相原民人

浅煎りコーヒーと自然派ワインTypica というお店を西荻窪でやっています。

相原民人

浅煎りコーヒーと自然派ワインTypica というお店を西荻窪でやっています。

最近の記事

1号店と2号店の差別化について

1号店を2号店と差別化するにあたって、馴染む店と、発見する店にしようと思った。 そもそもTypicaという名前は「普遍的な」を意味するコーヒーの品種から拝借したもので、ワインやコーヒーという難しい嗜好品をもっと身近に感じて欲しいという思いで名付けた。4年近く経営していく中で、液体の存在感を減らしてパフェにフォーカスしていく戦略に切り替えたが、そのイズムは今も健在で、街のインフラとしてお客様の生活を豊かにするために営業している。いわば生活に「馴染む」ことで価値を生んでいる現状

    • 情報のフィルター

      この前ふと思ったブランドのあり方について。例えばカフェをオープンしたとして、それをSNSで告知するとき、自分の店がどういう店なのか伝える必要がある。いいものは、情報のフィルターが分けられており、勿体ないものはひとつのフィルターに情報を詰め込み過ぎていると思う。 人は情報処理を拒絶するようにできている、ましてや知らないブランドのポストなど基本的には見たくないものだ。それを伝えるには「フック」と「誘導」と「情報」の3つくらいには分けて伝える必要があるだろう。つまり、情報の浸透を

      • コンセプト

        資本主義の日本ではあるが、全てのビジネスが利益のみを追求しているかというとそれは違う。サービスとトレードできる紙幣は素晴らしい発明だが、人に必要な「承認」や「成長」は金では買えない。誰もがアート性(アウトプット)と社会性(人に役に立つことで得られる承認)とゲーム性(困難に立ち向かうことで成長していく実感)の中でバランスをみて、ビジネスを行っている。 飲食店は、町のインフラであると同時に作品でもある。その作品たらしめているものが「コンセプト」だ。ここでいうコンセプトは、骨に近

        • 2号店

          Typicaは夫婦でのびのびやっていければいいと思ってスタートしました。しかし、いざ営業してみると、自分たちがやりたいことをやるより、お客様に喜んでもらえることに幸福を感じる自分がいました。 人は変わります。学生の頃は、他人と働くことはできないと思っていましたし、20代は、自分がプレイヤー(バリスタ)として、どれだけ成長できるかが重要だと考えていました。30代は個人プレイの壁に打ち当たり、チームを作る必要に迫られました。 安定した店舗運営の兆しが見えてくると、不思議と新し

        1号店と2号店の差別化について

          Typicaを経て、次にやりたいこと

          私はTypicaを始める前、コーヒー屋で働いていました。コーヒーにのめり込んだのは大学生の頃、onibusやfuglenのコーヒーに出会ったことがきっかけでした。苦いだけと思っていたコーヒーにフルーティで鮮やかなフレーバーがあることに気づいて、夢中で友達にコーヒーを普及していくうち、アルバイト先の仲間だった川野優馬に誘われ、ライトアップコーヒーを一緒に立ち上げました。 それからの1年は前途多難でした。ビジネスのビの字も知らない学生上がりが、毎月の支払いに追われる日々。正直余

          Typicaを経て、次にやりたいこと

          初バズ

          「桃とスパイスのパフェ」の営業期間は忘れられない1ヶ月になった。 ピークでは100人の列。当日の朝に急遽整理券にしたり、メニューを急遽1つだけにしたり、なるべく穏便に営業できるように、スピーディーに営業形態を変えていった。急なバズだったので、クレームも怖かったし、待たせてしまう緊張感に押しつぶされそうだった。 ただピンチはチャンスでもある。贅肉のない、削ぎ落とされたアイデアは追い詰められたときにこそ生まれる。営業のやり方も、ガタガタではあったけど、少なくとも誠実に立ち回る

          初めて人を雇うことになった

          2023年の目標のひとつだったので、実行することができて、素直に嬉しい。僕の小学生の頃の通知表は、ずっと協調性△だった。中学ではしっかりと自我を拗らせて、1人ポエムを書いていたし、高校でも孤高がイケてるという価値観は変わらなかった。 初めてチームを意識したのは、学祭で友達とカフェをやったとき。気心しれている仲間と協力して、共通の目標に向かうことは、1人で行うそれに比べて、圧倒的な満足感を生むんだと実感した。 その後も漫研の部長をやったり、ライトアップで後輩を育てたり、仲間

          初めて人を雇うことになった

          SCAJ2022の感想

          先日SCAJがあった。アジア最大限級のコーヒーイベントだ。なんだかんだで2012年から毎年行っている。コーヒーのトレンドや、今後の動向を肌感で確認できる貴重な機会だ。 今年は非常に来客数が多く、以前のBtoBの様相から、コーヒーフェスのようなお祭りになっているなと感じた。商談し辛いなーと思う反面、こんなにも沢山の人がコーヒーを愛していることに素直に感動した。 ブースを回った雑感としては、スペシャルティコーヒーは二極化していると感じた。希少性とユニークなフレーバーを武器にハ

          SCAJ2022の感想

          2年

          お店を始めて2年経った。早い。 毎日は確かに似ている。自転車でお店に行って、カウンターに立って、ご飯を食べて、仕込みやって、帰る。イレギュラーはあれど、まぁこんなもんだ。ただ日々ちょっとずつ違う。来る人が違えば、する話も違うし、淹れるコーヒーも、出すワインも違う。パフェだって月替わりだ。 僕はそれが好きだ。大枠は同じだけど、日々ちょっとずつ違う。そのちょっとの違いが、気付きに繋がり、成長に繋がる。個人事業だと、売り上げというパロメータでも評価できるから楽しい。売り上げが上

          飲食店の未来

          2021年はコロナの影響もあり、全ての飲食店にとって未来を考える1年になっただろう。1年近い休業要請を経て、数多くの店が倒れていく中、生き残ったのは、「多角的経営」と「オリジナリティ」を大切にしているお店だったように思う。 「オリジナリティ」を提供しているお店は「そこにしかない価値」に魅力を感じてくれるファンがいるので「応援消費」によって支えられる。 「多角的な経営」のお店は、例えばコーヒー屋だったら実店舗を減らして、ECに力を入れるなど、需要の変動に合わせて注力する場所

          飲食店の未来

          Typicaを1年やってきて思うこと

          9/20でTypicaを初めて1年が経った。順風満帆とまではいかないが、思った以上にやれている感覚だ。沢山の方に支えていただいており、本当に有難い限りである。 当初思い描いていた「コーヒーが美味しいビストロ」というスタイルではなく「パフェを中心にこだわりの嗜好品を扱う店」に落ち着いた感はある。これ関してはポジティブに受け取っていて、寧ろオリジナリティあるスタイルを確立できたことは素直に嬉しい。 店をやる目的も随分と変化している。「コーヒー文化を変えたい」と息巻いていた頃よ

          Typicaを1年やってきて思うこと

          将来お店をやりたい人へ

          店舗型ビジネスについて 自分でお店をやっているのに言うのも憚れるが「店舗型ビジネス」はオススメしない。 といっても、今更私が言うまでもなく様々なビジネス本に、固定費用のかかるものや、売り上げに上限があるものはやるべきでないと説いているし、飲食は儲からないと多くの人は肌感覚として理解しているだろう。では何故ぼくが店舗をやっているからというと、このやり方が「好きだから」に他ならない。 これは「賃貸vs持ち家」論争に似ているなと思う。お金持ちになりたい場合、負債を買わずに資産を

          将来お店をやりたい人へ

          幸せになるために大切なこと

          「幸せ」になりたい。とみんな言う。けれど貴方にとっての「幸せ」とは何?と聞くと意外と答えられない。最近思うのは定義って大切だなということ。特に人生の目的である「幸福」の定義は十人十色なので、ここを明確にすることが人生のコツなのではないかなと思う。 例えば私の場合、 ①なるべく依存せずに生きていくこと ②何かを作って誰かに喜んでもらうこと(その人にとっての新しい価値を生むこと) ③好きな友達や家族と一緒に過ごす時間が満足にあること ④衣食住において困らないこと ⑤自分がいい

          幸せになるために大切なこと

          親父が鬱になりまして

          私の父は漫画家なのだが、この春から「うつ病になってマンガが描けなくなりました」という連載を始めた。内容はタイトルの通りで、ノンフィクション。 https://comic-action.com/episode/3269632237294896715 私は恥ずかしながら、そこまで父とコミュニケーションを取る方ではないのだが、昨年の9月ごろから異変に気づき始めた。ちょうど、Typicaをオープンした時期であり、仮にもっと早く気づいていたらおそらくLIGT UP COFFEEを辞

          親父が鬱になりまして

          好きなことをして生きていく

          好きなことをして生きていく YouTubeの影響か、ここ最近でこのような言葉を耳にすることが増えた。個人でメディアを持てるようになり、多様化した生き方を送れる時代になったのは確かだと思う。だからといって幸せになれるチャンスが広がったかと問われれば、答えに窮してしまうのが正直なところだ。「個」の力を尊重するあまり競争が激化し、自己責任論が理不尽に蔓延る世の中を見ると恐怖を感じずにはいられない。 一昔前の、いい大学に行って、いい会社に入って、、といったレール主義は結果的に沢山

          好きなことをして生きていく

          2021年の抱負

          2021 あけましておめでとうございます。例年は御嶽山で初日の出を見ながら山コーヒーを淹れるところから1年を始めるのですが、今年は夜間走行がないということもあり実家での年越しとなりました。 コーヒー納めは母の淹れてくれたカルディのコーヒー、酒納めは火弖ルの熱燗。人に作ってもらう液体はどうしてこんなに美味しいのでしょうね。 ご存知の方も多いとは思いますが、2020は共同経営として立ち上げて6年勤めたLIGHT UP COFFEEを退職してTypicaを作った激動の1年でし

          2021年の抱負