田村 将太郎

建築写真 / 1994 埼玉県生まれ / 2021 早稲田大学大学院建築学専攻修了…

田村 将太郎

建築写真 / 1994 埼玉県生まれ / 2021 早稲田大学大学院建築学専攻修了 tamurashotaro.com

最近の記事

しょくざい

大体の食材は四人で食うのにちょうどいい形をしている。もしくはそういう分量に小分けされて売られているというように感じる。 例えばカレーを作ったら、玉ねぎ一個を軸にしたら大体4人前くらいできる。豚肉と白滝の旨煮もネギ2本を基準にしたら大体4人前くらいできる。一人家計の自分はそれを一度に食ってしまうか、タッパーなどの石油の残り滓を固めた容器に入れて冷蔵庫に放り込んでおく。腐らせないためだ。 冷蔵庫に放り込まれたおかずに含まれる不飽和脂肪酸は翌日にはすっかり冷えて、白く濁った塊となっ

    • なんでもないこと、もしくは重要なこと

      仕事を辞めた。で、また別のところで働いた。 前みたいに、一つのところで働くのではなくて、とりあえず写真を撮ってくれって言われたときにその都度撮ってお金をもらっている。写真を撮る仕事がないときは、建築学生時代にお世話になった先生の設計事務所で模型を作っている。 久しぶりに自炊をする。玄米を炊く。玄米は炊き上がるまでに時間がかかる。炊飯の度に精米を面倒くさがってしまったツケを払っている。玄米は美味しくない。白米のような粘りはなく、パラパラとした感じになる。水の分量にかかわらずパ

      • 時間旅行を夢見て(映画『四畳半タイムマシンブルース』の感想)

        私はときたま、過去に戻りたいと思うこともあれば、未来に行きたいということがある。しかしそれは決して時間旅行といったお楽しみ目的ではない。例えば高校に戻って東京大学に進学した人生を歩んでみたいだとか、今やっている下積みが終わってカメラマンとして独立して富と名声を手に入れた未来に早く行きたいというような願望である。だから、映画でよくある、過去の自分に遭遇するとか恐竜に追いかけられて大変だとかじゃなくて、もうただただ過去に後悔があったり日々の生活が辛すぎるだけ、というなんとも不甲斐

        • 喫煙所トーク

          職場のスタジオの喫煙所で先輩と話した話題から考えるあれこれ 1 女性の水着の胸側にあるボタンってなんのためについているのか。 ボタンがついているということは、それは取るという行為を前提としているというわけであって、その水着を外す行為をアフォーダンスしているよねという結論になった。その水着のボタンを外す人が現れるときにその水着のデザイナーが大喜びする。 2 写真に表現されているのはイデアであって現実にある存在をそのまま映し取っているわけではないと思った。どんなものでも。その

          散髪

          髪を切りたい時っていうのは突然訪れて、一回そうなってしまったらもうその日にどうしても髪を切ってもらいたくなってしまうものです。でも、その日に予約を入れようと思っても、いつも切ってもらってる美容師さんが空いてなかったり、自分の予定が空いてなかったりで、その日に切れることはなかなかありません。だからといって今日から先のおそらく髪を切りに行けるだろうという日にホットペッパービューティで予約を入れることもないです。ただ、切りたいと思った瞬間に髪を切ってもらえたらどんなにいいだろう、と

          メトロン星人を食卓に潜り込まされた(『イルカも泳ぐわい。』を読んで)

          子どものころ狂ったようにウルトラマンの怪獣図鑑を読みふけっていた事を思い出した。 多くの少年は大抵、戦隊モノや仮面ライダーに憧れるなか、私は俄然ウルトラマン推しの男の子だった。ツタヤで歴代のウルトラマンのVHSを借りては、ビデオデッキで8ミリテープでダビングし、繰り返しみた。最新のウルトラマンダイナしかチェックしていない友達に対して初代ウルトラマンから見ている古参ファンを気取っていた。 怪獣図鑑は大きさこそ小さいものの、厚みはしっかりと分厚く、ずっしりと重かった。子どもの手に

          メトロン星人を食卓に潜り込まされた(『イルカも泳ぐわい。』を読んで)

          雨乞い

          私は、何度も雨乞いをしたことがある。 野球は屋外で行われるスポーツのため、雨が降ったら当然グラウンドでの練習ができない。屋根付きのブルペンや室内練習場、校舎の階段でできることは限られているため、軽い練習で終わるのがお決まりだった。なので、野球部員と言う生き物はわずかな空や風の変化を見逃すことはない。あ、これ雨降るな、と勘の悪い一部の部員をのぞきほぼ全員が同時に降雨の気配を予感する。 しかしながら雨の中でも野球はできないことはない。プロ野球や甲子園の中継で選手が雨の中泥だらけ

          ノボルという男

          私の研究室のスタジオが入る建物はキャンバスから戸山公園を挟んだ隣にあり、その2階にあった。いつもは階段を使っていくのだが、今日はなんとなくエレベーターを使っていくことにした。普段エレベーターに乗るときに、例えば私が10Fに行こうとしているとするときに、乗り合わせた人が2Fのボタンを押そうものなら「階段使えよタコスケが!」と心の中で叫んでしまう私であるが、こうやってエレベーターを使いたくなる日もあるのだ。エレベーターは一階に停まっていたので、すぐに扉が開いた。まるで私の到着を待

          ノボルという男

          癖があるから

          あなたをあなたたらしめるものってなんだろうか。戸籍?免許証??マイナンバー???それともDNAに刻み込まれた遺伝子情報とでもいうだろうか。人の持つDNAは皆ほぼ一緒であり、大体0.1%ほどの違いにすぎないという。なのにこんなにも違いが生まれてくるのはなぜだろう。私と松坂桃李の間には0.1%どころじゃないなにか越えられない壁があるということを否定してくれるお人好しは少なくとも私の周りには存在しない。 遺伝子が0.1%しか違わないということはあくまで生まれた人間そのものという

          癖があるから

          修士設計を終えて

          カッターの刃を折る音がまだ耳の中に響く中、修士設計審査会の発表を終えた。ここ1ヶ月ほど、ろくに寝ずに作業していたが、発表自体は難なく終えることができた。無事卒業することができそうだ。大学から自宅までのいつもの帰り道を自転車で走る。冬の冷たい空気が肌を刺すが、今日はなんだか心地いい。ぴっちり第一ボタンまで閉めたワイシャツの襟が苦しい。信号を待っている間にボタンを外しネクタイを緩めると、そうか、大学院が終わったんだなと思った。 専門学校で3年間、大学院で2年間、建築のデザインを

          修士設計を終えて

          初めてのプロの撮影現場(DJとして)

          昨日、幸運なことに役者の友人の宣材写真の撮影現場にアシスタントとして入らせていただくことができた。カメラマンとヘアメイク、そしてモデルである友人のみのコンパクトな撮影現場であったが、プロのカメラマンの撮影現場を初めて経験することができた。 春からスタジオマンで勤務するとはいうものの、スタジオ撮影を手伝うのは初めてである。なので、機材一つを扱おうにも、何が何だかわからない。このネジは何のネジなんだ?っていうか、どうやってこの照明機材はカメラと連携してるんだ??というような感じ

          初めてのプロの撮影現場(DJとして)

          3分茹でたら

          まだ「2021」とキーボードを叩く手が慣れていない今日この頃、皆様はいかがお過ごしだろうか。 私はもちろん修士設計と格闘中である。 トレーシングペーパーにガリガリと建築の形をスタディしていくと、建築の形ではない何かが目の前に立ち現れる。 何このとんがり、ここに住む人かわいそうじゃない??この通路いる??というか、この建築いる?? こういう自問自答が始まったら終わりで、それ以上の進展は見込めない。一人与党野党は何一つ事を前に進めることはできない。 そういう時はとりあえず飯を

          修士設計提出まで残り1ヶ月

          今日が終われば修士設計の提出まで残り1ヶ月ということになる。去年は世の中的にも大変だったが、私自身も多分に漏れず大変だったように思う。 ゼミが対面で行うことができず、教授と週一回の電話による指導を受けた。毎週同じ曜日、同じ時間に電話がかかってくるという規則正しい恐怖心のおかげで、修士設計前半部分の進捗はとてもいいものだったと思う。 しかしながら、後期に入ってから実際の設計に研究したものを落とし込んでいくという作業が全くと言っていいほど捗らなかった。前期を丸々研究に費やしていた

          修士設計提出まで残り1ヶ月

          オーバーオールとサロペット

          オーバーオールが好きで、よく着ている。今年の冬にナイキからカッチョいいオーバーオールが出たので、それを2着買って着まわしているため、毎日同じ服を着ているように見えるが、ちゃんと洗っている。 そうしていると、オシャレに敏感な人から「そのサロペットいいですね!」と言われることが結構ある。「そのオーバーオール」と言われる時は、珍しがったり、なんでそんなものをというような感じであるが、褒められる時は全て「そのサロペット」なのである。 大の大人の大男(こうして字にすると大きいという

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          ラーメン二郎を家で食べるときに思ったことひとまとめ

          新型コロナウイルスの影響で、世界各国で感染拡大防止策が取られている中、私のクラスここ日本、特に東京都においても例外なく非常事態宣言が発令された。飲食店、雑貨店などのそれぞれの専門領域の如何にかかわらず、軒並みその暖簾をしまい込んでいる————もっとも雑貨店の類には暖簾という日本古来の習慣は完全に忘れられつつあるが————(注1)。いつもは何の用もなしに若者でごった返している渋谷のセンター街も、表参道も、原宿もそのアスファルトの面にかつてないほどの太陽の光が降り注いでいる。しか

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          諸問題

          どんな人にも親はいる。 どんな仕事にもそれにお金を払っている人がいる。 小石を蹴ったら、止まっている黒塗りのベンツに直撃してしまった。バンパーと塗装に傷がつき、その部分だけ白く剥げてしまった。それはごくごく小さなものであったが、たいそう念入りに手入れされたピカピカなボディーと、今まさに自分がつけたという事実が相まって、大変目立つものに感じられた。ベンツは今まさに駐車禁止のシールを貼られているところだった。 こんなところに停めているベンツが悪いのだ————その言い訳の背中をそ