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ピープルアナリティクスの教科書③:アップル・ウーバー・サイバーエージェント等での人事データ活用事例

読書ノート(118日目)
本日もこちらの本を紹介
していきたいと思います。

こちらの本も前回紹介した
データ分析に関する本ですが
より人事データ分析に特化を
しているのと、最後に9社の
ピープルアナリティクスの事例集が
ある点で、読み応えがある本です。

本書を以下の5つに分けて
順に紹介をしていく予定です。
①人事データの活用について
②プロジェクトの実践手順と必要スキル
③先進企業の事例(1)(2)(3)
④先進企業の事例(4)(5)(6)
⑤先進企業の事例(7)(8)(9)

ということで今日は
③先進企業の事例(1)(2)(3)
についてです

■事例1
 先進企業人事経験者が考える組織のグロースハック(パナリット社)
・アップル、ウーバーなどでの人事部長経験を持つ同社CEO
・ピープルアナリティクス成功の3つのフェーズ
①現状把握
 過去のデータを可視化し「社内で何が起きたか」への理解を促す
②将来予測
 今までの観測を基に「これから起きるであろうこと」への示唆を得る
③処方:前項のインサイトを基に「これから何をすべきか」という
 方向修正を促すアクションの提示

アップルでの活用事例
・2003年から2006年にかけて株価が2300%上昇した中で、
 ストックオプションの売却権利を得た社員が一斉に辞めるリスクを可視化
・ストックオプションの売却権利が得られる対象社員の
 会社での立ち位置を把握するため人事データと評価データを参照
・すると勤続年数の長いベテラン社員はチーム内でも最重要メンバーで
 会社の文化醸成にも貢献していることがわかった
・対象社員のエンゲージメントサーベイの結果も参照し、
 「彼ら/彼女らのような優秀なベテラン社員が
  今後も会社に残ってもらうためにはどうすべきか」
を調査
・「彼ら/彼女らは金銭的な欲求は既に満たされており、
  希望の職種にも就いていた一方で、(昔に比べて)
  承認プロセスが長引いたり、ペーパーワークが増えている事に
  象徴される”大企業病”に不満を感じていた」ことが分かり、
  承認プロセスの簡素化、書類作業の削減につながる
  人事制度改革を全社的に実施。
・結果的に懸念されていた一斉退職は避けられ、
 会社全体の満足度の底上げにも繋がった

●ウーバーの活用事例
・離職予測の精度を高めるためにコミュニケーションのメタ分析を実施
・コミュニケーションテキストの内容を分析する感情分析ではなく、
 メタ分析とはコミュニケーション量やネットワークを対象とする
・分析結果として、離職者が実際に退職する3-4カ月前から
 コミュニケーション対象が以前より明らかに少なくなり、
 その狭まったネットワーク内でのコミュニケーション量が増える
 
ということがわかった
・これにより3-4カ月前に退職の予兆を把握し、
 離職防止対策にかけられる時間的猶予を得られることに

■事例2
 データ活用は個人の成長のための一手段(セプテーニHD社)
・映画「マネー・ボール」の統計的手法に発想を得て、
 ピープルアナリティクスへの転換に挑戦

・人材と職場の相性が人材育成に影響するという仮説を立て、
 以下の人材育成方程式のコンセプトを作り上げた
成長=個性×環境(チーム+仕事)
 従業員の個性と、人間関係や仕事内容の環境の相性が
 成長スピードに影響すると仮説立てをした

・全社員のデータ取得を進めるする中、トライアルでは
 比較的自由度が利く新入社員のデータ集めから着手
・同社では創業当時から「個人がある環境に配属されたとき、
 どのぐらい成長したか」のデータも蓄積してきた
・「成長」は数値化できない業務もあるため、
 他の従業員からの「評判」も数値化し組み入れる工夫も

・4つの活用シーン
①採用活動
 対象者の3年後のパフォーマンスや定着可能性を予測し、
 有望な人材を狙った採用が可能に
②適応
 対象者が将来的に最もスムーズに適応できる配属先の選定を科学的に算出
③育成
 現在の社員の状態を把握し、よりパフォーマンスを発揮するための
 異動や研修実施の参考に
④アルムナイネットワーク
 退職者との関係維持として、退職者のキャリア支援を継続し
 再雇用しやすい環境をつくっている

・2017年と2020年を比較すると、遠方学生の採用シェアは4%から55%に、
 内定率は5%から15%に上昇

全国から有望な人材を効率的に発掘し、
 早期戦力化した新卒社員の割合も3年間で2倍に向上
・同社の信念としている「データ活用は個人の成長のための一手段であり、
 優先順位はまず個人、次に組織」
・これを事あるごとに対象者の方々に伝え続けている

■事例3
 マーケティングスキルを人事に活かす(サイバーエージェント社)
・2013年から人事部でデータ活用を開始
・経営会議にて役員より月に一度全社員を対象としたアンケート調査実施の
 提案がされ、パルスサーベイ「GEPPO(ゲッポー)」が誕生
・社員一人ひとりが「個人」と「チーム」の状況を
 「快晴」から「大雨」まで5段階の天気マークで回答
・アンケート結果を閲覧できるのは取締役と部門間をまたいだ人事異動を
 役員会に提案するキャリアエージェントという
 社内ヘッドハンティングチームの2者と、ごく限られた一部の社員のみ
・人事評価に関わると社員が感じたら本音で答えなくなる懸念もあり、
 現場のマネージャーに直接伝えることはしないことを
 社員にも約束し厳守した
・アンケート回収率は2013年のスタート時から
 95%以上をキープし続け、2019年には100%を達成

・結果を参照しての気付き
・事業によってはサービス開発期間が長く売上が全く上がらない期間は、
 メンバーの状況は雨マークが続くことがある。
 ところがサービスがリリースされ売上が跳ね上がると
 メンバーの状況は一気に晴れマークで一色になるケースがある
・特に興味深かったのは、GEPPO開始の2013年から
 ずっと晴れ・曇り・雨の構成比はほぼ一定
だったこと
 これが実態であり、健全なのかもしれないと同社では考えている
・仮に売上が上がっていもなお一向に雨マークが続いている場合は、
 何か別の問題が潜んでいるのではといった可能性にも気付ける

・組織課題を多角的な分析から発見することも我々の役割

・ある社員がGEPPOに特技が麻雀であると記入したことをきっかけに、
 麻雀やスポーツなどの特技を生かせるAbema TVに異動するという
 ケースも出ており適材適所への活用も

・良い人事とは、会社の業績に貢献できる人事
 そのためにもファクトで語れる人事を育てる
・会社の業績と社員の幸福の2つの天秤を意識する

ピープルアナリティクスの
先進事例を紹介しましたが、
各社のデータ活用の視点が
凄く参考になります!

共通していることとしては
データ分析で終わらずに
その結果を施策実施や
現場でのアクションに繋げている
ということかなと感じました。
(この事はデータ分析関連の書籍では
 必ずといっていいほどに共通して
 言われ続けていますが「やはり…」ですね)

この本が出版されたのは
2020年ということで、本書で
紹介されている企業はこの数年で
より一層先を進んでいることと思います。

ちなみにこの本書で紹介された事例は
ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会
が取材
したケースと、
日本能率協会マネジメントセンターの隔月刊誌
「Learning Design」に掲載された内容の転載
ということでした。

弊社のピープルアナリティクスも
近い将来こうやって取り上げて頂けるよう、
まずはデータ分析で得られた結果や示唆を
実際の施策実施やアクションに繋げる。

そんな2023年にしたいと考えています。

ということで今日はこの辺で!
それではまたー!😉

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