人生初の海外旅行は南アフリカでした。
人生で初めての海外旅行は19歳の時、南アフリカに行きました。
初めての海外旅行が南アフリカって!!とよく突っ込まれますが、高校の恩師が青年海外協力隊として派遣されていて、その方から任期中に南アフリカに遊びに来ないかと誘われたことが理由です。現地に行けば頼れる人がいる。だからこそ行けたんですね。
南アフリカのグラハムズタウンという街で毎年開催される「National art festival」を見に来ないかと誘われ、僕は即答でYesでした。
南アフリカの空港ですぐにも合流できたので、後の移動は車でお任せです。贅沢な旅行だなあ。
National art festival
グラハムズタウンに到着すると、街全体がアートで彩られていました。ジャズやクラシック、演劇、絵画、出店。
出展物の内容は全然覚えてないのですが(←おい)、街全体がアートで溢れている様子そのものに感動していました。特にどこからかジャンベ(アフリカ太鼓)の音が鳴ってきたと思いきや、子供たちが踊り始めるという風景には素敵なカルチャーショックを受けました。アフリカならきっとそこかしこで見られる風景でしょう。
町外れにバナナハウスと呼ばれる三階建てのビルがあり、ビル内の部屋一つ一つにアーティストのアトリエがありました。
油彩画教室もあれば、ジャンベを作っている人も。こういう施設を日本でも作れたら…今でも考えています。
恩師は様々な南アフリカを見せてくれました。
乗馬ツアーなんてことも参加しました。ツアーでは大昔の壁画に案内され、「この場所で何があったのか、どんな動物がいるのか、などを次来た部族に伝えるために描いたのだ」と聞いて、他者に伝えること、その思いから描くことははじまったんだなと知り、その気持ちは今でも変わりません。
別の街に移る時に、夜行バスに乗りましたが、その夜行バス、始発にも関わらず3時間遅れでやってきました。僕としてはおもしろい思い出ですが、恩師は本当にイラついてたなあ。僕のバックパックをくすねようとするヤツもいました。
そうした楽しい日々ですが、あるときスラム街を見に行ってみようかと誘われて、ぜひ見てみたいと興味本位で誘いに乗ります。
そこでの小さな体験が僕の身体、記憶に刻み込まれました。
スラムの丘で
街とは打って変わって、言い方は悪いけど、ぼろぼろのみすぼらしい家が立ち並んでいたと言うのが伝わりやすいかと思います。
南アフリカはイギリス領であった時代に、アパルトヘイト政策という白人と黒人を隔離する政策が施されて以来、格差が大きく治安がとても悪い国でした。
その中でも殊更治安が悪いことで有名なヨハネスブルクという街では100メートル歩く間に必ず強盗に遭うなんてことも言われるほどで、正直僕は恩師がいなかったら行きませんでした…
白人街でもどこでも家の外壁の上部には鉄条網が敷かれていました。よほど強盗が多いのでしょう。
スラム街の家は、外壁ではなく、鉄条網の柵があるだけでした。
ここにも格差が出てしまうのですね。
歩いているとどこからともなく石が投げられます。「お前たち何を見に来たのだ」そう問われている気がしました。
街を俯瞰できるように丘の上に登り、眺めます。僕はスラム街をスケッチし始めました。
しばらくするとどこからともなく、少年2人が遊びに来ました。いつもの遊び場に見知らぬアジア人が2人いる状況はけっこうビビるかもしれません。
僕のスケッチの様子を見に来たので、僕はしめたとばかりに2人にモデルになってもらい、描きました。
描き終わってから、お礼というわけではありませんが、持っていたクレヨンをあげました。
ありがとうという気持ちと共にクレヨンでどんな絵を描くかなと少し楽しみになった記憶があります。恩師は2人の帰り際、お金を渡していました。そういう配慮は大切だなと学びました。
この時の思い出がずっと僕の脳裏に残っています。なんということはない出来事ですが、子供に画材を自由に使ってもらうことに希望を見た瞬間でした。
帰ってからスラム街のバックにアフリカの男の子2人がいる絵を描きました。その絵は今恩師の家にあります。
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