としては”おとぎ話??”」と紹介しました。

《実務で大事な点②》この点も「資金運用・調達の視点」からは
支店長視点の又貸し論否定論者とは全く違うように見えています。

「自行預金に貸出額を入金記載すれば貸出終了」とい

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低金利の謎:日本銀行の当座預金

低金利の謎:日本銀行の当座預金

日本銀行当座預金(=日銀当預)について、「民間銀行でのやり取りするお金」、「民間銀行にとっての銀行が中央銀行(日銀)で、そこが発行するお金」など理解されてる方は多いと思います。
 今回、素晴らしいレポートが日銀で出たので紹介です。

《そもそも三層構造。基本です。》日銀当預は三層構造、この理解が大事です。
その数年に渡る実験の結果を分かりやすく説明したのが下記レポート。
 => 原本リンクはコチラ

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