ゆるやかに菜食主体になっていこうと思った話
肉が好きだ。肉を焼くのも好きだ。熱くした鉄の上で、血と脂の匂いが香ばしく甘く変わってゆくのをかぎ分け、組織の縮んでいくのや、表面の焼き色を観察し、油の気泡の大きさに目を留め、指で押して、そういったあらゆるすべてで焼き具合を確かめる。すこし休ませてから包丁を入れると、目でもその断面のやわらかさ、なめらかさを感じ取れる。今すぐひときれ口にすべり込ませたくなる気持ちを抑えながら、思った通りに火が入っているのに喜ぶ。付け合わせと一緒に皿に盛って食卓へ運ぶ。口に入れると焼き固められた表