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【2022年1月~6月】読書会セルフレビュー

【序文】

2022年1月から6月にかけて私は「信州読書会」様に参加させて頂いた。

本読書会は、読書会参加者同士が課題図書について対面で議論する形式ではなく、参加者が書いた「読書感想文」を主宰者が紹介してその所見を伺うといった形式をとる。そのため、参加者は事前に感想文を準備しておく必要があり、僭越せんえつながら私も感想文を書いて提出した。また、私は昨年、自身の読書感想文および課題図書をあらためて振り返り、再点検を行った。その模様は【このレビュー記事の通り】であり、我ながら有意義な試みであったと得心していた。

ところが先月、上記レビュー記事に関してある方から次のお便りを頂いた。

玉井さん

はじめまして。私はクリバヤシと申します。
この度、あなたが投稿した『2021年読書会セルフレビュー』という記事を拝読させて頂きました。

読後、私が気付いたことをお伝えしておきます。
正直に申し上げて、あなたが行ったレビューはレビューとしては全く不親切極まりなく独断と偏見の所業でしかなく、それは作品ひいては著者に対する無礼を働いたことと同義です。私はあなたの記事に甚だ不快感を覚えました。この無礼者めが。

なぜなら、本記事の「評価・採点について」においてあなたがうたった採点方式は、客観性が著しく欠けており、やれ10点満点で定量的に採点を行うだの、やれ完成度の高さだの、やれ可能な限り客観的視点だの、定量的とはいいつつも「何をもってその判断をしたのか」という採点根拠・要素が具体的に述べられていないからです。完成度とは?可能な限りって?そして極めつけは「この小説は記憶にないから1点」という始末。それって作品を覚えてないあなた自身の問題ですよ。覚えてないから1点はあまりに乱暴過ぎます。

したがって、あなたのレビューは "その時の一時的なノリ" で採点したにすぎず、例えば「あーこの小説は5点っぽいから5点でいいや」「なんかいい感じだからこの小説は9点ね」「覚えてないから1点でヨシ!」といった様に、定量的採点を "定性的" に行ったのでしょうね。読み進める内にそれが伝わってきました。お分かりいただけましたか。レビューが全く機能していないことが。『レ・ミゼラブル』が1点?『ゴドーを待ちながら』も1点?あの森鴎外先生ですら1点?は?マジで言ってる?え待って、マジで言ってる?
とにかく腑に落ちません。

ほんとテキトーですよね。ちゃんとしてもらっていいですか。
ちゃんとできる?できない?どっち?二つに一つ、好きな方を選びな。選べる?選べない?どっち?二つに一つ、好きな方を選びな。まあ実生活でもテキトーに生きてるんだろうね。いいのそれで?本当にいいのかなーあたしだったら絶対にイヤなんだけど。ああ怖い怖い。くわばらくわばら(笑)。

今後、あなたの記事を読むことはないでしょう。
それでは失礼します。

クリバヤシより

上記の通り、クリバヤシ様(※仮名)より頂いたご指摘事項の要点は、

  1. 採点の判断根拠および判定要素が不明瞭。

  2. その場のノリでテキトーに採点している。

  3. レミゼが1点なのはおかしい。

以上の3点かと思われる。つまり、採点方式・取組み姿勢に問題があるのだという。クリバヤシさんの意見は確かに一理ある。レビュー時の客観性を重視したとはうたっておきながらも私は感覚に頼って採点していた為、おっしゃる通り「定量的」とは言い難く、採点の要素が考慮できていない。これではレビュー結果に対し、クリバヤシも含めた第三者が納得するはずもなく、納得しているのは「この世に私一人だけ」という事態におちいってしまっている。これに関しては非常に済まない事をしたと猛省している。この場を借りて謹んでお詫び申し上げる。

以上の経緯により、今回はレビュー時の採点方式を大幅に改善(※後述)した上で、「2022年1月~6月期間の読書会で扱われた課題図書」を対象とした課題図書・読書感想文のレビューを行うことにする。そしてその結果を踏まえ、7月以降の読書会における作品理解のさらなる向上に繋げることが本稿の目的である。これを言い換えると、つまり「おいクソバヤシ。誰なんだお前は。貴様には悪いがレミゼの採点結果1点はどんなことがあろうと揺るがない。この青二才め。手続きは済ませておいた。法廷で会おう。あと、お便り397。」である。

【採点方式について(大幅改善)】

今回の採点方式は、クリバヤシ様の意向に従い、前回の採点方式の問題点である「採点の根拠が弱く客観性も無い」を解消すべく、以下の通り大幅な改善をほどこした。

▼評価対象:
 
以下2点を対象としたレビューを行う。
  ・2022年1月~6月期間において読書会で扱われた課題図書
  ・私が書いた読書感想文

▼採点方式(課題図書):
判定要素を5項目設定し、それぞれの項目に対し10段階の評点を付け、その合計得点を採点結果とする(5項目×10点=50点満点)。

【判定要素】
 ・可読性/判読性・・・読みやすさ。分かりやすさ。
 ・描写力/構成力・・・風景、人物、心理等々の描写。話の全体構成。
 ・文学性/芸術性・・・人間とは何かの追求。あるいは、虚実混交の表現。
 ・創造性/革新性・・・新たな価値の創出。オリジナリティー。
 ・  特別点   ・・・上記4項目に加え、何かしらの得点調整を行う。

【評価方法】
「減点方式」を用いて評価を行う。
 ※各判定要素を評価する際、10点満点から悪かった箇所を減点していく。

▼採点方式(読書感想文):
判定要素を5項目設定し、それぞれの項目に対し10段階の評点を付け、その合計得点を採点結果とする(5項目×10点=50点満点)。

【判定要素】
 ・可読性/判読性・・・読みやすさ。分かりやすさ。
 ・論理性/妥当性・・・論じた意見および主張の整合が取れているか。
 ・創造性/革新性・・・新たな価値の創出。オリジナリティー。
 ・ギャグセンス ・・・笑えるかどうか。
 ・  特別点  ・・・上記4項目に加え、何かしらの得点調整を行う。

【評価方法】
「減点方式」を用いて評価を行う。
 ※各判定要素を評価する際、10点満点から悪かった箇所を減点していく。

▼レビューの進め方・注意事項:
◎ 課題図書
 読書会が終了した現時点であらためて作品を振り返り、採点方式(課題図書)に沿って評価を行う。

◎ 感想文
 私が書いた感想文について、他の読書会参加者の感想文を考慮に入れた上で、採点方式(読書感想文)に沿って評価を行う。

取組み姿勢
 採点方式で述べた判定要素だけを判断根拠として用いる。例えば、以下の様な私事わたくしごとを根拠とした評価は行わない。
  ・読んだけど記憶に残ってないから0点。
  ・作者の顔面が嫌いだから0点 or 好きだから10点。
  ・書籍の値段が高いから0点。

以上を踏まえたレビュー結果は以下の通り。

※下記に嘘偽りは一切ない。誓って、すべてが本音である。

【カラマーゾフの兄弟(上巻)】

群馬県伊香保温泉の付近で撮影。伊香保の近くに『頭文字D』のモデルとなった峠があるためこの辺も聖地になっているそうな。

開催日:2022年1月7日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★★(10点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・  特別点   :プラス5点  
 【合計得点】      :39点
 【補足説明】      :このサムネイル画像↑の通り、私は去年の年末、伊香保温泉に行った。だがこれは不本意な旅行であった。というのも、本当は木曽福島を訪れる予定だったから。用意周到な私は木曽福島の宿をなんと宿泊2ヶ月前に旅館を予約し、新幹線のチケットまで事前購入を済ませ準備万端であった。にも関わらず、出発二週間前になって宿側から連絡があり、身内に不幸があって泊めることができなくなったからキャンセルしてくれとの事だった。キャンセル事由に関しては腑に落ちなかった。だってそうでしょう、私がその旅館に泊まるのは二週間後なんだから身内の不幸なんて二週間も期間があればすっかり落ち着いてるに決まっている。ってことはアンタはなにか?あれか?葬式を二週間後にやろうとしてるのか?あるいはミイラでも製造しようとしてるのか?あるいは10年かけて墳墓orピラミッドでも建設するつもりなのか?とか色々考えたけど、指摘するのもアレかなあと思ってキャンセルの件は了承した。なぜなら私の性格上、人のお願いを断れない性格だから。人からお願いされて無下に断るなんてなァ、無粋の極みだから。男がすたるから。俺は、この俺こそが、義理人情に厚い義侠心のかたまり、令和の快男児・玉屋玉吉だから。こうした事情もあって私はキャンセルの件を泣く泣く承知したのである。で、その後よく考えてみたら新幹線のチケットキャンセル料が発生することに気づいた。これはマズイと思った私は慌てて木曽福島の他の宿を探したが全て予約で埋まっていた。だから私はキャンセル料を払いました。そう、払ったのです。非常にむかついたがここは気持ちを切り替え、方々ほうぼうの旅館の空き部屋を探し回った挙句、幸運なことに私はたまたま一部屋だけ空いてた伊香保温泉の旅館を予約しました。そんなときに撮影したのがこの↑サムネイル画像です。ご覧なさい、写真から伝わってくるでしょう。私のイライラが。まあそれはいいとして、『カラマーゾフの兄弟』上巻の前半100ページに渡る家族関係の説明がとにかくくどすぎてダルい。序盤ダルいのはドストエフスキーあるあるです。ただ、豪快な親父&破天荒な長男の登場以降は個性マル出しで面白い。後半の大審問官のくだりは、無神論、有神論、不信心の誰が読んでも読みごたえあり。ドストエフスキー恒例の得意技「多くの人物が一斉にしゃべりまくる場面」は不自然なところもそれほど無いのが流石である(特別点+5)。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★★★(10点)
 ・  特別点   :プラス8点
   【合計得点】    :41
   【補足説明】    :この文章は、あらすじをセンバツ高校野球になぞらえて書いただけであり上巻における具体的なストーリーに関する言及がほぼないのが残念である。あと、この感想文は上巻だけでなく下巻まですべて読んでないと伝わりにくいため、やはり上巻だけにスポットを当てて感想を書くべきでありこれでは見当違いの打線ギャグ紹介文ではないか。にしても、レフト=左翼ってウマイこと書いてある(特別点+5)。「打線感想文」という新機軸を発明した功労賞として、さらに特別点+3。

【冬の蠅】

『よろしくメカドック』とかいうアニメを見ながら読書感想文を書いていた。主人公の男↑の名前も含め、どんな内容だったか忘れてしまった。

開催日:2022年1月14日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス4点  
 【合計得点】      :30
 【補足説明】      :あなた方は著者・梶井基次郎氏の顔を見たことはあるだろうか。見たことがない方のために申し上げておくと、彼の顔は非常に彫りの深いシャープな顔立ちで、また威圧感に満ちておりそれはまるで舞台俳優かのような存在感もあり印象的な面構えである。これをごく簡単に言うと「ゴリラ」であり、とても『冬の蠅』のようなナイーブな小説を書いたとは思えない顔の造形をしているのである。この小説、本当にあの彼が書いたのだろうか。いやまあ書いたんだろうけど、蠅なんかを題材にしてよくぞここまで発想を展開させたもんだなーと感心した。作中後半から繰り広げられる認識外に関する示唆にスケールを感じる(特別点+4)。しかしこの小説、あまりに陰気過ぎやしないか。まあ作者自身の心境とダブりまくった私小説だと思うので仕方ない気もするがそれにしても暗い。アタイ、暗い話ダメなんです。かといって明るい話もダメなんですが、まあバランスが悪いのがダメってことです。これに関しては後述の『ある崖上の感情』で他者の作品と合わせてもう少し説明します。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・ ギャグセンス :★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・  特別点   :プラス6点
   【合計得点】    :25
   【補足説明】    :雑考④の後半で「この共通点が彼に安心感を与えた。」とあるが根拠が弱く、完全に説明不足。この頃から候文そうろうぶんを用いたギャグを試みている様子。ギャグ開発功労賞として特別点+3。あと、この↑サムネ画像の出来が良い(特別点+3)。

【イワンのばか】

ラーメンをモチーフに感想文を書いたのでラムちゃんがラーメン食ってる図

開催日:2022年1月21日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・文学性/芸術性:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・創造性/革新性:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 ・  特別点   :プラス3点  
 【合計得点】      :23
 【補足説明】      :当たり前のことが書かれている。この作品は現在でもミュージカル等で世界中に広く知られており根強いファンが多い(特別点+3)。くそどーでもいいことかもしれないけど、本書『イワンのばか』というタイトルに違和感がある。これは私だけかもしれないが、『イワンのばか』という表記だと「バーカバーカ!イワンのバーカ!」という、つまり他者によるイワンに向けた発言に捉えられるからである。いやまあ作中のイワンもそういう扱いを受けてたんだけど、なんていうかこれ、翻訳は適切なんだろうか?ロシア語を全く知らない私が言うのもなんですが。誰かをバカにしたセリフを小説のタイトルに採用するかねしかし。正しい翻訳として考えらるのは『イワンはばかです。』とか『イワンはばか』とか『イワンというばか男』とか『ばかなイワン』とか『イワンはばかだった』『ばか男イワン』『愚か者・イワン』『愚・イワン』って感じでイワンを称するタイトル名が自然じゃないだろうか、いやわからないどうなんだろう。この翻訳者は『イワンのばか』の人称代名詞【イワンの】をどう解釈してるのか。主格という解釈なら前述の例で挙げた通り『イワンはばかです。』になるが、もしや所有格なのではないでしょうか。その場合、タイトルは『イワンのばか(=イワン's ばか)』になり、つまりイワンが所有している「ばか」となる。たしかにイワンは馬鹿なので彼が馬鹿を持っている(=所有)のは当然といえば当然である。あ、だから『イワンのばか』ってことなのか。なるほど。了解。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 ・創造性/革新性:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・ ギャグセンス :☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(0点)
 ・  特別点   :マイナス5点
   【合計得点】    :7
   【補足説明】    :この感想文はズバリ「はしゃぎすぎ」である。終始スベリ倒している。こいつのラーメン例え話についていけない。冒頭の鈴木雅之『違う、そうじゃない』しか頭に入ってこない。この記事ごと削除してしまいたい。やっちまってるわ。これがいわゆる鬼スベリってやつか(特別点-5)。おお怖。くわばらくわばら。

【鴎】

↑渡辺真知子(の若い頃)。カモメーがとんーだーカモメーがとんーだー。

開催日:2022年1月28日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・  特別点   :プラス4点  
 【合計得点】      :33
 【補足説明】      :そういえばあたし、5年ほど前にJR三鷹駅の近くにある「太宰治文学サロン」に行ったことがあるんだった。←このリンクが館内の様子なんだけど、実際行ってみたら非常に狭い空間に太宰の書簡と小説が展示されていた。で、15分ほどで退出した記憶がある。なんであんな狭いんだろう。太宰に疎い&せっかちな私はそんな印象しか持たなかったが、太宰治ガチ恋勢の方は一度足を運ぶべきである。で、本書『鴎』も当時の三鷹の様子が描かれている。この本読みやすい。この人文章上手い。太宰のお家芸「ウダウダ自分語り」もなぜかスラスラ読める(特別点+4)。あと、恥ずかしながら私ったら、太宰が東大仏文科出身なのを上記の文学サロンで知った。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :なし
   【合計得点】    :27
   【補足説明】    :この感想文は、アタイのお家芸「小説のあらすじを歌謡曲の歌詞にこじつける」である。代表作は『罪と罰(上巻)』と『罪と罰(下巻)』。ただ、今回の感想文は『罪と罰』の感想文ほどの破壊力が無い。感想文ではなく単なるあらすじ紹介文なので多用は禁物。

【カラマーゾフの兄弟(中巻)】

↑クレイジーケンバンドの人。この男になら抱かれてもいい。

開催日:2022年2月4日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★★(10点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス7点  
 【合計得点】      :42
 【補足説明】      :5年程前に私はカラマーゾフの兄弟の人物相関図を描いた。なんで描いたのかというと、とある事情により私は8時間ほど飛行機に乗るハメになってしまいフライト中とにかくヒマだったから。飛行機の中で映画とか見ればいいんだろうけど、映画の上映時間が2時間越えの作品ばっかりだから集中力の無いアタイは見る気がしない。じゃあどうするかと思案していたところ、フライト前日に読み終わった『カラマーゾフの兄弟』のことを思い出した。そういやあの小説、登場人物が大量だったなあ。名前もややこしいし覚えづらかった。同じような感想を持った者もさぞ多いことだろう。なんとかしてあげたい。なんとかしてやらねば。アタイがやらねば誰がやる。そう思い立った私は、ノートを取り出してフライト中ずーっとこの相関図を描いていた。私の座席前を通り過ぎる客室乗務員はそんな私のお絵かき作業を見て、「うわ。なんでコイツは上空10000メートルでイラストなんて描いてんだよ。気圧のせいで頭がイカレたのかしら。にしてもこの男、イタ過ぎるわ。こんな馬鹿に機内食を与えてやらないといけないのが口惜しい。そうだ!アイツへの機内食のオカズは1品減らしておこう。」の表情で私を見ていた。結局、相関図をすべて描き終わるのに4時間ほどかかったように思う。まあそんな黒い思い出を振り返りながらこの本書『カラマーゾフの兄弟(中巻)』についてである。本書は、上巻の大審問のくだりから下巻の裁判のくだりまでノンストップで面白い。アリョーシャとゾシマを除く人物がそろいも揃ってイカレている。感想文でも触れたけど、中巻のハイライトは「ホフラコワ夫人のクソ理論」だと思う(特別点+7)。誰かが中巻のあらすじを振り返ったとき、ホフラコワ夫人vs長男ミーチャのケンカのくだりは絶対に脳裡に浮かばないだろうなあ。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★★☆(9点)
 ・  特別点   :プラス6点
   【合計得点】    :38
   【補足説明】    :前述した「ホフラコワ夫人と長男ミーチャのケンカ」の場面を漫才台本風に書くという新しい試み。感想文の新フォーマットを開発した功労賞をあげる(特別点+6)。日常的に使う機会の少ない「金鉱」という単語だけど、私はこの感想文に一生分の「金鉱」という文字列を書いたような気がする。

【痴情】

『ストップひばりくん』のひばりくん↑の性別は男性だが俺は大いにアリだと思う。

開催日:2022年2月11日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 ・描写力/構成力:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス8点
 【合計得点】      :29
 【補足説明】      :不可解な表記が多く読みづらいがそれが志賀直哉の良さだと思う(特別点+8)。なお、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、ブラックコーヒーを美味いと感じることと同じである。また、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、鮒寿司を美味いと感じることと同じである。また、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、ドクダミ茶を美味いと感じることと同じである。また、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、ハイヒールモモコにムラムラすることと同じである。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・ ギャグセンス :★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 ・  特別点   :プラス2点
   【合計得点】    :22
   【補足説明】    :志賀のイミフな表記についてその意図を解説した。なので、私は全国2000万人の志賀直哉ファンに殺されるかもしれない(特別点-3)。だが、その勇気を称えます(特別点+5)。ところで、他の読書会参加者の方が書いた感想文をじっくり拝見してみたところ、志賀直哉のことを「志賀直哉」と敬称を略して呼び捨てにするんじゃなくて「志賀先生」と呼称していることに気づいた。ってことは、志賀直哉に敬意を表して「先生」呼びにしてるってことなんだろうか。ってことは、志賀直哉って今も人気あるってことなんだろうか。

【キリマンジャロの雪】

渋谷の道玄坂にあるNHKホールにはチコちゃんグッズが大量に売ってます。私の好きな「おじゃる丸」のグッズ、前は売ってたのですが今はもうありません。

開催日:2022年2月18日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★★(10点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス10点  
 【合計得点】      :47
 【補足説明】      :あんたこれ傑作やないか。この作品には不気味な雰囲気が常に漂っている。感動のラストシーンになるかと見せかけてやはり不気味に終始しているのが非常に良い。露骨に不気味なのではなくうっすらと不気味で、その塩梅が絶妙である(特別点+10)。この小説って、回想シーンの文字のフォントが斜体になるんだけど、そんなことしなくてもいい。いちいち斜体にしなくても回想してることぐらい分かるわ!!と言いたい。あたし、文字のフォント変えたり、傍点ふったりされるのすんごいイヤなんですよ。なんか馬鹿扱いされてる気がする。特に傍点なんかは作者→読者へのコケオドシとしか思えない。あれは良くないなー。ライトノベルなんかを読んでみると、文字フォントを頻繁に変えるのは当たり前で、文字のサイズもデカくなったり小さくなったりなんかもうやりたい放題な状況だった。まあそれが「ラノベらしさ」ならそれでも良いような気がしないでもない。ただ、そういうラノベのフォント変更って、書いててダルいなーメンドクセーなーと思ってる作者もいるかもしれない。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・  特別点   :なし
   【合計得点】    :21
   【補足説明】    :タイトルを「チコちゃんに叱られない方法」にしたんならちゃんとそれを明記せんかい。あと、「玉井チコ(82歳)」もパンチが弱い。

【蔦の門】

↑岡本かの子三変化の図。
岡本かの子の顔面を初めて見たとき、思わずぼくは
「カワイ子ちゃんはっけーん❤」と舞い上がりましたね。

開催日:2022年2月25日(金)
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課題図書(※新潮文庫版※)の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・  特別点   :プラス9点  
 【合計得点】      :39
 【補足説明】      :常人離れしたフレーズが多く、かの子氏の文才が爆裂してる(特別点+9)。で、それは読書感想文にも書いといた。この人の全集なら買ってもよさそうだな。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・ ギャグセンス :★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 ・  特別点   :なし
   【合計得点】    :16
   【補足説明】    :この『蔦の門』って、「全集」「青空文庫版」「新潮文庫版」でそれぞれラストが違うという話を読書会主宰者の方から教わった(コチラをクリック)。

その3パターンのラストは以下↓

◎各相違点
 【全集
    志那事変が始まる。日本の戦勝が報じられる。戦地に赴くひろ子。たいしたもんだと感心する「まき」。
    語り手「私」の家の門に日章旗&赤十字を掲げる「まき」。ひろ子への心づくしだという。ある日、ひろ子の家に日章旗&赤十字が掲げられていた。それを見た「まき」は涙を流して喜ぶ。
 【青空文庫 (底本[日本幻想文学集成10])
   上記②の描写はカットされている。①のみ表記されている。
 【新潮文庫
   上記①②の描写は全てカットされている。つまり、戦争の表記無し。

私としては、新潮文庫版で読むことをオススメする。
戦争のくだりは全カットでいい。
①②の描写が存在することのデメリットは以下。

戦争表記におけるデメリット
 ・全編を通して、ひろ子とまきの狭い「」の空間が展開されてるのに、ラストに戦争という「公」を持ち出されると違和感がある。
 ・まきは「ひろ子個人」が好きなのか、「国家を勝利に導くひろ子という勇敢な国民性」が好きなのか、分かりづらくなる。つまり、まきの好意の所在がボヤけるのが問題。
 ・上記2点の結果、「この小説ってなんかウラがあるんじゃねーか?」と読者の脳中で勘繰りが生じてしまう。

以上のことから言えるのは、戦争表記のおかげで作為性が出てしまい物語として純粋に味わうことができない、といった弊害がある。岡本かの子の意図は本人のみぞ知るところかもしれないが、私は新潮文庫版で読むことをオススメする。無論、かの子ガチ恋勢の方は全集で読むべし。

【カラマーゾフの兄弟(下巻)】

車イスに乗ったリーズが秋名山のダウンヒルで華麗なドリフトをキメる、の図。

開催日:2022年3月4日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★★(10点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・  特別点   :プラス9点  
 【合計得点】      :46
 【補足説明】      :ロシア在住の日本人の方から聞いた話によると、ドストエフスキーってロシアでは大して人気がないらしい。ロシア人からしてもドストエフスキーの小説って読みづらいそうで、一方、圧倒的に人気なのがトルストイとの事。裁判シーンのイッポリート&フェチュコーウィチが繰り広げる長口舌に特別点プラス9点。これは書こうと思って書ける小説じゃないと思う。生活のためにド根性で書いたのか、借金取りに強制的に書かされたのか、それともドストエフスキーの内に「絶対に主張しないと死んでも死にきれない事柄」があってその推進力で書いたんだろうか。この品質を最後までキープできるのが凄い。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス10点
   【合計得点】    :42
   【補足説明】    :リーザ(リーズ)の言動から本書のテーマを導き出した。ここまでやったのは地球上で私しかいない(特別点+10)。あと、この↑サムネイル画像は『頭文字D』っぽい感じで、リーザを書くという謎の試み。イラストはいつも筆ペンで描いている。で、これを描き終わったあとに筆ペンのインクが切れたので、それ以降はイラストは描かなくなってしまった。新しい筆ペン買えやって話なんだけど、コンビニに行ってもなんか買い忘れてしまう。私、買い忘れることってホントよくある。他の品物に目移りしてすぐ忘れる。その一方で買い忘れの逆、つまり買い過ぎることもよくあって、家にまだストックがあるのにまたしても追加で同じ商品を買ってしまう。例えば「あ、そういやキッチンワイドハイターって家にもう無かったよな、買っとくかあー」って感じで買って帰ると、家には既に2本もキッチンワイドハイターがあったりする。昔買ったのをすっかり忘れていた。買った記憶がまあない。ホントに私が買ったんだろうか。おかしい。これはきっと、野生のキッチンワイドハイターが家に迷い込んで勝手に繁殖したんだろう。そうに決まってる。というわけで、この合計3本のキッチンワイドハイターは今後も4本5本と増殖していくと思われる。うれしい。

【秘密】

これ実際にあった事件。単独で便槽内に潜入するのは不可能との事だが、不可能⇒可能にする方法を読書感想文にちゃんと書いといた。

開催日:2022年3月11日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス8点
 【合計得点】      :38
 【補足説明】      :華道といえば小笠原流。茶道といえば裏千家うらせんけ。そしてフェチといえば谷崎潤一郎流。『秘密』って割と初期の作品なんだけどこの時点で谷崎は自分のスタイルを確立してるのが流石なり(特別点+3)。あと既にこの頃から描写力が高い(さらに特別点+5)。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★★★(10点)
 ・  特別点   :プラス8点
   【合計得点】    :43
   【補足説明】    :この感想文、おもしろい。感想文を書くよりもこの事件を調べるのに時間がかかった。結局、この事件って事故扱いで処理されたんだけどまあ疑問は残る。もし他殺だとしてもこんなメンドクサイ方法で殺すだろうか。犯人が被害者を便槽に押し込むのも大変だろうし、便槽に隠したとしても死体なんてすぐ見つかるだろうし。バキュームカーが便槽の死体を吸い上げてそのまま廃棄することを狙ったんだろうか。でもそれってバキューム中にバレるような気がする、死体の重量&幅もあって詰まるだろうし。まあよくわかんないから、私としては名探偵コナンでこの事件を扱ってくれるのを待つばかりである。

【のんきな患者】

色んな吉田の図。学生の頃、PORTERの財布が流行ってたけど興味なかったなあ。

開催日:2022年3月18日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・  特別点   :プラス5点  
 【合計得点】      :23
 【補足説明】      :読解困難な作家である我が鬼門・梶井基次郎。『のんきな患者』ってタイトルとは裏腹に別にのんきなエピソードだとは思わなかった。というかずっと暗い。そのタイトルと内容の対立が狙いってことか(特別点+5)。感想文にも書いたけど「吉田」という文言が多すぎて読みづらく違和感しかない。で、それがなにか特別な効果を生んでるってわけでもなさそうなんだけど、私ときたら、読んでる最中ずーーーーーーーっと「吉田」の多用の意図を考えっぱなしだったからイマイチ集中できなかった。さっき、岡本かの子『蔦の門』のラストシーン3パターンの件でも触れたけど、文章の違和感(←構成上の "伏線" という意味ではない)を覚えるとそれがどうしても作品の欠陥として浮かび上がってくる。で、その欠陥を欠陥として扱わないためには憶測で、というか妄想でむりやり補填するハメになりがちなので、私的にそういうことはやりたくない。この時期の梶井基次郎の文学に詳しい人がいたら吉田多用の件をもっと深堀りしてほしい。賞金あげます。私の頭脳では無理だ。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス7点
   【合計得点】    :31
   【補足説明】    :あっ、候文そうろうぶんが上達してる(特別点+7)。ところで、小学生の頃に国語のテストで「この文章において作者がいちばん言いたかったことを書きなさい。」っていう問題がよくあったんだけど、これはよっぽどヘンな回答を書かない限り、大体は○がもらえた。ただ私はサービス精神旺盛な小学生だったので、ある日のテストで同じ問題が出題されたとき、回答用紙に「みんなこの本を買ってね!」と書いて提出したらやっぱり×だった。担任の先生に×の理由を聞いておけばよかったと後悔している。これは×ではなく○にすべきだろう。というのも、作者もプロの作家なんだからこの本がめちゃくちゃ売れてほしいと思うのは当然な気がするし、そういう意図を「みんなこの本を買ってね!」に込めたんだけどどうも×らしい。×はおかしい。だってそうだろう、ドストエフスキーの『罪と罰』と『賭博者』って借金のカタとして書いたんだから。これはバルザックもそう。一度世に出た本はもう作者の手から離れどうすることもできない。そして作品の価値は世間が決める。ドストエフスキーもバルザックもギャンブルと社交界豪遊のために、つまり「遊ぶカネ欲しさ」に小説を書いた。そして作者の知らないところで高く評価されて売れた。批評家連は「この小説は人間の尊厳をテーマとしながらも帝政ロシアにおける社会構造の欠陥を鋭く批判すると見せかけて近代フランス社交界に問題提起を与えるかと思いきや実はそうではなくインドネシア経済に急成長をプロアクティブに促すインディードな小説というよりも全然逆でこれはもはや文壇における大陸間弾道ミサイルである」と口を揃えて激賞、結果的にこの小説はバカ売れして遊ぶカネをゲットできたのである。作者の意図とは全然違うにもかかわらず。というわけで、私はあの時の担任に、そら見たことか!と言ってやりたいが、屁理屈言うな!と𠮟られるかもしれない。

【ワーニャ伯父さん】

この「チッチッチッチッ」が絶妙にキモイ。何が悲しくてこんなおっさんがいるホテルに行かなければならないのか。いい根性してるわ。でもこの根性は見習いたい。

開催日:2022年3月25日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス7点  
 【合計得点】      :36
 【補足説明】      :ワーニャは自業自得なだけなんじゃないのかと思った。で、それを最後まで押し切ったのが印象的。戯曲『ワーニャ伯父さん』は今現在も世界中で公演され根強い人気である(特別点+7)。2017年の公演では、宮沢りえ(エレーナ役)、黒木華(ソーニャ役)がキャスト出演している。肝心のワーニャおじさん役は「段田安則」という方らしいが私はよく知らない。黒木華の「華」って、「はな」と読むのかと思ってたら「はる」って読むそうな。昔、私の知人に「萩原(ハギワラ)さん」という方が居て、私は間違えて「オギワラさん」と呼んでしまったところ、露骨にイヤな顔をして「ハ・ギ・ワ・ラですけどねッ」と強めに訂正された。どっちでもいい……

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・ ギャグセンス :★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・  特別点   :プラス6点
   【合計得点】    :29
   【補足説明】    :この感想文はなんと15分ぐらいで書いた。史上最速のスピードである(特別点+6)。というのも、私はお酒を飲むとIQが300→5に低下して文章に迷いがなくなり、そのため考察&文章を書くスピードが劇的に上がるのである!やったね!!で、さっきの黒木華の話の続きだけど、黒木華って異性として非常に魅力があると思う。この方、特に美人といったわけではなく、「中の上」って感じの顔立ちなんだけど底の知れない雰囲気が出ていて(←ドラマの役柄という意味ではない)、表情からも彼女の心境を察知することが難しく、そこが妙に他者を、というか私なんかは惹きつけられる。それに加えて、これが一番重要なポイントなんだけど、黒木華が魅力的な理由は「なんかイケそうな気がするから」だと私は思っていて、例えば、5:5の合コンが開催されたとして女性陣が、佐々木希・ハイヒールリンゴ・モモコ・黒木華・磯野貴理子、だったとする。ここで男性からしてみれば、やはり一番人気は顔的に佐々木希一択だろうけど、競争率が激高な上にあまりの顔面偏差値の高さに「どーせオレなんて釣り合わないよな……」と男全員ビビってしまいどうも近寄りがたい。が、一方でどうだろう、黒木華。このメンツにおいて中~上程度の偏差値を誇る二番人気の彼女を前にした男は、「黒木華って丁度良いよなあ。ひるまず話せそうだし」「ミステリアスな雰囲気もあって気になるなあ」「どーせ他の男は佐々木希に人気集中するんだろうなあ」「よーしここはひとつオレが黒木華をコマしてやろう」という料簡が全員の男の脳内に生じるのである。結果、二番手・黒木華が一番モテる。理由は、前述の通り「なんかイケそうな気がする」から。

【母の上京】

ぴょん吉とヒロシ。俺はなんでこんな画像を作ったんだろう。

開催日:2022年4月1日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・  特別点   :プラス6点 
 【合計得点】      :41
 【補足説明】      :この本、バカバカしくておもしろーい、と簡単に切り捨てられない「怖さ」が作品に漂っている(特別点+6)。たしかに、あまりのバカバカしさに文学性を感じることはあるけど(←野坂昭如、名島らもの小説とか)、本書『母の上京』はその効果に加え、思考の度に迫ってくる現実が虚しくそれが怖い。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス9点
   【合計得点】    :40
   【補足説明】    :小説が良かったので真剣に考察した。ガチった僕はエライ(特別点+9)。そしてなんとこの感想文には「▼あらすじ」が書いてある。なんて優しい人なんだろう。あらすじってWikipediaにも書いてあるけど、ハッキリ言って怪しいのもあるので100%信用しているわけではない。真偽は自分の目で確かめるべき。こうした私の取り組み姿勢、なんて真面目な人なんだろう。Wikiなんて誰でも編集できるオープンなサイトなんだから、あらすじも評論も執筆経緯とかもすべてまるっと含めて基本信じないようにしている(典拠がある場合は別として)。ってことは、記載ルールに「記事の編集者および出典を必ず書くべし」があれば記事の品質も上がるってことか。あーでも、そのルールがあるとWiki投稿者が激減してしまうのか。まあWikiがあるおかげで物事に対する興味のキッカケにはなるのでそれはそれで良いかもしれない。

【夜明け前(第一部・上巻)】

この図は「桜田門外の変において井伊直弼が殺された際に彼のたもとに差し込まれた斬奸状ざんかんじょう」です。このギャグは私のお気に入り。いわゆる「お気に」。

開催日:2022年4月8日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★★(10点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス10点  
 【合計得点】      :39
 【補足説明】      :実はアタイ、東海道の宿場大好きっ子ちゃんである。そのため、本書における中山道の宿場事情がすんごい勉強になった&新鮮だった(特別点+10)。江戸時代の中山道に興味が無い人、明治維新に興味がない人は読んでてキツイかもしれないけどまあ私は興味津々で読んだ、特に宿場のくだりを。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス6点
   【合計得点】    :39
   【補足説明】    :感想文冒頭の「▼あらすじ」は、浪曲および浄瑠璃風に書いた(特別点+2)。あと、サムネ画像がアホくさくて良い(さらに特別点+4)。そういえば、この本は明治維新についてある程度知識が無いと話についていけない気がする(読めないことはない)。で、私ときたら明治維新の知識に自信アリだと思ってた。が、点々と知識が抜けてたので実家に戻り、大学受験のときに使った日本史の資料集をひっぱり出して再度復習してから『夜明け前』を読んだ。なんて真面目な人なんだろう。

【姥捨】

この文章↑の中で私が一番好きなのは「いままで397」だな。このフレーズは実生活でも多用。

開催日:2022年4月15日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・  特別点   :プラス8点  
 【合計得点】      :36
 【補足説明】      :感想文にもドカッと引用抜粋した通り、この本は太宰のお家芸「ウダウダ自分語り」が遺憾なく発揮されている(特別点+8)。この本に登場する夫・嘉七もそうだが、太宰治の小説に登場する男には「謎の使命感」を持ってる者が多く、これも太宰治の持ちネタだと思う。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・ ギャグセンス :★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・  特別点   :プラス8点
   【合計得点】    :31
   【補足説明】    :この感想文は、太宰のお家芸「ウダウダ自分語り」を、なんと!この私が!ここここここここの私が!くっそ眠たいにもかかわらず、布団から飛びだし、机に向かって、イスに座って、パソコン開いて、ログインして、デスクトップに、置いてある、秀丸エディターの、アイコンを、ダブルクリックして、起動して、ガッツで、要約したんだからその手間賃として特別点プラス8点。太宰治の文章をマネしたくなる人ってけっこういると思う。それは素人だけじゃなくてプロの作家でも「あーコイツやってんな……」と思う時がしばしばある。太宰治っぽい文章って一見、その場のノリで書けそうな気がする。が、職業作家・太宰治は知的操作で文章を書いてるので、太宰っぽい文章書くのって実際やってみると案外難しい気がする。やってみないとわかんないけどどうなんだろう。

【五分後の世界】

これは「サッカーの試合中に能を踊ったペレがレッドカードで一発退場する場面」です。この画像、今のところダントツで面白い。

開催日:2022年4月22日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・描写力/構成力:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・  特別点   :プラス8点  
 【合計得点】      :34
 【補足説明】      :作中人物の動作をなぜかペレで例えている。なんでペレやねん、他にもええのんあったやろと思う。ペレの描写は明らかに浮いている。後半に出てくる「能」のくだりもそう。作者はなぜ「能」をチョイスしたのか、気になって仕方がない。これは担当者の方が作者に「先生、この『ペレ』なんですけどいきなり過ぎません?先生がサッカーにハマってるの分かるんですけど、このペレのスゴさがよくわかんないので他の例えにしません?」とか「あの、先生……なんかこの世界設定だと『能』だけが違和感出まくってますよ。やめましょうよ。ただでさえややこしい設定が余計ややこしくなりますよ。ね?やめましょうよ」とか言うべきだと思う、いやまあ言ったのかもしれないけど。それはいいとして、とりあえず作中の世界設定に特別点プラス8点。というのも、この世界設定さえあれば作者は一生連載し続けられると思うから。戦闘に至るきっかけと戦闘シーンのバリエーションを変えていけばいくらでも話は量産できる。あと、そもそもの世界設定がブッ飛んでいるため細かい追加設定も挿入しやすく、よってネタ切れの心配も無い。やっぱこの設定いいなあ。思いついたもん勝ちだよなあ。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス10点
   【合計得点】    :36
   【補足説明】    :今回のサムネイル画像↑が面白い。これは絶対俺にしかできない所業なり(特別点+10)。あと、他の人が書いた読書感想文を読んでみたら中に一名、大量の指摘事項を列挙されている方がいらっしゃった。まあ一理あると思われ、小説を読んでいて「コレおかしくねーか?」「え、何この表記。どういうこと?」があまりに多すぎると、読後、読者の心の内には「混乱」だけが印象に残ってしまう。そういえば、誰も読書感想文に書いてなかったけど、「ペレ」「能」以外にも私が気になったのは「主人公の女性に対する下心が満々で、しかも女性もまんざらではなさそうで、しかも女性の描写もイヤラシイ感じに書いてて、ひょっとするとこれは濡れ場があるのかなーと期待してたけど、結局濡れ場なんて一ミリも無かった」である。アレは一体なんやったんや……

【夜明け前(第一部・下巻)】

これ↑は「天狗党水戸浪士と幕府が送り込んだ刺客『ペレ』との一騎打ちを見物している馬籠宿の村人に混じりつつペレに助太刀しようとするクリスティアーノ・ロナウドの図」です。このサムネは5月7日土曜の深夜~明け方にかけて作成した。俺は一体何をしているのか……

開催日:2022年5月6日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・  特別点   :プラス8点  
 【合計得点】      :37
 【補足説明】      :『夜明け前』には宿場事情がガッツリ描かれていて、宿場ガチ勢の私にとってホント勉強になる(特別点+9)。宿場の困りごとって、他の書籍にも記載があるんだけどまあ武士がやりたい放題で、例えば、出役が出張の際、身分に似合わない「自分専用カゴ」を拵えて宿場の人足に無賃でかつがせて旅行したり、それぞれの宿場では順番に宿を負担してやったり、宿泊所が少ない所では町費で補助してやったり、女郎屋を宿にしたり、何かと宿場側が泣きをみることが多い(主に文化時代)。これを打開すべく『夜明け前』にも頻繁に登場するのが歎願書たんがんしょで割とこれが功を奏したりもするが、それは藩主次第なので徒労に終わることも多い。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス9点
   【合計得点】    :39
   【補足説明】    :このサムネ画像の出来に特別点プラス9点。私は今年の5月2日に下呂温泉に行った。下呂温泉の旅館宿泊料金は他と比べて割高だと思う。個人的な意見になるが、宿泊代って¥15000出せば、大抵がまともな部屋に案内される。なのに下呂温泉ときたら、こちとらなけなしの¥20000も払ったのに¥8000~¥10000クラスの部屋だった。縁側から見える景色は目の前にある謎の施設ですべてシャットアウトされていた。むかつく。晩御飯は山菜等の土地の食材を使った献立かと思ってたら海産物のオンパレードだった。下呂温泉のある岐阜県には海があるとでもいうのか。おかしい。あ、でも温泉は高温なのが良かった。私、熱い風呂好きなんですよ。で、周辺地図を見てたら馬籠宿があったのでじゃあ行ってみるかと翌日、車で1時間半かけて峠の先にある馬籠に行った。意外にも観光客が多かった。おそらく全国各地から宿場ヲタが集まったものと思われ、その光景を見た私なんかは、頼もしいヤツらだなあと感心した。で、とりあえず島崎藤村記念館にも行ってみたけどよく考えたら私、島崎藤村の小説って『破戒』しか読んだことがないので藤村自身の資料を見学してもイマイチよく分からなかったが、一度火事で焼けたとはいえ本陣を見学できたのは良かった。杉の産地だけあってまあ木材がぶっとい。あと、馬籠宿は意外と綺麗に整備されており、歩道も含めすべて再構築したものと思われる。それにしても峠道の運転は面倒だった。自分で運転してて車酔いするとは。昔の人はよくもまああんなところを徒歩あるいは駕籠かごで通行してたってのがすごい、特に飛脚が。今より悪路だったろうし、そら死人も出て当然か。

【晩秋】

『晩秋』に登場する男の浮気現場を、妻とサッカー選手と探偵が激写する場面。

開催日:2022年5月13日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス8点  
 【合計得点】      :31
 【補足説明】      :前作同様、相変わらず読みづらい小説だがかえってそれが写実の要素となっている(特別点+8)。太宰治と志賀直哉はお互いにイガミあっていたとの話を読書会主宰者の方から教わった。で、早速調べてみるとたしかに対立関係にある。

・二人の確執はこのサイトに詳しい。
・太宰の『如是我聞』の後半部分にも志賀への人物批判あり。

この件、太宰も志賀もただの感情論なので正直どうでもいいが、私が興味深いと思うのは「太宰vs志賀」という構図についてである。太宰の作品からは職業作家としての自負がある一方で、志賀にはその感が微塵もない(※拙感想文参照)。これを太宰が『如是我聞』の中で <<アマチュアである。六大学リーグ戦である。>> と称したのも分からんでもない。ってな感じでこの二人は文学に対する根本的な考え方が違うんだからケンカになるのは当たり前の話だと思ったし、また、私がこの話を知ったときに「でしょうね」とも思った。この両者の俗物性が浮き彫りとなった印象的な出来事である。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・ ギャグセンス :★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 ・  特別点   :プラス8点
   【合計得点】    :35
   【補足説明】    :あのバリクソ読みづらい志賀の文章をがんばって説明した功労賞として特別点プラス8点。なお、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、ブラックコーヒーを美味いと感じることと同じである。また、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、「しもつかれ」を美味いと感じることと同じである。また、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、キビヤックを美味いと感じることと同じである。また、志賀直哉の小説を面白いと感じることは、八代亜紀にムラムラすることと同じである。

【余興】

ネクストコナンズヒントを来週まで覚えてるヤツはいない。

開催日:2022年5月20日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・文学性/芸術性:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・創造性/革新性:★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・  特別点   :プラス1点  
 【合計得点】      :22
 【補足説明】      :当たり前のことが書かれている。なぜこんな話を書いたのか訳が分からない。もしや、私の読み方がおかしいのか。このアタイがやっちまってるのか。あと、「辟邪軒秋水へきじゃけんしゅうすい」というワードは言ってて気持ちいい(特別点+1)。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス7点
   【合計得点】    :34
   【補足説明】    :森鴎外の歴史小説&史伝は非常に面白いが、一方で現代を舞台にした小説は私の理解を超えている。本書『余興』に限らず、『妄想』『青年』『百物語』って当時はどういう評価だったんだろう。それはいいとして、私は感想文にメイド喫茶の事を書いた。なお、メイド喫茶に行ったのは事実である。ウソつきのぼくが今回は身を削って事実を書いたんだ……!だから特別点+7。秋葉原にはメイド喫茶の店舗が今でも多くて、メイドが街頭で客引きをしているのをよく見かける。あと、メイド喫茶も多いけどそれ以上に「二郎系ラーメン」の店舗もまあ多い。学生の頃、ラーメン二郎にはたまに行った。二郎の店舗は都内に多く、池袋店、歌舞伎町店、ひばりヶ丘店、新橋店には行ったことがある。で、ラーメン二郎ってアブラとニンニクがアホみたいに入れてあるので、私なんかはラーメン食べてる最中によく腹痛に襲われた。この怪現象は「家系ラーメン」においても同じ。

【越年】

堂島ロールの店舗は大阪だけじゃなくて意外と銀座にもありますね。『越年』の舞台も銀座。会社を辞めた堂島が堂島ロールでバイトしてるシーンが作中にあったような気がする。

開催日:2022年5月27日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・文学性/芸術性:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 ・創造性/革新性:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 ・  特別点   :プラス3点  
 【合計得点】      :20
 【補足説明】      :これは本当に鬼才・岡本かの子が書いた小説なのか、あの『河明かり』『食魔』『蔦の門』を書き上げた異能文士・岡本かの子が書いた小説なんだろうか。彼女特有の文学的表現も無ければ、話としても当たり前の内容が終始書かれている。作風を大幅に変更しようとしたんだろうか。『越年』という物々しげなタイトルも季節感の提示だけにとどまっており物語と1ミリもマッチしていない。かの子ちゃんは何がしたいんだ。まさか私の読み方がおかしいのか。またしても私がやっちまってるのか。もし、かの子氏が「よーし!アタイは当たり前のベタな小説を書くぞう!」という意図があったのだとしたら、それは大成功を収めている。そういう意味では意表を突かれた(特別点+3)。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・ ギャグセンス :★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
 ・  特別点   :プラス5点
   【合計得点】    :31
   【補足説明】    :男女の心理をフロイト&ラカン精神分析学の合わせ技を用いてバカ丁寧に解説した。なんてマジメでイカした男なんだろう(特別点+5)。その際に参考にしたのは『ラカン入門』。これ、入門と書いてるクセに内容は凶悪的に難解だった。専門書あるあるかもしれないけど、タイトルに「●●入門」と書いてる本は大体において難しい。ちなみに、これまでに私が読んだ本の中で難解ランキングベスト3に入るものの一つに、ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』がある。これがなぜ難しいかというと、命題が列挙されているだけだから。命題を提示した本人による解説や意図が1ミリも書かれていないので(稀に書かれてはいるがこれもムズイ)、読解の難易度が非常に高い。西洋哲学を専攻している方は論哲をどう解釈してるのか気になるところ。というわけで、もし、ウィトゲンシュタインが「よーし!アタイは難解な哲学書を書くぞう!」という意図があったのだとしたら、それは大成功を収めている。

【夜明け前(第二部・上巻)】

くら寿司の牛丼も美味いけどスシローのラーメンも美味い。魚介から取った出汁スープって好きなんですよ。

開催日:2022年6月10日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・  特別点   :プラス10点  
 【合計得点】      :41
 【補足説明】      :相変わらずの宿場事情がタメになる&叙事詩の様な雰囲気が徐々に出つつある(特別点+10)。『夜明け前』の第二部上巻には、鳥羽伏見の戦いが書かれている。で、いくさの最中に徳川慶喜が大阪から隠密で脱出して江戸に戻る。ホントに慶喜の内々の関係者しか知らなかったそうな。で、ベタなこと言いますけど、東軍はみんなビックリしただろうなーって思った。東軍の使いの者がせっかく大阪城まで行って将軍にお伺いを立てに来たのにもぬけの殻ってのが面白い。自分の軍艦を乗り逃げされた榎本武揚えのもとたけあきも慶喜に怒り心頭だったそうな。そらそうだ。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス8点
   【合計得点】    :36
   【補足説明】    :あ、浪曲風あらすじの腕前が上がっている(特別点+6)。サムネイル画像が面白い(特別点+2)。感想文には、鳥羽伏見の戦いを書こうとしたが他の方とカブる可能性があったのでそれはやめにして、太陽暦をめぐる半蔵の矛盾を指摘した感想文。だからなんなんだという文章。そういえば、サムネ画像↑にも書いてる通り、ケンタッキーで一番うまい部位はドラム(脚)だと私は思ってる。世間でもドラム派が多いのかと勝手に思ってたんだけど、意外とキール(胸)が好きな人もいるらしい。で、キール派の知人に「キールの食感ってパサパサしてない?」と尋ねたところ彼は「注文のタイミングで揚げてもらえばパサパサしないよ」とのことだった。なるほど。そんな裏ワザがあったとは知らなかった。だが、キールには最大の欠点として「細かい骨が刺さってムカツクんじゃい問題」が残されている。あれ、なんとかなんないのか。それをクリアする解決策があるんなら久々にキールを注文しようかなと思う。

【ある崖上の感情】

今時点でこのサムネ画像が一番おもしろい。このサムネを金曜の深夜にコソコソ作ってた。

開催日:2022年6月17日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・  特別点   :プラス4点
 【合計得点】      :38
 【補足説明】      :奇妙な人間関係が書かれており、それで終わっていくのかと思いきや全然そんなこともなく、最終的に認識外の存在の示唆へと発展していくのが良い。似たような作品に『冬の蠅』があるが本書『ある崖上の感情』はそれを超えて良い作品だと思う。『冬の蠅』って、孤独で陰気な雰囲気がずーっと続いてて気が滅入るけど、本書『ある崖上の感情』は孤独&陰気な雰囲気は話が進むにつれて、奇妙な人間関係を軸にしながら話があらぬ方へ転回していき予測不可能な結末となっておりまあ面白い(特別点+4)。あと、陰気な小説といえばドストエフスキーの『地下室の手記』という作品もそうで、これは陰気と滑稽のバランスが非常に良い傑作だと思う。モーパッサンなんかも然り。太宰治もそう。あとは夏目漱石の『猫』なんかもそうで、この小説って自殺、死生観、精神障害に関するエピソードが盛り込まれてるけどそれが決して陰気一辺倒にならないのは「猫による軽妙なツッコミ」&「所詮、猫が語ってるに過ぎない」の2点があるおかげだと思う。というわけで、「陰気」という要素に加えてもう一点何かしら必要であり、かつ、それらのバランスが保たれていないと私は読む気がしない、私の場合は。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・創造性/革新性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :プラス6点
   【合計得点】    :32
   【補足説明】    :サムネ画像の出来が良い(特別点+6)。この感想文は、過去に私が書いた『冬の蠅』読書感想文をこの私自ら丸パクリするという、「メタ読書感想文マイセルフ」という斬新な手法を用いて書いた。つまり、同じことをもう一度主張しているということ。でも、本当にそう思ったのだから再主張するしかなかった。別のアプローチを使って本書解釈の新説を提示しようとしたけど、その肝心の新説が1ミリたりとも思い浮かばなかった。

【少年】

このサムネ画像↑は、『少年』に登場するハーバード大首席の仙吉がリリースした1stアルバムのジャケット写真撮影のくだりです。レイジアゲインストザマシーンのギター担当の人って、ハーバード首席だそうだが、ハーバードまで出てバンドをやるとは常人離れしてると思う。

開催日:2022年6月24日(金)
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課題図書の評価: 
 ・可読性/判読性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・描写力/構成力:★★★★★★★★★☆(9点)
 ・文学性/芸術性:★★★★★★★★★★(10点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★★★☆☆(8点)
 ・  特別点   :プラス5点
 【合計得点】      :40
 【補足説明】      :華道といえば小笠原流。茶道といえば裏千家うらせんけ。狂言といえば和泉流いずみりゅう。剣術といえば薬丸自顕流やくまるじげんりゅう。空手といえば松濤館流しょうどうかんりゅう、フルコンタクト空手といえば極真会館きょくしんかいかん。そしてフェチといえば谷崎潤一郎流。で、思ったのは、谷崎潤一郎は『痴人の愛』のような長編よりも、本書『少年』および『秘密』の様な短編の方がメリハリが効いているせいか、劇的で面白いということ(特別点+2)。あと、相変わらずの筆力の高さよ……(特別点+3)。太宰治とは趣向の違った文章の上手さがある。

読書感想文の評価
 ・可読性/判読性:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 ・論理性/妥当性:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 ・創造性/革新性:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 ・ ギャグセンス :★★★★★☆☆☆☆☆(6点)
 ・  特別点   :なし
   【合計得点】    :24
   【補足説明】    :光子と少年達の意識の相違点に着目して感想文が長々と書かれているがその相違から結果として何が言えるのか、その記載が非常に乏しいため、光子の言動を詳細まで調べて具体的な結論を書け!このハゲ!と俺はコイツに言いたい。ところで、この『少年』はタイトルの通り、十代の少年少女達が変態性に目覚めてSMまがいの遊びをするんだけど、それが特に下品・低俗という印象は受けない。それは著者・谷崎氏の描写力の高さによって下品・低俗に堕ちないようカバーできているからというのも理由の一つだが、先に述べた通り、「十代」という清廉潔白な年齢が読者に下品な印象を与えないからという理由も大いにあると思う。なので、もし仮に『少年』の登場人物の年齢が50代~60代だったとすると、読者にしてみれば「うわ、いい歳こいて何してんだよこの変態オジサン&オバハンは……」または「何が悲しくてオレはこんなオジイ&オバアのSMプレイを読まないといけないのか……」または「特定の誰かに向けた作品なのか」「何のいやがらせなのか」「この苦痛はいつまで続くのか」「なぜ人は戦争なんてするのか」といった感じで作者を非難するに違いないため、年齢設定は慎重に吟味しなくてはならない。

以上、2022年1月~6月に開催された読書会における課題図書および読書感想文のレビュー結果となる。それでは最後に、レビュー結果をランキング形式で紹介し、本稿の締めくくりとする。

【課題図書おもしろランキング】

課題図書を合計得点順に並び替えた結果を以下に示す。

■所感:海外勢の作品が上位を占めており、ヘミングウェイ、ドストエフスキーの完成度の高さは圧倒的である。好みが分かれるところでいえば島崎藤村『夜明け前』だが、私は高評価する。ダークホースの村上龍『五分後の世界』も然り。意外に良かったのは、坂口安吾『母の上京』。そして最下位は、鬼才・岡本かの子の『越年』。アンタこれ、別人が書いたんじゃねーかと思うほどに出来が悪い。期待していただけに非常に残念。

【読書感想文おもしろランキング】

読書感想文を合計得点順に並び替えた結果を以下に示す。

■所感:この結果から課題図書⇔感想文の相関関係を導こうとしたが、そんなものは特になかった。「課題図書の品質が高いと感想文の品質も高い」ような気がするが、例外も多いので相関の有無に関しては何とも言えない。第1位『秘密』の感想文は課題図書を知らなくても読める内容。最下位『イワンのばか』の感想文は空前絶後のゴミ感想文であり、それはテキストデータの無駄遣いでもある。

【あとがたり】

愚にもつかぬ雑感を申し上げる。
ここ数年、フィギュアスケートという競技をテレビで目にする機会が多い。このフィギュアスケートなるものは競技である以上、順位付けが行われるため審査員達は採点基準に基づいてその優劣を評価するのだが、その評価基準が至って特殊である。国際スケート連盟によると、フィギュアスケートの採点方法の内訳は、選手の技量・質を判断する「技術点」、表現力を評価する「構成点」という2項目からなる合計値との事である。前者の技術点は、技の難易度ごとに得点が定められており、例えばトリプルアクセル、4回転トゥループといった高難易度の技はミスさえしなければ得られる得点も高く、採点基準は至極単純明快である。一方で不可解な採点基準はというと後者、構成点である。構成点は選手の演技の表現力に対する採点が行われるのだが、この評価要素は、5項目から構成されており、「①スケートの技術」「②技のつなぎ」「③演技表現」「④振り付け」「⑤音楽の解釈」といったように、音楽の世界観にふさわしい演技をしているかを評価され、ダンス、表情、スケート技術の高さなどもすべて得点に換算されるのだという。オリンピック競技であるにも関わらず、こうした不確定な要素からなる構成点の存在。私が冒頭で特殊だと述べたのはここを指しているのであって、特に構成点における「③演技表現」「④振り付け」「⑤音楽の解釈」という要素は審査員だけでなく選手にしてみても非常に扱いが難しいと思われる。

例えば、今ここに前途有望な女子フィギュアスケート選手・玉井玉子が大会に出場したとする。技術力において申し分のない玉子はトリプルアクセル、ルッツ、サルコー、トゥループなんて芸当は朝飯前の前の前、そつなくこなす選手であったものの、元来、芸術家気質の彼女の内には以前から技術点だけでなく構成点にも注力すべきであるとの強い思いがあった。そしてオリンピックを賭けた大会当日、とうとう玉子の出番が回ってきたのだが、あろうことか、彼女はスケート靴ではなく鉄ゲタを履いてスケートリンクに立ち、用意しておいた楽曲はいつものクラシック曲ではなくアフリカ民族音楽『ケチャ』を流し始めたのである。ケチャが始まると同時に鉄ゲタにねじり鉢巻き姿の玉子は地団太を踏みはじめ、ケチャの掛け声が激しくなるにつれ彼女の地団太もヒートアップ、ついには鉄ゲタで氷を粉砕しながらケチャと玉子のおたけびは会場中にこだまし続け、演技終了時間1分前に差し掛かったところでようやく鉄ゲタからスケート靴に履き替えた彼女はトリプルアクセルを40回連続で決め、玉子の演技は終了したのである。その際、彼女の瞳から一筋の涙が流れていたという。

以上の例を踏まえて、各審査員はどう評価するのか私は問いたい。鉄ゲタでリンクを粉砕する荒唐無稽な荒業にマイナス評価をする者、冷え切った氷上に赤道直下の熱いケチャというコントラストに芸術性を見い出して満点を投じる者、クラシックしか知らないからという理由で減点する者、トリプルアクセルは実はケチャの源流であるという玉子の解釈を高く評価する者、といった判定結果が生まれるかは知らないにせよ、競技に芸術の要素を持ち込んでしまうと最適な判定というものは困難を極めるということであり、それは選手および審査員にとっても迷惑な話ではないかと思えてくるのである。

それにも関わらずなぜ審査基準に「構成点」が存在するのか。私が思うにそれは「フィギュアスケートの発展性・成長性」を考慮した結果ではないかと考える。というのも、オリンピックのテレビ中継を見ていると各フィギュアスケート選手の演技ときたら、クラシック音楽に合わせてトリプルアクセルを何回成功させるかに重点が置かれており、その成功者=金メダリストとなっているからであり、つまり全ての出場選手はこの紋切り型の表現に終始してしまっているのである。これではフィギュアスケート競技は「誰が一番トリプルアクセルをキメられるでしょうかゲーム」ではないか。素人意見で甚だ恐縮だが、この退屈な演技を打開し、さらなる競技の発展を促すには「構成点」に頼るしかなく、構成点という特殊かつ自由な発想を発揮できるであろう評価項目を審査員と選手が力を合わせて活用すべきであり、ひいてはそれがフィギュアスケートの未来に繋がるのではないかと提案させて頂く次第である。なぜジャンプの種類は6種類と決まっているのか。他にもあっていいではないか。ダンス、表情も表現の内なら発想転換の余地は大いに残されている。フィギュアスケートという特殊な競技をそもそも「競技」という枠組みで取り扱うべきなのか、構成点なるものの存在意義に立ち返り今一度再考すべきである。鉄ゲタで失格となった玉子。彼女の悔し涙を我々は決して無駄にしてはならないのである。

以上に申し上げたフィギュアスケートにおける表現の問題は文学においても同様であり、私は本稿の冒頭、【採点方式について】において、課題図書の文学性/芸術性という判定要素を「人間とは何かの追求。あるいは、虚実混交の表現。」とした。当然、この判定要素は人類不変の絶対的なものではなく私が独断で決めた文学性/芸術性の所在であり、課題図書でいえば『カラマーゾフの兄弟』『母の上京』『冬の蠅』『晩秋』にはそれが随所にみられる。ただ、『母の上京』に比べて『冬の蠅』『晩秋』の評価が低いのは文学性/芸術性以外のマイナス要素があったからであり、要は総合的な評価の結果である。五項目からなる判定要素の内、「特別点」を設定した目的は、他の四項目の判定要素とは異なる指標が各作品において存在するため、そこを考慮したことによる。つまり、その作品にしか適用することのできない採点の考え方があってもいいではないかという意図がある。芸術性が高いからといってそれが傑作とは限らず(=岡本かの子)、かといって表記が分かりやすいから傑作ともならず(=太宰治)、特別点による調整も考慮した総合的な評価を行うことで平等なレビューが実現できるのではないか。本稿はその試みでもあり、それが成功したのか、あるいは失敗に終わったのか、それについてはクリバヤシの意見を聞いてみることにする。

◎余談(村上龍の読書会に際して):
読書会で扱う課題図書は、古典~近代の著名かつ版権が切れた文学作品が大半である。しかし今回、異色な存在として村上龍『五分後の世界』が扱われており、読書会主宰者の方がどういう経緯で本書をチョイスしたのかはわからないが、他の課題図書と比べて明らかな変化球である。私はこの本を持ってなかったので買いに行った。で、読んだ。村上氏はテレビ等のメディアにも多く出演しており小説家以外の彼の側面が我々の脳にインプットされているせいか、読者の内には良くも悪くも先入観を前提とした読書に陥っている方もいるかもしれない。あいつのテレビでの態度が気にくわない、雑誌のインタビューでけっこう良いこと言ってた、いいマンションに住んでた、服のセンスが悪い等々、作家を身近に感じた状態で著作を読んでしまうと作品に対して良いものは良い、悪いものは悪いという判断ができなくなり読書の弊害にもなるため公平に扱わなくてはならない。そのうえで、私にとって『五分後の世界』は十分面白い作品だと思ったし、設定に関しても素晴らしい構想だと評価している。そして読書会の模様もチェックした。参加者はどーせ俺しかいないだろうなーなんて思ってたら意外とそんなこともなく、読書会では様々な方のユーモアのある意見が飛び交い、非常に有意義な時間だったと記憶しており、古典近代も良いが現代小説を扱う読書会もまた別の趣向があって印象深かったので機会があればまた参加したい所存である。

といったことを考えながら、クリバヤシと玉子とペレのことをあと少しだけ思い返してから今日は寝ることにする。

以上

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