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うつわマガジン2020

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#展覧会

あの日の新宿と展覧会 「世界の友だちへ」

あの日の新宿と展覧会 「世界の友だちへ」

あの日の新宿

新宿高島屋での展覧会でうけたまわったオーダー納品が完了しました。長らくお待たせしました。(正確にいうと1点だけ後発納品があります)

2月、横浜元町での個展は、暗雲が立ち込めはじめた中、無事に終了。
その後、東京に緊急事態宣言が敷かれました。都市移動の制限が解除されるか否かのタイミングでの新宿高島屋での展覧会。正直、制作していても落ち着かず、いっそうのこと延期になればいいのになんて

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うごくカタログと展覧会

うごくカタログと展覧会

食べられないアイスクリームがとけてゆく。
社会の流れに開催を任せ、ただただ静かに、熱く暑く制作をする。とけないアイスクリームなんてないのだから。

8年ぶりに日本で過ごす夏は感慨深く。しっとりした梅雨も、悪知恵はたらくカラスにも、ビルディングにトリミングされた狭い夏空も、完璧なアスファルトがゆだるの道にも尊意が湧きあがる。比較でものを見るメガネはいらない。

完売御礼

写真は、初日開店前の百貨店

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うごけカタログ! 「まいにち土鍋」

うごけカタログ! 「まいにち土鍋」

みちくさ枝折(みちくさしおり)

道に咲く花がないときも、道に生える草を探す。
そんな3ヵ月ちょっとを過ごした。
世界を震撼させるウィルスは、2月の横浜元町での個展にはじまり、5月の蓼科でのグループ展を攻撃し、もうすぐ始まる新宿高島屋での展覧会に、不気味にも道をひらいた。開催するのかされないのか、最後まで標識が見えなかった。

あなたは変わっただろうか

わたしは、正直にいうと、変わらない。
我が

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ほんとうの気持ちと展覧会

ほんとうの気持ちと展覧会

地球の難事には、ザワッという大きな風が吹く。足が地から浮くような風です。ビューという音も聴こえて、耳をふさぐ。その一方でクリアな声が聞こえてきます。嵐の森では鳥が鳴くように。

今回の震撼は、悪いことばかりでなく、35年陶芸道を歩くわたしにグイッと背中を押す追い風が吹きました。

余談ですが、2011年の震災時もそうでした。あのときも、大きな風が吹き、二足のわらじの片方を、バサッと脱ぎ

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はるの いのち(1)

はるの いのち(1)

2000年の7月、台風一過の夏の日、現在の窯がやってきた。

1歳に満たない息子を抱っこしながら、大々的な窯の搬入を眺めていたあの夏。工房コッチョリーノは、実はマンションの地下にある小さな部屋に、こっそりと佇んでおり。1.5トン以上ある窯を隣接地からクレーン車で吊って、さらに庭に鉄パイプの足場を組んで階段からおろす。

90年代のほとんどを、日伊を往復しながら修行生活を送っていた。ようやく東京での

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はるのいのち(2)

はるのいのち(2)

着地と浮遊

タネは、どこかに着地して芽を出さねばと思っているけれど、浮遊して意思を散らし残したいとも思っている。自分でつくった料理も、外食でつくってもらう料理も、テイクアウトも、いただきものも、つかれた人も、かなしい人も、どこかに着地を求めながら、毎日ちがう日なんだから浮遊したいと思っている。

▶︎はるのいのち(1)

地球のかけら

当時よく登っていた山で、足元の土や手元の岩ばかり見なが

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「十日一水」な陶芸道

「十日一水」な陶芸道

常にこわれることにビクビクしながら、20年いや30年、もろく、はかないモノを相手に仕事を進めている。

粘土は、土と水でできていて。
ロクロでひいたうつわの形を乾かすと、粘土のかたまりでなく「砂のうつわ」になる。さらに、コッチョリーノのオリジナル技法はちょっと独特で、そのはかない物体に色をつけて絵柄を彫るという高リスクをあえて施す。あまり話してこなかったけれど、常にこわさないようにビクビクして

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