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読書感想文

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私、タケノコが書いた読書感想文など本についてのあれこれをまとめました。
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2024年2月の記事一覧

キッチン(吉本ばなな、1988年発表) 読書感想文

キッチン(吉本ばなな、1988年発表) 読書感想文

キッチン(著:吉本ばなな、福武文庫、初版1991)

直感的で詩歌句的でもあり、しかしユーモラスなので、スラスラ読める簡単でやさしい言葉。だけど芯がしっかりした抜き身の刀のような文章。ゆっくり触れる分には問題ないしあたたかいけれどいざ振られたらザクッと斬られる。

読んでいて、俵万智の『サラダ記念日』(1987)を連想した。

あとこの本に合う曲は槇原敬之の『雷が鳴る前に』だと思うの。

『キッチ

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最近の読書記録2/16-2/23

・大林宣彦 戦争などいらない‐未来を紡ぐ映画を(著:大林宣彦) 2/16再読 読了

・中原中也 沈黙の音楽(著:佐々木幹郎) 2/17読了

・日本語教室(著:井上ひさし) 2/23読了

今回は
中原中也 沈黙の音楽(著:佐々木幹郎、岩波新書、2017)について軽くメモ。

中也の詩の主なテーマはダダイズム、つまりこれまでの表現活動との「亀裂」から始まり(と言って過言ではないはずだ)、やがて劇

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この本は、ドグラ・マグラなのである。(大学時代に書いたドグラ・マグラ論の改訂版)

この本は、ドグラ・マグラなのである。(大学時代に書いたドグラ・マグラ論の改訂版)

約10年前、大学時代に書いた夢野久作の小説、『ドグラ・マグラ』の小論を改訂して書いてみたいと思います。

この本は、ドグラ・マグラなのである。

と、寺山修司は自身のトラウマについて書いている。夢野久作は彼の作品にかなりの影響を与えているはずだ。

私も笑いの恐ろしさをこの『ドグラ・マグラ』に感じた。しかし読んでいてなぜかニヤニヤが止まらない。くすぐられているような感覚を覚えた。
笑い声が何回書

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最近の読書記録

最近の読書記録

2/13
中学生の質問箱 戦争するってどんなこと?(著:C・ダグラス・ラミス)
読了。

読んで衝撃。ショックで打ちのめされたと同時に深い感銘を受けた。自分の無知を思い知らされた。

ほんとうの現実主義者になれば戦争でいかに世界が狂っているかわかるというのに。

2/15
父と暮せば(著:井上ひさし)
読了。

愛する者たちを原爆で殺され、生き残った者は恋愛からも身を引こうとする。そんな美津江の「

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戦争するってどんなこと?(著:C・ダグラス・ラミス)
読んで衝撃。自分はこんなことも知らなかったのかとショックで打ちのめされたと同時に深い感銘を受けた。本当の現実主義で見ればいかにこの世界が戦争によって狂っているかが見えてくる。

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伊豆の踊子(川端康成、1926) 読書感想文

伊豆の踊子(川端康成、1926) 読書感想文

伊豆の踊子・温泉宿 他四篇(著:川端康成、岩波文庫、1952) より

伊豆の踊子(1926年発表) 感想文

出だしでもう作家志望の人々の心をへし折っていくかのような名文だと思う。景色が目に浮かぶとはこのことである。物理的な景色、心象的な景色がサラリと書かれている。
川端自身の回想によると、22歳の時に書いた草稿から、踊子の思い出の部分だけを1926年、26歳の時に書き直したものだという。早熟で

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