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リサーチ&データ活用の教科書④:P&G流の「仮説出し」の3つの方法について

読書ノート(109日目)
さて、今日もこちらの本の紹介です。

著者の米田さんは元P&Gの執行役員で
CMK(Consumer Marketing Knowledge)部門
のヘッドを務めていらっしゃった人物。

P&Gのマーケティング戦略をデータで検証して
成功の確度を高めていく、そのための秘訣を
知ることができればと思って読んでいます。

今日からは前回紹介した
P&Gでの問題解決の枠組みである
ダブルダイヤモンドプロセスのうち
「仮説出し」についてです。

・仮説を広げるためのリサーチ&データ活用
・新しいアイデアのヒントが欲しいなら、
 画期的なアイデアを生み出したいなら、
 今の理屈では説明できないことに注目してみること。
 辻褄が合わないことや疑問に思うことにこそあえて目を向けて、
 じっくり考えてみると、それまで繋がりのなかった
 点と点がつながったり、ひらめきが起こることがある

・仮説出しの3つの方法
 ①ブランド愛好家に良さを教えてもらう
 (例)ファブリーズの「目から鱗」な裏技を学び、
    ファブリーズの利用シーンの拡大の仮説出しに繋げる
  ・ヘビーユーザーの方に利用シーンの動画撮影を依頼。
   「今日から2週間の間にファブリーズをお使いになるシーンの
    動画を全て撮影して送ってください」
  ・朝早くや夜遅くや、子供が部活から帰ってきたとき、
   雨が降っているとき、週末などの様々な時間やシーンでの
   使用方法を学べて新しい発見があり、その後のテレビCMでも
   長年にわたって使用シーンとして紹介された。
 
 ②オープンイノベーション的リサーチ
 ・「クリエイティブパネル」に協力を依頼する
  「クリエイティブパネル」とは、それまでのリサーチに参加いただいた
  方の中から、創造性が必要とされる宿題に対して積極的に協力を
  してくれた方、そして「この方のアイデアは面白い!」と思わせて
  下さった方に目星をつけておき、オープンイノベーションの発想に
  基づいたリサーチを行いたい時に参加をお願いできるよう、
  リサーチ会社と一緒にパネル化した方々のこと。
 ・インタビューの約10日前に一度集まっていただき、
  企業側から商品やブランドの説明をできる限りする。
  その後、各自にアイデアについて宿題を依頼する。
 (例)アリエールの公式サイトをリニューアルする際にある参加者から
   「サイエンス的な研究所にしてアリエールの洗浄力や除菌力に対する
    取組を公式サイト上で紹介する」というアイデアが提案された。
    その後、広告代理店により「洗濯を科学するアリエール」という
    キャンペーンにまとめ上がった
 ・大切なのは、外部から出してもらったアイデアを
  そのまま商品化しようとは思わないこと。
  もらったアイデアは「インサイトのヒント」にすぎない。
 ・どうしてそういうアイデアを思いつくに至ったのかという背景が重要
  その情報を活かして課題の解決策に繋げるのは企業の責任。
 
 ③デザイン思考的アプローチ
 ・オープンイノベーションはユーザーがアイデアを提供したが、
  デザイン思考的アプローチはアイデアをつくるのは企業側。
 ・企業側からのアイデアに対してユーザーにフィードバックをもらい、
  ユーザーの求めるものに近づくように改善していく。
 ・ユーザーが求めているものの意図を組んだプロトタイプ(試作品)を
  つくりフィードバックをもらう
 (例)チリ産ワイン「アルパカ」のインサイト発見
 ・ブランド担当者にアルパカに関するブランドストーリーを棚卸し
  してもらい、リサーチ対象者に気に入ったところに線を引いてもらう
  その中で「アルパカを絶対買いたい!」と思う宣伝に欠かせない要素
  を右に、要らないと思う要素を左に、どっちでもいいと思う要素を
  真ん中に仕分けしてもらった。
 ・結果として、アルパカのターゲットが求める商品コンセプトは、
  ワインのうんちく的な情報よりも、もっと分かりやすく
  「間違いなく美味しい」ことが確認できる情報だと分かった。
 ・特別な日ではなく普段の食卓に出す餃子や唐揚げやハンバーグのような
  気取らない料理でもアルパカを合わせれば、
  気分が上がることを訴求するという提案もあった。
 ・結果としてこれらのインサイトは
  「普段の夕食がディナーになる」というキャンペーンに活かされた。

・インサイトを探すには、既存データの深堀からだけでは
 自らのパラダイムから抜け出せるような新しい発見をすることは難しい
・既存のパラダイムを崩すようなインサイトを得るには、好奇心をもって、
 自分たちのパラダイムにとらわれず、それを超えるような視点を持って
 周りの状況を見る事が大切。
・データを隅々まで掘り起こす分析を農耕作業とすれば、
 既存パラダイムを抜け出して新しいインサイトを見つけようとすることは
 「上空から獲物を狙う鷹」
・俯瞰的な視点を持ちまったく違うパラダイムに出会い、
 「ああ、そうか」と腹落ちする気付きや新しい発見という
 宝に繋がる可能性を見つけていく

今回はP&Gでの「仮説出し」の
3つの方法についてを紹介しました。

①ブランド愛好家に良さを教えてもらう
②オープンイノベーション的リサーチ
③デザイン思考的アプローチ
の3つが本書では紹介されていました。

「洗濯を科学するアリエール」
というキャッチコピーは僕もCMで
何度も見かけたことがありますし
洗浄力への企業側のこだわりが
ビジュアルでも伝わるので
よく記憶に残っています。

このキャッチコピーはユーザーの方の
提案がヒントになっていたというのは
興味深いですし、企業側では
当たり前だと思っていることを
ユーザー目線で考え直すための
有効な方法ですね!

クリエイティブな発想を持った人を
パネル化して、いつでも声を掛けられる
状態にしておくことも興味深かったです。

例えば僕の場合は人事領域の仕事に
携わることが多いので、社内向けの
人事の施策や取組が多いのですが、
社内でクリエイティブな発想力を
持った人たちをリストアップしておくと
新企画を考えるときの仮説出しや
壁打ちをする時に非常に助かりそうです。

P&Gのリサーチ&データ活用の本書も
次回の「絞り込み」が最終回です。

1つ1つの章からの学びも多く、
要約がつい長くなりがちですが、
次回も読んで頂けたら嬉しいです。

それではまたー!😉


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