創作孤独のグルメ 世田谷区羽根木のグリーンカレーソバと手作り餃子
ー東京都世田谷区羽根木ー
井之頭五郎(新代田駅、初めて降りたなぁ。目の前は環七。下北沢から一駅ってだけで全然雰囲気が違う)
自転車に乗ったおばさん「すいません」
五「はい?」
おば「通りたいんですけど…」
五「え?あ、ああ、すいません…!(俺としたことが、気を付けないと)」
オープニング
ー時間や社会に囚われず、幸福に空腹を満たすとき、つかの間、彼は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒し、と言えるのである。
ー世田谷区羽根木のグリーンカレーソバと手作り餃子ー
カフェの女性オーナー「それで、お願いしたものはどうでしょうか…?」
五郎「北欧系のアンティーク家具ですよね。ええ、いくつかイメージに合いそうな物をピックアップしてまとめておきました。こちらどうぞ」
女「…」
五「…」
女「…」
五「(あれ…?もしかしてイメージと違った?)あの、いかがでしょうか…?」
女「井之頭さん!」
五「はい!(ヤバい…!)すいません!すぐに別の物をピックアップして…!」
女「完璧です!」
五「…え?」
女「私が思ってたものとドンピシャ!まさにこういうのを探していたんです!」
五「(焦ったぁ)…そ、そうですか…!それは良かった…!」
女「私、自分で店やるって決めた時絶対にこういった家具でやるって決めたんです!でもイメージにピッタリ合う家具なんてそう簡単に見つかるものでもないし…そんな時知り合いから滝山さんを紹介されて話をしたら、それなら井之頭さんが良いって紹介されたんです。本当に井之頭さんにお願いして良かったです!」
五「いえいえ、とんでもございません。しかし、お若いのにこんな所にカフェを開くなんて凄いですね」
女「こんなところ…」
五「(やべ…)あ、いや、あの、こんな所って言うのはその悪い意味ではなくてですね、その~…」
女「良いんです、友人にも言われました。カフェをやるなら下北沢でやれって。でもここ新代田は環七沿いにあるんですが、少し中に入ると静かでなんだかゆっくり時間が過ぎてる感じがするんです。そこが凄く好きで。飲食店もあるにはあるんですけどラーメン屋さんが多くて。定食を食べれるお店や、お弁当を売ってるお店が少ないんです。だったら自分がそういうお店を作ろう、そう思ったんです」
五「なるほど。(若いのにしっかりしている)」
女「オープンしたら井之頭さんも食べに来てくださいね!」
五「ええ、勿論!」
女「井之頭さんはどういったものを食べたいですか?」
五「え?」
女「定食。ほら、ここで出すとしたら」
五「そ、そうですね~…」
女「やっぱりアーティスト系の人が多いイメージあるからオシャレなプレートの方が良いのかな…それとも色んな人を取り込むならガッツリ系?女性を取り込みたいってのもあるからヘルシーなものも置いた方が良いですよね~。あと~…」
五(おいおい、勘弁してくれ)
女「それじゃあよろしくお願いします!」
五「それでは明日中には資料をまとめてメールでお送りしますので」
女「はい!お待ちしてます!」
五「ふぅ…(長かった…滝山が紹介するお客さんは、どうしてこうスムーズに終わらないんだ。とりあえず帰って資料をまとめよう。よし。…と、その前に。なんだか、腹が、減った…店を探そう)」
五(えーと、確かこっちから歩いて来たから…あれ?どこだここ…マズイ、迷ってしまった。とにかく、環七に出よう)
五(ふぅ、とりあえず環七には出たけど、飯屋は…)
回想
女「飲食店もあるにはあるんですけどラーメン屋さんが多くて。」
五(ラーメン。そうだ、俺は今ガッツリ食いたい気分なんだ。お、あんなとこに店が!…あ、バーか…隣も…バー…じゃない…!)
五(何このオレンジの外観…バサノバ…ラーメン屋?)
女性客1「楽しみだね~」
女性客2「ね~」
五(俺にはちょっと場違いか。他を探そう…いや、駄目だ。腹が減りすぎている。ここにしよう)
店員「いらっしゃいませー、お好きなお席どうぞー」
五「はい…えーとメニューは…」
店「あちらで食券をお願いします」
五(色々あるなぁ…え!?グリーンカレーソバ?トムヤムソバ?ラクサ?何それ!?うーん…失敗するのも嫌だし、ここは安全に豚濁和出汁ソバを…アレ…お札が…入らない…!)
店「すいません、ちょっと曲がった千円札が入りづらくて、交換しますね。あ、いらっしゃいませ!」
五「あ、どうぞお先に」
男性客1「すいません。お前何?」
男性客2「俺グリーンカレー」
男性客3「俺も」
男1「間違いないよな」
五(間違いないのか…!)
男1「すいません、ありがとうございます」
五「あぁ、いえ…」
店「お待たせしました、こちらどうぞ」
五「ありがとうございます。あの…!」
店「はい」
五「おススメって…」
店「一番よく出るのはグリーンカレーソバですね」
五「(やっぱそうなんだ)ありがとうございます。(よし、それならグリーンカレーに、卵をトッピングして、ネギ飯と、あと、餃子だな)」
店「こちらお冷です。食券お預かりいたします」
五(銀色のカウンターにオレンジの外観…よく見ないと見落としてしまいそうなラーメン屋だ…ん?)
五(Tシャツも売ってるのか。あの写真はまさか…やっぱり。グリーンカレーソバ。やることがいちいちオシャレ)
店「お待たせしました、こちらグリーンカレーソバ卵トッピングと、ネギ飯と、焼き餃子です」
五「ほぉ~…」
五(これは美味そうだ…!)
五「いただきます…!ズル…ズルズル…うわ、何これ…超美味い!ズズ…ほのかに香る鰹節の香り…グリーンカレーって聞いたから身構えたけど、全然大丈夫。俺、この味、好き)
五(ほ~。鶏肉も一つ一つ炙っているのか。あ、やっぱりちょっとスパイスでピリ辛。良いじゃないか良いじゃないか。空腹の俺の胃袋をグリーンカレーのスパイスが刺激してくる。俺とスパイスの異文化交流だ)
五「(こいつはどうだ)…んん、あふっ!(うん、しっかり美味い。少し大きめなのも嬉しい。んん、噛めば噛むほど旨味が出てくる。ずっと噛んでいたい)」
五(おっと、ラーメンと餃子に気を取られてコイツの存在をすっかり忘れていた。ハムッ…美味い…!俺コレ超好き。何杯でも食える)
五「(よし…!)ガツガツ!ガツガツガツッ…!」
五(美味い。なんて美味いんだ。俺と言う国の中に中国とタイがグイグイ入り込んで異文化同士が交流している。今、国境を越えて腹の中で一つになっていく。良い。良いぞ)
五「ふぅ…ご馳走様でした…!あ、すいません」
店「はい」
五「灰皿を頂けますか」
店「はい。どうぞ」
五「ありがとうございます。…スー…プハ~…。(どうして飯の後のタバコって、こんなに美味いんだろう)」
男1「この残ったスープにご飯入れて食うのが美味いんだよ」
男2・3「へ~」
五(…!そうなの!?…ふっ)
ガラガラガラ…
店「どうもありがとうございました~」
五(食った食った。帰って資料をまとめるとするか。駅は…こっちだな)
五「…ん?はい、もしもし。滝山ぁ。…なんとか決まりそうだけど、お前話長くなりそうなの分かってて言わなかったろ?…まったく。まあ良いよ。新代田で良いラーメン屋見付けたんだけど、グリーンカレーソバが美味いんだよ。…まあ最初はそう言うのは分かるけど…」
EⅮ
ーふらっとQUSUMI- 羽根木編
ナレーター「今回は環七沿いにあるラーメン屋、BASSANOVA」
久住昌之「凄い外観ですねぇ(笑)オレンジ!」
久住「失礼しまーす」
店「いらっしゃいませ!」
久住「銀色のカウンター!凄いですね。なんかバーみたいで呑みたくなっちゃいますね!(笑)」
ナレ「おやおや、店員さんが何か持って来ましたよ」
店「こちら、良かったらどうぞ」
久住「え!?なんですかコレは!…んん!これは麦ジュースですね!(笑)」
スタッフ(笑)
ナレ「CMの後は五郎さんも気になってたあのラーメンの登場です!」
CM明け
店「お待たせしました、こちら三品盛りと、トムヤムソバのハーフです」
久住「来ましたね~。うわ、凄いですね!」
久住「ちょっと三品盛りの方頂ますね。…んん!これはジュースが進みますね!(笑)」
久住「うわ~、これは見た目も綺麗ですね、いただきます。…んん!これは美味しい!この中に入ってるハンバーグみたいのは何ですか?」
店「ひき肉と出汁で使ったシイタケを一緒に混ぜてあげたモノになります」
久住「なるほど…!無駄が無いですねぇ!あとこのハーフってのが嬉しいですね。〆なんかに最高だもんね!はっはっは!(笑)」
久住「またバサノバって不思議な店名ですよね。どうしてそういった名前にされたんですか?」
オーナー「昔ばさらかってラーメン屋をやってまして、それを新しくするってことでその『ばさ』と、新しいって意味の『ヌーボー』を足して『バサノバ』という名前にしました」
久住「ああ、なるほど!ボサノバのノバもそうですもんね!」
オーナー「ああ、そうなんです。そこから取りまして」
久住「へ~、面白いなぁ!メニューもグリーンカレーだったりラクサだったり新しいですもんねぇ。このハーフってのも嬉しいですね」
オーナー「飲んでから〆にって方もいれば、グリーンとトムのハーフをどっちも頼むって方もいますね」
久住「あ、なるほど!それは良い事を聞いたなぁ!(笑)」
ナレ「新代田駅から歩いて2分。番組ホームページをチェックしてから、お越しください」
ナレ「次回、孤独のグルメ。目黒区五本木の、ワニ肉のソテーとつくねご飯。お楽しみに」