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たまこんぶのエッセイ

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ワーママの日常で感じた喜怒哀楽をエッセイにした記事をまとめています。たまに思い出話もします。
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#子どもの成長記録

タンポポで4歳児が女の子を泣かせた話

タンポポで4歳児が女の子を泣かせた話

「これね、パパにあげるの」
タンポポを一輪、指先で摘みながら四歳の息子がそう言った。幼稚園の広いグランドで、十一月というのに日差しが強く、とても暖かい昼下がりだった。お迎えに来て、すぐに帰路にはつかず、真っ先にグラウンドでかけっこして、何周も走った先にタンポポを見つけた息子の笑顔は輝いていて、新しい宝物を慈しんでいるようだった。

タンポポを大事に摘みながら、パパにあげるんだと喜びながら自宅へ帰る

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マクドナルドで感じた幸せの形について

マクドナルドで感じた幸せの形について

「すみだ水族館に行きたい」
と3歳8ヶ月になる息子が言ったのは、午前10時が過ぎた頃だった。その日は息子のリクエストで図書館に行って大戸屋でお昼ご飯を食べる予定だったのだが、気が変わったらしい。我が家からすみだ水族館までは車で30分と少し。ソラマチの立体駐車場は10時を過ぎると満車になり、私たちが着くであろう11時近くに駐車するのは難しいと思われた。それでも息子が水族館に行きたいというのだから、ま

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2歳児がおしゃれに目覚めた話

2歳児がおしゃれに目覚めた話

「あか! あか!」

息子に青いパジャマを着せようとした時だった。パジャマを鷲掴みして投げ捨てながら、赤い服が良いと息子が主張したのだ。右手にズボン、左手に上着を掴んで、ワンツーのリズムで思い切り床に投げ捨てる。俺が着たいのはこれじゃないんだと、不機嫌さを分かりやすく表現している。

色の名前を覚えたのは、もう半年くらい前だったのに、突然色にこだわり始めた瞬間である。「パジャマ買ったばかりなんだか

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息子が初めてバスに乗った話

息子が初めてバスに乗った話

我が家の2歳の息子が1日で一番繰り返す言葉は「バス」である。うまく発音できず、時々「バシュ」になるのがまた可愛らしい。車が大好きな息子は次々と車の種類を覚えていき、ブーブから始まり、バス、ピーポ(緊急車両)、アック(トラック)、しーしーしゃ(ゴミ収集車)と車の語彙を増やしている。その中でもとりわけ発言率が高いのがバスだ。

保育園までの送り迎えはマイカーなのだが、車の窓からバスを一生懸命探して、毎

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動物園デビューに失敗した話

動物園デビューに失敗した話

息子が2歳になり、そういえば動物園に一度も連れて行ったことがないことに気がついた。というよりも、動物園だけでなく、水族館とか、遊園地とか、いわゆる大型娯楽施設に連れて行ったことがない。息子が生まれてすぐに新型コロナウイルスの感染拡大の影響がなんとやらで、人が多く集まりそうな所は行かないようにしていたからだ。

2021年も10月に入り、そろそろ動物園にでも連れて行きたいと思った頃合いで、ふとネット

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息子が真夜中に泣き出した理由

息子が真夜中に泣き出した理由

なんの夢を見ていたか覚えていないけれども、確かに私は何かの夢を見ていて、息子の泣き声で目を覚ました。息子は寝ぼけているようで、うなされながら泣いていた。一緒に起きた夫が「どうしたの?」と息子に話しかけたけれども、息子はただ泣き続けた。

私は寝ぼけて泣いているだけだから、放っておけばそのうち泣き止むと思って何もせず、睡眠欲に負けて自分の布団に寝そべりゴロゴロと夢の続きを見ようとした。夫がトイレに行

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猫と赤ちゃんが一緒に暮らすこと

猫と赤ちゃんが一緒に暮らすこと

我が家には7歳の白猫がいる。とにかく大人しく優しい性格をした女のコである。猫なのに一度も「シャー!」と全身の毛を立たせて威嚇をしたこともなければ、爪を立てて人間を引っ掻いたこともない。1階のアパートに住んでいた時、野良猫が庭にやってきて窓越しに挑発された時だって、うちの猫は「にゃあ!にゃあ!」となんとも情けない声で屁っ放り腰で対抗していた。どちらかと言うと人間の我々に助けを求めていた声だったかもし

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抱っこが教えてくれる、愛された記憶

抱っこが教えてくれる、愛された記憶

息子が言葉を覚え始めて、抱っこの事を「あっこ」と言うようになったのは一歳六ヶ月くらいの事だった。一歳十ヶ月になる今でも、一日で一番話している言葉は「あっこ」で、毎日何度も何度も「あっこあっこ」と言って抱っこをせがんでいる。初めは「だっこだよ」と訂正していたけれども、舌ったらずに「あっこ」と言うのが可愛らしくて、ずっと「あっこ」でも良いかなと思う事もある。

私の母に、息子が「あっこ」っと言っては抱

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魔法の言葉「あっち」を覚えた息子の話

魔法の言葉「あっち」を覚えた息子の話

息子が一歳十ヶ月になった。子供を産む前は、ひと月ごとに子供の成長の節目を感じるとは思わなかった。ひと月の節目を迎えると、深呼吸を一つして天井を仰ぎ、今月も良く頑張ったと自分を褒めてあげたい気持ちになる。そして子供の成長の早さに毎月驚いている。

一歳九ヶ月と一歳十ヶ月の何が違うのか。コミュニケーションの引き出しが明らかに増えてきた。言葉の数が飛躍的に増えたわけではない。抱っこの事は相変わらず舌った

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息子がタマタマを手術した話

息子がタマタマを手術した話

息子が生まれて10ヶ月くらいが経った頃。区の定期検診で「タマタマがちゃんと袋に入ってないですね」と指摘された。その時は、成長と共にちゃんと発達して正常になる事があるので、このまま見守りましょうという事になった。

遊走精巣、停留精巣というらしい。タマタマが正しい位置に固定されず、お腹の上の方に遊びに行っちゃう異常だ。そんな事があるのだと驚いた。一歳半健診でも異常が続けば手術と言われて、ゾクっと体が

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