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初バズ

「桃とスパイスのパフェ」の営業期間は忘れられない1ヶ月になった。

ピークでは100人の列。当日の朝に急遽整理券にしたり、メニューを急遽1つだけにしたり、なるべく穏便に営業できるように、スピーディーに営業形態を変えていった。急なバズだったので、クレームも怖かったし、待たせてしまう緊張感に押しつぶされそうだった。

ただピンチはチャンスでもある。贅肉のない、削ぎ落とされたアイデアは追い詰められたときにこそ生まれる。営業のやり方も、ガタガタではあったけど、少なくとも誠実に立ち回ることはできた。SNSの発信もお客様への感謝と、罪悪感を、誠実に文章にできたと思う。もともとお店のSNSでは主観をなるべく排除するようにしていたが、とんでもない行列を作ってしまった日に、直感的に正直な気持ちを吐露する必要があると感じた。結果、なんとなく鼻につく無機質な店ではなく、同じ血の流れる情熱のある店なんだと、認知していただいたように思う。バズっている時は店の立ち振る舞いや、発信にいつも以上に注目が集まる。「忙しいから許して」では済まされないのだ。

既存の常連さんにも見限られず、新しい常連さんを獲得することが、バズの先にあるハッピーエンドだ。しかし、体力と精神力が削られてしまうと、そこに辿り着く道は険しくなる。結果、強制的に選択と集中を行う必要があった。まずはパフェ以外のメニューを削り、次に前菜のパフェを削り、最後にカレーを削った。季節のパフェだけにすることで、提供時間を早めることが可能になったので、1時間完全入れ替えの整理券制にすることができた。それでもお客様が入りきれなかったので、急遽席を増設して、営業時間も伸ばした。瞬間で的確な判断を求められる状況は、持ち時間を使い切った将棋のようだった。

6月は余裕があったので、新店舗の構想に時間を使っていたが、今はTypicaをもっと上にステージに押し上げることに興味がある。この気持ちはきっと誰もが持っている「1番になりたい」という根源的な感情なんだろう。最近、接客が素晴らしすぎるニュースタッフが加入してくれたことで、Typicaの成長を確信できた。今が正念場、頑張るぞ。

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