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動物園デビューに失敗した話

息子が2歳になり、そういえば動物園に一度も連れて行ったことがないことに気がついた。というよりも、動物園だけでなく、水族館とか、遊園地とか、いわゆる大型娯楽施設に連れて行ったことがない。息子が生まれてすぐに新型コロナウイルスの感染拡大の影響がなんとやらで、人が多く集まりそうな所は行かないようにしていたからだ。

2021年も10月に入り、そろそろ動物園にでも連れて行きたいと思った頃合いで、ふとネットを見ていると、上野動物公園の予約入場が大変だという話を見つけた。上野動物公園までは車で40分程度。家から一番近い動物園である。土日に息子と何をして過ごすかは毎週の課題で、動物園というイベントを企画しても良いのではと思った。初めての動物園はきっと息子が喜ぶに違いないと、母ちゃんは予約が大変だろうとチャレンジすることにしたのだ。

まず上野動物公園とグーグルに打ち込むと、整理券予約サービスのページまでたどり着く。整理券は先着順で、「毎週土曜日の午前9時に、翌週の土曜日から翌々週の金曜日までの整理券申込受付を開始します」と書いてある。

つまり、来週の土日に動物園に行きたい場合は、今週の土曜日の午前9時ぴったりにサイトにアクセスして整理券を取らなければならない。

動物園に行くなら、午前11時くらいに行って1時間ほど動物を見て、現地でお昼ご飯を食べてからもう1時間くら見て、お昼寝のタイミングで帰るのがベストだ。とある土曜日の午前9時ぴったりに整理券予約ページアクセスした私は、11時で予約を選択した。しかし初めてアクセスするページなので、整理券だけ予約する、または決済も一緒に済ませるの選択肢で少し迷ってしまう。この僅かなタイムラグが整理券争奪戦に負ける原因となった。

子供は整理券だけで良くて、大人は決済も済ませると判断するのに少し時間をかけてしまい、やっとのことで次に進むボタンを押したら15分待ちとなってしまった。15分待って画面が変わった時には、すでに完売という状態になったのである。なるほど、11時入園は人気だったということだ。

諦めようかと思ったところ、15時入園はまだ完売しておらず、ダメもとでアクセスしたら整理券を予約することができた。また、15時というタイミングは、家でお昼ご飯を食べてお昼寝から起きたタイミングになるので悪くないと思ったのだ。17時閉園だから2時間もあれば十分だと思いつつ、人気がない理由がありそうな気もして嫌な予感がよぎっていた。

当日、15時に上野動物公園に行ったら入り口から割と長蛇の列ができていて驚いた。整理券なしでは入れないのに、入園するところから並ぶので時間がかかる。15時に到着しても実際に入園できたのは15時10分ごろだ。

入園するとほぼ強制的にパンダを見せられる。初めの一回は最前列で見られるというので大人しく並び、奥でお腹を出して寝転んでいるパンダを一眼見てさっさと追い出される。息子は何がなんだか分からない様子だった。

まずは象を見ようと象のところに行くけれども、象がいない。猿山に連れて行ってみたら、息子が猿にビビって泣きそうになってしまった。とりあえず近くのシロクマを見に行こうと息子を抱っこして連れて行ったが、シロクマにビビって、ついには泣いてしまった。シロクマはプロの動物っぽく、より沢山のお客さんが見やすい位置で「はいはい、シロクマですよ。ここにシロクマがいますよ〜」と言っているように、同じ場所をぐるぐると周り歩き回っていた。サービス精神が旺盛である。

喜んでくれると思ったのに、これではただ息子をビビらせて終わってしまう。肉食系の動物は怖いのかと思い、草食系の動物が沢山いる西園へ行くが、ペンギンにさえビビり散らかし泣く有様である。フラミンゴは大丈夫だったようで、それでも震えながら私と夫に抱かれながら静かに見守っていた。

一番気楽に見られたのはカンガルーで、「カンガルーだよ、ピョンピョン跳ねてるねえ」と私が言うと、息子は「ぴょんぴょーん」と答えて楽しそうだった。ハシビロコウは遠すぎて息子は認識できず、キリンを見ようとすると外には出ていなくて、建物内のガラス越しでしか会えない時間であった。

サイ、キリン、オカピをガラス越しに見せるも、デカさに驚いたのか恐れをなして泣き始めてしまい、あまり楽しい思いをさせてあげられずに申し訳ない気持ちになった。

爬虫類館も15時までで入館できず、他の動物も16時を過ぎると見られない仕様になっていて、どうして15時入園が不人気なのかを体感した。子ども動物園ステップもたどり着いた時にサービスが終了し、事前調べの甘さに反省した。上野動物園公園は13時くらいまでに入園できないと楽しめないのだろう。

このまま怖い思いをしただけで帰るのは可哀想なので、屋台のトラックで売っていたイタリアンジェラートを買って息子に与えた。バニラのジェラートを見るなり、息子はスプーンを握って積極的にジェラートの山を切り崩し口に運んでいく。怯え顔だった息子も笑顔になって「おいしー」と言うのが可愛くて、せめて美味しい記憶だけでもプレゼントできたらと思った。

動物園は子連れが多く、みんな子供を喜ばせようと体力を使ってやってきているのだろうなと思うと、すれ違う親御さん全員に「お疲れ様」と言いたい気分になった。とにかく疲れた。喜ぶと思ったのに全然喜ばなかった肩透かし感と、15時入園で見られる動物が少なかった事でとんでもなく疲れてしまったのだ。

こう言うこともあるなあと思いつつ、次来ることがあるとしたら、息子自ら動物園に行きたいとお願いされたらだろうなと思った。

こうして我が家の息子の動物園でビューは、少し遠出のお散歩という形で、親としてちょっとほろ苦い思い出として残ったのであった。



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