田中法律アカウント

田中法律アカウント

マガジン

最近の記事

令和4年予備試験再現答案 刑法

第一 設問1  1 甲がYにスーパーからブドウを盗るよう言った行為について窃盗未遂罪(235条、243条)の間接正犯が成立しないか。  (1) ア まずYがスーパーマーケットに行きブドウを盗ろうとした行為について、Yに窃盗の実行の着手(43条本文)が認められるか。  イ 実行の着手は43条の文言からくる構成要件該当行為への密接性、法益侵害の現実的危険性を考慮して判断する。  ウ 本件では、Yはたしかにブドウがどこにあるかわからず、盗まずに帰っている。しかし、6歳の者であっても

    • 令和4年予備試験再現答案 刑事訴訟法

      第1 ①の行為の適法性について  1 (1) Pは捜索を開始するにあたって、非処分者ではないA甲に対して令状を提示している。かかる行為は捜索をするにあたって、令状を非処分者に提示することを要求している事前提示の原則(110条、222条1項)に反しないか。  (2) 110条の趣旨は令状を非処分者に提示することによって、捜索の範囲を明示するとともに、捜査の脱法を可及的に防ぐことにある。とすれば、非処分者でなくても関係する者に提示すれば同条の趣旨に反しないため許される。  (3)

      • 令和4年予備試験再現答案 憲法

        第一 争議行為の禁止規定について 1 地下鉄維持特措法案(以下法案)が争議行為を禁止しているのは、団体行動を禁止しているとして憲法28条に反しないか。  (1) 憲法28条は団結権・団体交渉権・団体行動権を保障している。争議行為は団体行動権に含まれるものであり、団結権を実質化するための重要な権利と言える。  (2) 法案は争議行為を禁止しているため、上記権利を制約している。  (3) 制約は正当化されるか。  争議行為は会社と比べ交渉力等で弱い立場にある私人の労働権を守るため

        • 令和4年再現答案 行政法

          第1 設問1  1 Dに本件処分の原告適格(36条)が認められるか。「法律上の利益を有する者」といえるか問題となる。  (1) 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして当該処分を定めた行政法規が不特定多数社の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含むと解される場合には、そのような利益も法律上

        令和4年予備試験再現答案 刑法

        マガジン

        • 民訴
          1本
        • 刑訴
          1本

        記事

          令和4年予備試験再現答案 労働法

          設問 1 Xは裁判所に対し、令和4年4月1日以降もY社で有期労働者の地位を有することの確認を請求する。 2 XはYと有期労働契約を締結している所、勤務するようになってから5年経っていないため、契約期間を通算した期間が5年を超えていないため、18条1項の適用はない。 3 有期労働契約の更新を19条の要件を満たすとして請求できるか。   19条の要件は、①19条各号のいずれかに該当すること②契約締結の申し込みをしたこと③「申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通

          令和4年予備試験再現答案 労働法

          令和4年再現答案 刑事実務基礎

          第一 設問1  1 小問1 (1) BはVを刃物で脅してVから暗証番号を聞き出すことや発覚を遅らせるためにVを縛る等、犯人又は関係者しか知らないことについて供述している。かかる供述は証拠①と一致するものであり、信用性がある。 (2) BがAと共謀して実行したと主張しているが、Aに罪を被せるためにかかる主張をしているとも考えられる。しかし、Bは自身が実行犯であることを認めており、他人に罪を被せる場合に、自身が実行犯と主導的役割であったことを認めるのは経験則上考えにくい。  Aを

          令和4年再現答案 刑事実務基礎

          令和4年予備試験再現答案 民事実務

          第一 設問1  1 小問1  請負契約に基づく報酬支払請求権1個  履行遅滞に基づく損害賠償請求権1個  2 小問2  被告は原告に対し300万円及びこれに対する令和4年5月29日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。  3 小問3  a XはYと令和4年2月8日本件工事を報酬1000万円で請け負った  b Xは令和4年5月28日本件工事を完成させた  c Xは同日Yに本件建物をYに引き渡した  d Xは同日Yに報酬1000万円の支払いを請求した  4 小問4  

          令和4年予備試験再現答案 民事実務

          令和4年予備試験再現答案 民事訴訟法

          第一 設問1  1 前段について (1) Xは権利能力なき社団であるが、29条の「社団」として訴訟を提起できるか。 (2) 29条が社団に当事者能力を認めたのは、団体としての実質を備えているからである。  そのため権利能力なき社団であっても、団体としての実質を備え、代表者の定めがある場合には訴訟を提起することができる。  ア 団体としての実質を備えているかは、①団体として主要な点が確立していること②構成員の変動にかかわらず団体が継続的に存続していること、③多数決の原則が行われ

          令和4年予備試験再現答案 民事訴訟法

          令和4年予備試験再現答案 商法

          第2 設問2  1 Aらに対する責任追及等の訴え(847条1項本文)は、提訴請求をFに対してしている。しかし、Fは甲社の子会社である乙社の取締役に就任していることから、監査役としての資格を失っている(335条2項)ため、847条1項本文で提訴請求をされる「役員等」には該当しないこととなる。  そのため、提訴請求が要求されている847条3の要件を満たさず責任追及等の訴えは違法になるとAは主張することが考えられる。  2 (1) これに対しDは①「回復することができない損害が生ず

          令和4年予備試験再現答案 商法

          令和4年予備試験再現答案 民法

          第一 設問1  1 小問1   (1) BのAに対する請求は、本件請負契約(632条)においてBが塗料αを使用せず建物を完成させたことが、品質に関して契約内容に適合しないものであるとして(562条1項本文、559条)代金減額請求を求めるものである(563条1項)。  代金減額請求が認められるためには、562条本文の要件を満たす必要がある。本件請負契約においてAが完成させた甲建物は、塗料αを使用した場合より客観的価値の高いものであるが、品質が「契約の内容に適合しない」ものといえ

          令和4年予備試験再現答案 民法

          令和3年予備試験再現答案 民事訴訟法(F)

          第一 設問1 1 小問1 (1) 本件訴訟はYのZに対する遺産分割を原因とする所有権移転登記手続をすることを求める訴えを、XがYに対する本件貸付債権を有していることを理由として代位(民法423条)して行っている。  本件貸付債権は、Xの原告適格を基礎づける訴訟要件に該当するものである。本件化貸付債権が存在しない場合、原告適格が認められなくなるため、XZ間の訴訟が却下されることとなる。  Yは本件貸付債権が不存在であると考えているが、これが共同訴訟参加(52条1項)をするうえで

          令和3年予備試験再現答案 民事訴訟法(F)

          令和3年予備試験再現答案 民法(D)

          第一 設問1  1 本件ワイン売買契約について  (1) Aは本件ワイン売買契約は履行不能に陥っているため、債務不履行に基づく解除(542条1項1号)を主張する。  (2) (ア) 債務不履行解除をするためには「債務の全部の履行が不能である」と言える必要があり、全部の履行が不能とは社会通念上当該債務の履行が不能であることをいう。  (イ)本件債務は冷蔵倉庫甲に保管中の乙農園の生産に係るワイン1万本である。本件ワインと同種同等のワインは他に存在しておらず、飲用を目的としてその種

          令和3年予備試験再現答案 民法(D)

          令和3年予備試験再現答案 商法(E)

          第一 設問1 1 本件代金は、代表権のない取締役であるCが、株主総会や取締役会決議をせず乙社と行った契約に基づくものなので、原則として甲社に効果が帰属しない。 2 (1) もっともCは、代表取締役副社長Cという名称を使用して契約を締結しているため、表見代表取締役(354条)が適用され、甲社が責任を負わないか。以下354条の要件を検討する。  (2) 本件では「取締役」であるCに、代表取締役副社長Cという「副社長・・株式会社を代表する権限を有する者」と認められる「名称」が付され

          令和3年予備試験再現答案 商法(E)

          令和3年予備試験再現答案 行政法(F)

          第一 設問1  1 本件条件の法的性質について  (1) 本件条件は、本件許可の際に法第14条の5第2項及び第14条の4第11項に基づいて「積替え・保管施設への搬入は自ら行うこと。また、当該施設からの搬出も自ら行うこと」と、本件許可に、「搬入は自ら行うこと。搬出も自ら行うこと。」という法律効果を加えている。  これは本件許可と従たる関係にあるため附款にあたるものといえる。  (2) したがって本件条件の法的性質は附款である。  2 提起すべき訴訟   取り消し訴訟の対象として

          令和3年予備試験再現答案 行政法(F)

          令和3年予備試験再現答案 憲法(F)

          第1 広告物規制について   B市歴史的環境保護条例の中の広告物規制は、C地区で広告物を掲示する自由を制約しているため、表現の自由(21条1項)に反し違憲ではないか。  (1) 広告物を掲示する行為は、自己の持つ思想や情報を街中に掲示することにより、他者に発信し、それにより自己実現につながることができるため、表現の自由として保障される。 (2) 本件では特別規制区域に指定することにより、C地区で上記権利を制約しているといえる。 (3) 表現の自由も、公共の福祉の元一定の制約(

          令和3年予備試験再現答案 憲法(F)

          令和3年予備試験再現答案 刑法(F)

          1 甲がY宅から本件段ボール箱を持ち出した行為について  甲がY宅から本件段ボール箱を持ち出した行為に窃盗罪(235条)が成立しないか。  (1) 甲が持ち出した本件段ボール箱は、甲がYに預けた物であるため、「他人の」物にあたらないのではないか。   (ア)窃盗罪の保護法益は平穏な占有を守ることにある。とすれば所有権を有していない者でも、占有しているのであれば「他人の」にあたる。    (イ) 本件ではYは甲から本件段ボール箱を預かっているにすぎないが、某月2日から同月16日

          令和3年予備試験再現答案 刑法(F)