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2020.05.06 果物から泡が出ていた日

果物をその食べ頃のうちに食べ終えることができない。ここ最近、台所にもらいもののりんごを3つ置いたまま、食べる機会を失い続けて今日になった。普段できないことは在宅が続いたってできないことを思い知る。

とにかくうちではりんごが静かに食べ頃を失っていたのだが、今日、いきなりりんごが静かではなくなった。台所でりんごの匂いが濃くなり、あらためてみるとりんごが裂けている。たてにはいった亀裂の一番上から、じむじむと音を立てながら泡が出ていて、亀裂の一番下から、果汁がたれている。見ている間にりんごの載っている台を濡らすほど流れてくる。黒くいたんだ部分がないのを確認し、指にとってなめてみる。これ、酒だ。これ知ってる。食の歴史について書かれた本でよくみるやつ。木の洞とかに落ちた果実が発酵して成る、あの状態の酒だ。怠慢で酒を作ってしまった。法を犯していないことを祈るばかりである。

残り2つのりんごはまだ果物の状態だったので、スライスしてガトーインビジブルになった。台所の別の場所では、オレンジが静かにしている。

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