古賀弘規

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マガジン

  • 小説 コーチ物語

    コーチングのコーチ、羽賀純一。 彼のもとには多くのクライアントがやってくる。 この物語は、羽賀コーチによってクライアントがどのように成長し、羽ばたいていくのかをクライアントの視点から描いた物語である。 現役のコーチングのコーチが描く、人生のエッセンスが詰まった小説です。

  • 幸せな男女関係

    このマガジンでは、毎回幸せな男女関係を築くための考え方についてお届けします。 これから彼氏、彼女を作ろうと思っている方、すでにパートナーはいるけれど、もっと仲良くなりたいと思っている方におすすめの情報です。

  • Cafe Shelly

    魔法のコーヒー・シェリーブレンドを淹れてくれる喫茶店、カフェ・シェリーを舞台とした物語です。 主人公は訪れるお客様。今回はどんなお客様が訪れるのかな?

記事一覧

コーチ物語 クライアント22「悪魔の囁き」その2

「こうやってわざわざお礼を言いに来る人なんてめずらしいですね。あ、あらためまして、私ここで看板屋をやっている吉武といいます」  そう言って名刺を差し出すと、羽賀…

古賀弘規
18時間前

コーチ物語 クライアント22「悪魔の囁き」その1

 悪魔は一語しか知らない。けれどその悪魔の囁きが私のこころを揺るがす。今まで何度、その言葉に私は翻弄されてきただろう。そして今、この時も私の心を揺るがす。 「だ…

古賀弘規
1日前

幸せな男女関係「依存と自立、その加減が必要です」

男女が付き合い始めると、お互いに対して「依存」してしまうことが多くな ります。 たとえば、一緒に住んでいるのであれば食事の支度を彼女にお願いする。 車の運転は彼氏…

100〜
割引あり
古賀弘規
2日前
1

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その8

 そうやって支援会も進行していき、仕事の方も内山さんの言葉で取引が回復しそうな兆しを見せてきた。これはうちの会社だけではない。地域貢献という形で新しい仕事の取組…

古賀弘規
2日前

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その7

「それではこれから支援会を開催します。まずは実行委員長の島原さん、ご挨拶をお願いします」  いよいよスタートしたドリプラの支援会。今回集まったプレゼンター、そし…

古賀弘規
3日前

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その6

 結局我々中小企業は、大手の言いなりになるしかないのか。そんな理不尽な思いが頭のなかを駆け巡った。  何よりも私の心のなかに突き刺さったのは、自分の立てたイベン…

古賀弘規
4日前

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その5

 結局我々中小企業は、大手の言いなりになるしかないのか。そんな理不尽な思いが頭のなかを駆け巡った。  何よりも私の心のなかに突き刺さったのは、自分の立てたイベン…

古賀弘規
5日前
3

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その4

 いよいよ支援会がスタート。ヒロキさんの誘導で自己紹介。そしてそれぞれの夢を語り合う。みんないい表情をしている。けれど私から見ればその夢はまだまだちっぽけだ。こ…

古賀弘規
6日前
3

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その3

「ドリプラ、ですか?」 「ドリプラをやるのに、どうしてもコーチングの力が必要なんだよ。プレゼンターの思いを形にするのに、半年間かけて練りあげていくんだ。それをす…

古賀弘規
7日前

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その2

 羽賀さんと会う日。場所は駅前のお店。ここは昼間は喫茶と食事の店なのだが、夜は洒落たバーに様変わりする。女性に人気の場所だ。 「羽賀さん、おまたせしました」 「島…

古賀弘規
8日前

幸せな男女関係「無関心、過干渉 あなたはどっち」

妻からこんな質問がありました。 「無関心と過干渉、どちらの方が良くないのかな?」 これは男女関係、特に夫婦になるとかなり問題となるものです。 結婚する前は、相手の…

100〜
割引あり
古賀弘規
9日前

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その1

 私は悩んでいた。  悩み、といっても仕事のことでもなければ家庭のことでもない。どちらもそれなりに順調に運んでいる。特に仕事は、経営者としてそれなりのことをやっ…

古賀弘規
9日前
1

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その8

「私はこれから、情報セキュリティの分野を通じて多くの人が幸せになれるような社会を作っていくことをここに誓います。そしてその中核として、このリンケージ・セキュリテ…

古賀弘規
10日前
1

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その7

「さて、まずはこれをすませないとな」  リンケージ・セキュリティの新社長就任を受ける前に、私は早速ある行動を起こすことにした。  私がまず最初に訪れたのは石塚の家…

古賀弘規
11日前
1

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その6

『リンケージ・セキュリティ新社長、飯島夏樹氏就任』  あの出来事からわずか一ヶ月後。私はリンケージ・セキュリティの新社長として株主総会の同意を得て就任に至った。…

古賀弘規
12日前

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その5

「ちくしょう、私は、私は………」  自分でも何を悔しがっているのか、何に腹を立てているのかわからない。けれど心の奥から何らかの感情が沸き上がってくる。これは一体…

古賀弘規
13日前
コーチ物語 クライアント22「悪魔の囁き」その2

コーチ物語 クライアント22「悪魔の囁き」その2

「こうやってわざわざお礼を言いに来る人なんてめずらしいですね。あ、あらためまして、私ここで看板屋をやっている吉武といいます」
 そう言って名刺を差し出すと、羽賀さんも私に名刺を返す。
「私、コーチングをやっている羽賀と申します。よろしくお願いします」
 その時の名刺の返し方、それは一流ビジネスマンの空気を持っていた。おそらく今まで出会った人の中ではピカ一だ。しかし、その羽賀さんの風貌はジャケットに

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コーチ物語 クライアント22「悪魔の囁き」その1

コーチ物語 クライアント22「悪魔の囁き」その1

 悪魔は一語しか知らない。けれどその悪魔の囁きが私のこころを揺るがす。今まで何度、その言葉に私は翻弄されてきただろう。そして今、この時も私の心を揺るがす。
「だけどなぁ」
 ついこの言葉が口から出てきてしまった。まただ、悪魔が私の心をそうやって揺さぶり、ついにはその囁きに気持が傾いてしまう。
「いや、この前もそうやって逃げてたでしょ。こんどこそ引き受けてくださいよ。お願いします」
「だけどなぁ、私

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幸せな男女関係「依存と自立、その加減が必要です」

幸せな男女関係「依存と自立、その加減が必要です」

男女が付き合い始めると、お互いに対して「依存」してしまうことが多くな
ります。

たとえば、一緒に住んでいるのであれば食事の支度を彼女にお願いする。
車の運転は彼氏にお願いをする。
朝起こしてもらうのをどちらかにお願いする。
などなど。

こういった「依存」はあげればきりがありません。
これが夫婦となると、さらにお互いに対して依存することが多くなるでしょう。

けれど、この「依存」が負担に感じるこ

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その8

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その8

 そうやって支援会も進行していき、仕事の方も内山さんの言葉で取引が回復しそうな兆しを見せてきた。これはうちの会社だけではない。地域貢献という形で新しい仕事の取組み方を、一緒になって考えていこうという動きになってきたのだ。
 実はあとから聞いた話なのだが。その裏には羽賀さんが絡んでいたようなのだ。
 この会社の会議に、羽賀さんの仲間であるファシリテーターの堀さんが入っていたとか。その会議のサポートに

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その7

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その7

「それではこれから支援会を開催します。まずは実行委員長の島原さん、ご挨拶をお願いします」
 いよいよスタートしたドリプラの支援会。今回集まったプレゼンター、そして彼らの支援者。さらに私やヒロキさんの呼びかけて集まった仲間たち。仕事のことでここに集まった彼らには迷惑はかけられない。今は目の前のドリプラをいかに成功させるか。そのことだけに力を注ごう。その決意で挨拶をさせてもらった。
「このドリプラは単

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その6

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その6

 結局我々中小企業は、大手の言いなりになるしかないのか。そんな理不尽な思いが頭のなかを駆け巡った。
 何よりも私の心のなかに突き刺さったのは、自分の立てたイベント企画に執心しているという言葉。私は決して社長業を放棄しているわけではない。むしろ、こういうイベントに関わっているからこそ、社長としての責務を果たさないといけないという責任感に負われている。
 しかし、周りの見方は違うのか。社長が遊んでいる

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その5

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その5

 結局我々中小企業は、大手の言いなりになるしかないのか。そんな理不尽な思いが頭のなかを駆け巡った。
 何よりも私の心のなかに突き刺さったのは、自分の立てたイベント企画に執心しているという言葉。私は決して社長業を放棄しているわけではない。むしろ、こういうイベントに関わっているからこそ、社長としての責務を果たさないといけないという責任感に負われている。
 しかし、周りの見方は違うのか。社長が遊んでいる

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その4

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その4

 いよいよ支援会がスタート。ヒロキさんの誘導で自己紹介。そしてそれぞれの夢を語り合う。みんないい表情をしている。けれど私から見ればその夢はまだまだちっぽけだ。この夢を更に大きなものに膨らませ、そして自分だけではなく社会に貢献できるようなものにしていかないと。聞いている人の感動と共感は得られない。
 ヒロキさんにそのことを伝えてみる。
「大丈夫ですよ。これから徐々に大きなものに広げていけるようにプロ

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その3

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その3

「ドリプラ、ですか?」
「ドリプラをやるのに、どうしてもコーチングの力が必要なんだよ。プレゼンターの思いを形にするのに、半年間かけて練りあげていくんだ。それをするのに支援者がプレゼンターを支援するのだけど。ここでコーチングをやって欲しいいんだよ」
 私はヒロキさんに思わず熱心に語ってしまった。
 ヒロキさんも羽賀さんと同じく、プロのコーチとして活動を行なっている。が、まだその活動を始めたばかり。私

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その2

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その2

 羽賀さんと会う日。場所は駅前のお店。ここは昼間は喫茶と食事の店なのだが、夜は洒落たバーに様変わりする。女性に人気の場所だ。
「羽賀さん、おまたせしました」
「島原さん、しばらくぶりです」
 店はすでにお客さんでいっぱいになりつつある。私と羽賀さんはカウンターに位置する。
「島原さん、いらっしゃいませ」
 ここのマスターは私の知り合いで、以前は何度か一緒にボランティア活動を行なっていた。今ではお店

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幸せな男女関係「無関心、過干渉 あなたはどっち」

幸せな男女関係「無関心、過干渉 あなたはどっち」

妻からこんな質問がありました。
「無関心と過干渉、どちらの方が良くないのかな?」
これは男女関係、特に夫婦になるとかなり問題となるものです。

結婚する前は、相手のことがやたらと気になっていたのに。
結婚後はすっかり相手に興味がなくなってしまい、無関心になることもあります。

その結果、もう相手のことなんてどうでもいいやって感じになり、外に刺激
を求めに行く。
それが趣味とかならまだいいのですが、

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コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その1

コーチ物語 クライアント21「夢を語る男」その1

 私は悩んでいた。
 悩み、といっても仕事のことでもなければ家庭のことでもない。どちらもそれなりに順調に運んでいる。特に仕事は、経営者としてそれなりのことをやってきた。そのおかげで私が留守にしていても、会社はきちんと回るような体制づくりができたと自負している。
 現に、私は今まで多くの社外活動に参加してきた。経営者の勉強会では気がつけば中心人物となり、この地域の経営者と関わってきた。そのおかげで、

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コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その8

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その8

「私はこれから、情報セキュリティの分野を通じて多くの人が幸せになれるような社会を作っていくことをここに誓います。そしてその中核として、このリンケージ・セキュリティが存在し、さらに業界を引っ張っていかなければならないと考えています」
 社長に就任し、役員会での最初の挨拶で私はこうみんなに伝えた。
 役員の中には「何を今更きれい事を」というような目で私を見ている人間もいる。確かにそうだろう。今まで佐伯

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コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その7

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その7

「さて、まずはこれをすませないとな」
 リンケージ・セキュリティの新社長就任を受ける前に、私は早速ある行動を起こすことにした。
 私がまず最初に訪れたのは石塚の家。リンケージ・セキュリティのライバル会社であり、情報戦で激しい攻防を繰り広げた新和商事の社員であり、天才的なハッカーであった石塚一樹。彼は志を持って日本という国を守ろうとして、軍事衛星の情報をロシアの手から守ろうとした。だが彼はその最中事

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コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その6

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その6

『リンケージ・セキュリティ新社長、飯島夏樹氏就任』
 あの出来事からわずか一ヶ月後。私はリンケージ・セキュリティの新社長として株主総会の同意を得て就任に至った。さらに佐伯孝蔵は引退という形を取った。すでに死亡していることはごくわずかの関係者しか知らない。その関係者も、人工知能の佐伯孝蔵を作成したスタッフのみで、経営幹部は誰一人その事実を知らない。
 慌てたのは政界のお偉方。特に相志党の幹部は大急ぎ

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コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その5

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第七章 日本を動かすもの その5

「ちくしょう、私は、私は………」
 自分でも何を悔しがっているのか、何に腹を立てているのかわからない。けれど心の奥から何らかの感情が沸き上がってくる。これは一体なんなのだ。
「恥じることはない」
 人工知能の佐伯孝蔵がそう言う。
「黙れっ!」
 気がつくとそう言っている自分がいた。
「何も恥じることはなかろう」
 繰り返しスピーカーからその声が聞こえる。
「黙れ、だまれ、黙れっ! お前に何がわかる

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