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企業価値経営②:様々な企業価値の評価手法と、実用的な「乗数アプローチ」について
読書ノート(132日目)
さて、今日もこちらの本からです。
本書は全三部で構成されています。
第一部:分析編
経営戦略や会計戦略の解明から企業特性を踏まえた
ファンダメンタル分析を理解する
第二部:評価編
企業価値の算定のための評価モデルの考え方を理解し、
企業価値の創造または毀損を評価する
第三部:創造編
現実の企業価値創造経営の課題を
フレームワークを使って解決する経営ストーリー
今回は第二部:評価編についてです。
・決算データのどの数字を見るかは企業の事業活動の状態によって違う
・企業が行け行けドンドンで通常の事業活動を行っている時は
損益計算書を重視し、
会社が停滞している時や不況期は貸借対照表を、
会社が危機状態でしんどい時はキャッシュ・フロー計算書を重視する
・人間、5分と息ができなかったら死んでしまう。
これと同じでキャッシュが止まったら会社は倒産してしまう
●企業価値評価のフレームワーク
・エンタープライズDCF法
債権者と株主それぞれの期待収益率を加重平均したWACCを使用
・エコノミック・プロフィット法
キャッシュフローではなく会計利益をベースに企業価値を算出
※超過利益モデルが基礎概念
スターン・スチュワート社が「EVA」として商標登録
・APV法
将来的に有利子負債を返済することを想定した計算方法
事業に必要な資金を全て株式で調達した場合の価値と、
有利子負債の調達による節税効果の価値の2つから企業価値をとらえる
・DCF法の限界とリアル・オプション
・DCF法の欠陥
①不確実性およびそれに対処するための
経営のフレキシビリティーを考慮していない
②様々な仮定が用いられるため、計算過程に恣意性が入ってしまう
・1980年代にMITスローン経営スクールの
スチュワート・マイヤーズ教授が「リアル・オプション」を提唱
・経営の持つフレキシビリティーを測定し、
将来の不確実性に対する選択肢の価値を定量的に把握する手法
・DCF法による価値+フレキシビリティーの価値=
リアル・オプションで計った事業価値
(その他にも、ディシジョン・ツリー分析も本書では紹介)
●証券アナリスト達の企業価値分析の手法
・これらの手法は将来キャッシュフローや資本コストの推計に、
一定の前提や見積りが介入する余地があるため、
実際には証券アナリストなど企業価値評価のプロの間では、
市場ベースの分析指標として「乗数アプローチ」を用いることが多い
・乗数アプローチの分析指標(株式評価:企業評価)
・利益乗数
PER(株価収益率):EV/EBITDA倍率)
※EVはEnterprise Valueで企業価値
・資産乗数
PBR(株価純資産倍率):トービンのq(シンプルq)
・収益乗数
PSR(株価売上高倍率):EV/Sales倍率
・CF乗数
PCFR(株価CF倍率):EV/CF倍率
・これらを同業他社などと比較し、現在の株主価値や
企業価値が相対的に割高か割安かを判断する
・Sum of the Partsを活用したソニーグループの価値評価
ソニーグループのような多角化企業の価値を評価するにあたっては、
乗数アプローチを援用したSum of the Partsに基づく
分析を行うことが一般的とされる
今回は企業価値を測定するための
手法の話が多かったのですが、
結論としては現実的な評価手法として
1つの評価手法に頼るのではなく
複数の評価手法を用いて
多角的に企業価値を評価する
「乗数アプローチ」が良いのだろう
というのが私の今の時点での結論です。
PERなどの簡単な解説は
私自身の備忘メモとして
以下に残しておきます。
・PER:1株当たり純利益と株価から算出
株価が利益何年分に相当するかを表す指標
・PBR:1株当たり純資産(BPS)と株価から算出
BPS=解散価値として1倍を基準に価値創出・毀損を判定
※BPSは簿価ベースで、土地・建物・固定資産の
含み益は含んでいない点に留意する
・PSR:1株当たり売上高と株価から算出
従来のPERでは赤字企業を評価することができないため、
先行投資がかさむベンチャー企業などを評価するため、
PERの代替的な評価尺度として活用
※ただし企業の生産性が全く考慮されていない点に注意
※PSRは同一の成長ステージにある企業の株価を
相対的に判断するための指標の一つにすぎない
・PCFR:1株当たりキャッシュフローと株価から算出
PERと異なり、減価償却方法の異なる企業を比較する上で有用
設備投資に伴う減価償却費が利益を圧迫する場合、
PERでは割高に評価してしまう可能性がある
PCFRならば設備投資に伴う企業の潜在的な成長率を反映できる
・EV/EBITDA倍率 ※EV:Enterprise Valueで企業価値
証券アナリストの間で広く使われており、簡易買収倍率とも呼ばれる
ある企業を買収した際に買収後何年で、その企業の生み出す利益によって
買収した投下資本を回収できるかを計算。
倍率が低いほど株価は割安と判断される
・トーピンのq:企業の総価値と総資本の再取得価格の比
qが1より大きい場合、企業が所有する資本設備の価値より
市場での評価額が大きいと判断 され、qが1より小さい場合は
課題設備を意味しており投資を縮小すべきとなる
※シンプルqの計算式=(株式時価総額+負債)÷総資産
最近はすっかり涼しくなりましたね!
皆さんも体調には気をつけて、
良い日曜日をお過ごしください~!😉✨
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