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#小説

君を知りたい。

君の前で初めて泣いたあの日。私の中で、何かが溶けた。 人に自分の想いを伝えることは、簡単じゃない。 ありのままの自分をさらけだすことは、とてもとても怖いことだ。 文章では伝えられても、話せないことがたくさんある。 相手の顔を見て自分の声で話すことが、私は、怖い。 でも、それでも、生きていたらいろんなことが起きる。 うまく気持ちを伝えられなくて、傷ついたことも、傷つけられたことも何度もあった。 そんな時、心の中でいつも唱えるのは「にこにこ笑顔」という言葉。 高校時代、悩ん

題:ねじまき鳥クロニクル 作:村上春樹

何年前だろうか?幼馴染が私が本が大好きだという事を伝えたら、20冊くらい帰国した時にプレゼントしてくれた。「私もまだ読んでないものもあるし、読んで欲しい本もあるけど、とりあえずこれだけ。」 その本の一部を日本旅行中の新幹線やバス移動のお供にして、帰国には10冊くらいにしておいた。特に村上春樹は私にとって初挑戦だったし、文庫で小さかったこともあって、アメリカに一緒に帰ってきた。 読書初心者の私に、村上春樹の門を叩くのは意外に敷居が高くて、この本たちは本当に最後の登場だった。

『お客様は神様』は日本だけ?

こんにちは。ゆうのすけです。今日は日本と外国との店員の、サービスの違いについてお話ししていきたいと思います。 さっそくですが、例えば郵便物で再配達をお願いする時などありますよね。日本ではあれに料金がかかるなど考える人はいないと思いますが、欧米などでは料金が発生します。海外旅行をしたことがある人や洋画が好きな人は分かるかもしれませんが、チップのようなものがあるのでよく考えればそうだよな。となりますね。 次に私が驚いた文化を紹介しようと思います。例えば日本であなたはファミレス

noteを本格的に始めたきっかけ

「#これからの仕事術」というハッシュタグを見つけたので書いてみます。 noteは元々、短歌の「御殿山みなみ」さんが利用していたこともあって、自身の短歌連作を載せていました。その時は読書メーター、ツイッター、「うたの日」にも定期的に顔を出していました。 動機は「歌人のプロデューサーになろう」今年2020年に入った頃から、noteに戻ろうかなと思っていました。感染症がこんなパンデミックになる前だったので気軽に考えてました。兄と母がいるのですが、身体障害がある自分も含めて年齢を

行き当たりばったり

『連続更新』――この言葉の重みはWeb小説を書いている方ならご存知なんじゃないかと。要するに毎日、書いたものを公開しろということなんだけど、それが難しい。難しいのだ。 じゃあなぜ毎日更新するかと言うと、たくさんあるWeb小説の中で忘れられないため。忘れられちゃうと読まれない小説になってしまう。だから毎日、同じ時間に公開する。 上手く行くと、「22時の更新が待ち遠しいな」と思ってもらえる。わたしはいつも22時に更新している。連載が変わっても「月波さんは22時」と覚えてもらう

“今ここ”に生きるって結局どういうことなの?

過去を思い出して悲しい気持ちに引き戻されたり、まだ起こらない先のことを危惧して不安になったり。 “今ここ”が大切だとは聞くけど、具体的にじゃあどうすればいいの?ってずっと悩んでた。 * 月初からやってた大断捨離が九割方終わりました。 我ながら別人の部屋みたい。 メンヘラ引きこもり時代からの淀みや澱を、ごっそりさらえたので精神的にも相当スッキリしました。 片付け整理をしながらも耳は暇なので、kindle bookを音声読み上げて耳で読みながらやってたのだけど、読んでた本の

【ショートショート】 無秩序な未来

 会話のキャッチボールと言うけれど、ここでは豪速球が飛び交っている。あっちに飛んで、こっちに飛んで、キャッチしては絶妙に投げ返されて。賢い頭脳たちによる、華麗なチームプレイ。芸人さん達が雛壇に座って、何かをせっせを作り上げていた。 「いや、ボケへんのかい!」「いや、今それちゃうねん!」  雑多に見えるやりとりの中でも、色々な規則があるらしい。  僕は面白くなって、テレビのボリュームを上げる。  僕が適当にリモコンを置くと、彼女はそっと、テーブルの縁と平行になるようにそれを直

【創作】 逆光

産まれた時から死ぬ事に気づいていた そういって、焼き芋を頬張り喉に詰まらせて死んだ それが私の父だった 目の裏に上映される父の映像は、 青色で、水色で、いつも私は下から父を見上げている 逆光模様 私はもう、次で大学生になる なにもない日常 喫茶店に行って、喫茶店の空気を吸い、 喫茶店で流れるジャズに一礼し、 会計を2倍盛った定員を殴った 特にこれといって何もやりたい事がなくて、 やりたいことが無いのも才能だという本を古本屋で立ち読みし、破って、流れる涙で地面から本を

ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第91わ「長い前置き」

(承前) これで俺も死ぬときは一人じゃなくなる?……くだらない。死んだ後には何もあるまい。つまりゼロだ。だから何があっても生き残らなきゃ嘘だ。 「勇ましいプレイヤーは大歓迎さ。頑張って❝ゲーム❞を盛り上げてほしい。もっとも……今回はハントマンの皆も死に物狂いだからね」 そして俺の相棒は勇ましくも死に物狂いにもなれずに体育座りで泣き続けている。そろそろ立ち直れよ。吸血鬼の貴族なんだろ?と言いかけて、思いとどまった。その貴族が家畜と見下す人間と同じ立場……負ければ死ぬ……に

今日も僕は彼女の何か知らない気がする

(いつか小説を書きたくて、書いている下書きの一部。 なのでこの中に起承転結は何もない。) たまにふと、 僕は本当の彼女を 何も知らないのではないかという気になる。 僕の目の前にいる彼女は 無邪気で、自由で、わがままで、 時に暴力的なほど正直で 偽りのキャラを演じる必要はないくらいには 心を開いてくれていると僕が思っているのも 自惚れではないと思う。 何かを隠しているそぶりもないし 自分だって じゃあ何が知りたいのかと言われればよくわからない。 なんでも聞いて、答え

文学フリマ東京出品小説「幻想」について

今日は、文学フリマ東京で出品する「幻想」と「結婚」の二作品のうち、「幻想」のあらすじと制作背景について紹介します。文学フリマに参加するのも、noteに記事を投稿するのも初めてで、脇汗がとまりませんが、どうぞお付き合い願います! ジャンルは青春系の純文学です。綿谷りさと川上末映子を足して割ってパルプンテを唱えたような感じでしょうか。自分で言うのは恥ずかしいので、お許しください。※本文は真面目です。 あらすじ 高校三年生の女の子、葉村紗知は生徒会副会長。二週間後に文化祭を控

152日目:すいちゅう【水中】→掌編小説

すいちゅう【水中】 水のなか。 ◆◆◆ 「夜の海へ、行ったことはある?」 女は、カラオケボックスの壁に描かれた、安っぽい熱帯魚やクジラを眺めながら言った。ブラックライトに照らされた極彩色の水中で、僕たち二人は向かい合っている。 「田舎の海って街灯がないから、月明かりを頼りに歩くしかなくてね。潮騒だけが聞こえるの。世界の果てってこんなかな、と思ったよ」 女は呟くように言って、壁に描かれた水面を細い指でなぞる。 君の故郷のこと? そう尋ねてみると、「ううん。わたしが好き

あの子の日記 「煙たいバニラ」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 ため息ついでに吐き出されたタバコの煙がふわふわと空に消えていく。 「俺たちの終わりに気付いてくれよ」と言いたげだけれど、言葉を煙に代えているつもりなら、もう、察するしかないじゃない。 あなたが見つめる灰色の雲は、雨をぽつりと地上に落とす。 泣きたいのはこっちのほうよ。 バニラの香りが混ざった煙とわたしを残して、黙って遠くへ消えないで。

あの子の日記 「ふたりのオレンジ」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 空に浮かんだ太陽が仕事終わりに良いことを教えてくれたんだ。 一言で上手く表せないあの夕陽の色は、どうやら私たちに似ているみたい。 あなたがイエローで私がピンク。時間をかけてゆっくり混ざり合うと、二人だけの特別な色が出来あがるんだって。 気まぐれに変化しながら深く、深く色を重ねていくの。琥珀色に透きとおる日もあれば、風にゆれる紅葉みたいな日もやってくる。 思い浮かべていると、喧嘩と仲直りを繰り返す不安定な日常が不思